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第三章 アルテミルの街とその領主
第48話 領主に詰められるが拒否る2
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「コジローです、よろしくおねがいします。」
冒険者は敬語など使うなと言われてきたが、貴族相手にはさすがにそれはマズイだろうと思い、コジローは少し丁寧な言葉を心がけた。
伯爵は、挨拶もそこそこに、コジローの生い立ちについて尋ね始める。
まさか
『ゼフトに魂だけ連れられて地球から来た』
とはさすがに言えないので、捨て子だったがゼフトに拾われて育てられたと答えた。
だが、伯爵はコジローを矢継ぎ早に質問責めにした。
師匠とは何歳ぐらいなのか?
男性なのか女性なのか?
いつ頃から森に住んでいるのか?
どんな人なのか?
ゼフトの正体については絶対に秘密にしたほうがよいとマドリーに聞いていた。アンデッドはこの世界は相当に忌み嫌われる存在らしい。
だが正直、そこまで根掘り葉掘り聞かれるのは予想外で、答えを準備しておらず曖昧な答えに終始することになってしまった。さすがに怪しまれただろうかと、コジローは警戒した。
伯爵はゼフトに強い関心があるのだろうと最初は思ったが、質問を聞いているうち、どうも、自分が森の魔術師の弟子だと偽っている詐欺師ではないか?と疑っている様子なのが分かってきた。
正直、そこを疑われるのもコジローは予想外であったが、言われてみればなるほどとも思った。自分が森の魔術師の弟子だと名乗った以外、何も証拠はないのである。
・・・まあそれ以前に、死霊の森の魔道士の弟子と偽ったとして、何かメリットがあるのかが分からなかったのだが。
ついには伯爵は、是非一度、コジローの師匠に会いたいと言い出したが、師匠は人嫌いなので無理だろうと答えた。
ちょっと無理があるかと思ったが、意外にも伯爵はあっさり引いた。
コジローは知らないが、伯爵家では死霊の森の魔術師は禁忌なのである。伯爵はつい勢いで言ってしまったが、会わせると言われても困ったかもしれない。
伯爵は話題を変えるため、コジロー自身について質問する事にしたようだ。魔法使いの弟子なのだから、さぞや魔法が得意なのだろう、どんな魔法が得意なのか?と・・・
コジローは正直に、魔法は得意ではない、と答えた。できないものをできると答えてもすぐにバレるだけだ。
『魔法使いの弟子なのに?!』
伯爵の疑念は深まったのは間違いないと思う。しかし伯爵は一切顔には出さない、表面上はあくまで穏やかである。ポーカーフェイスは大したものだなとコジローは思った。
では何ができるのか?と尋ねられ、コジローは正直に、転移魔法が少々使えると答えるのだった。
伯爵の表情が変わった。
転移魔法は簡単に使えるものではない。魔術師を数百人集めて運用するようなものなのだ。それを一人で使えるというのは、簡単には信じがたかったのである。
「本当なのか?本当なら是非、見せてくれないだろうか?」
と伯爵に頼まれた。
実は伯爵は、リヴロットからも話を聞いていたし、コジローの情報として、転移魔法の報告は受けていたのであるが、それでも、自分の目で確認しないと信じられなかったのである。
だが・・・
伯爵の詰問の連続に、コジローはヘソを曲げつつあった。
そもそも今日は、礼と謝罪のために呼ばれたのではなかったのか?
自分を尋問するのが目的だったのか?!
そしてコジローは
「利用しようとする者が現れるから、むやみに見せるなと師匠に言われておりまして。」
と答えたのである。
魔法を使えると言っておきながら、見せる事はできないと言う。これでは完全に詐欺師と思われるだろう(笑)
しかし、コジローは面倒くさくなってしまったのだ。
別に嘘つき呼ばわりでも良い。この場はさっさと切り上げて、街を出て、あるいは国を出て、違う場所で再スタートしようとコジローは思いはじめていたのだった。
「ええっと、申し訳有りませんが、急用ヲ思イ出シタノデ今日ハコノ辺デ。」
かなり下手な言い訳だとは思ったが、コジローは強引にでも退出してしまおうと棒読みで言った。
伯爵には「詐欺師が尻尾を巻いて逃げ出した」とでも思わせておけばよい。
それとも、伯爵は詐欺師として自分を牢に入れようとするだろうか?ならば、転移魔法が本当であると、牢から脱出してみせる事で証明する事になるだけであるが。。。
だが、予想外に伯爵とアレキシは慌てた様子であった。
クリス伯:「すまない、色々聞いてしまったが、気を悪くせんでくれ。高名な魔術士の弟子と聞いてつい、興味があってな。」
アレキシ:「転移魔法は本当です、リヴ様との手合わせの時、私も見ました。」
あの時、観客からは見えにくい位置で転移を使ったつもりだったが、屋敷の側から見ていた者については、たしかに考慮にいれていなかったとコジローは思い出した。
クリス伯:「そうか。剣の腕も大したものらしいな、カミールがべた褒めしていたよ。とにかく、あの時はありがとう、改めて、礼を言わせてもらうよ。」
クリスもさすがに急用を思い出したというのは方便であることは理解していたようである。続けて
「この後ささやかだが食事も用意してある、私は仕事が押しているので参加できないが、是非、娘たちにも会っていってくれないか?ここで帰したら娘たちに怒られてしまう。」
とコジローを引き留めた。
素直に謝られると、意地でも帰るとも言えず、渋々了承するコジロー。
「こちらへ・・・」
アレキシがコジローを扉へと誘ったが・・・
ふとコジローは気が変わって、伯爵のほうを振り返り言った。
「私はまだ未熟なので、あまり長距離の転移は使えないのですよ。」
伯爵が自分を見ているのを確認した上で、コジローは転移を発動し、ドアの前に瞬間移動してみせた。
「ほう・・・!」
では・・・と頭を下げ部屋を出ていくコジロー。
伯爵はアレキシに
「そうだ、礼になにか褒美を与えたい。よろしく頼む。」
と声をかけ、アレキシは承知という体で頭を下げて出ていった。
冒険者は敬語など使うなと言われてきたが、貴族相手にはさすがにそれはマズイだろうと思い、コジローは少し丁寧な言葉を心がけた。
伯爵は、挨拶もそこそこに、コジローの生い立ちについて尋ね始める。
まさか
『ゼフトに魂だけ連れられて地球から来た』
とはさすがに言えないので、捨て子だったがゼフトに拾われて育てられたと答えた。
だが、伯爵はコジローを矢継ぎ早に質問責めにした。
師匠とは何歳ぐらいなのか?
男性なのか女性なのか?
いつ頃から森に住んでいるのか?
どんな人なのか?
ゼフトの正体については絶対に秘密にしたほうがよいとマドリーに聞いていた。アンデッドはこの世界は相当に忌み嫌われる存在らしい。
だが正直、そこまで根掘り葉掘り聞かれるのは予想外で、答えを準備しておらず曖昧な答えに終始することになってしまった。さすがに怪しまれただろうかと、コジローは警戒した。
伯爵はゼフトに強い関心があるのだろうと最初は思ったが、質問を聞いているうち、どうも、自分が森の魔術師の弟子だと偽っている詐欺師ではないか?と疑っている様子なのが分かってきた。
正直、そこを疑われるのもコジローは予想外であったが、言われてみればなるほどとも思った。自分が森の魔術師の弟子だと名乗った以外、何も証拠はないのである。
・・・まあそれ以前に、死霊の森の魔道士の弟子と偽ったとして、何かメリットがあるのかが分からなかったのだが。
ついには伯爵は、是非一度、コジローの師匠に会いたいと言い出したが、師匠は人嫌いなので無理だろうと答えた。
ちょっと無理があるかと思ったが、意外にも伯爵はあっさり引いた。
コジローは知らないが、伯爵家では死霊の森の魔術師は禁忌なのである。伯爵はつい勢いで言ってしまったが、会わせると言われても困ったかもしれない。
伯爵は話題を変えるため、コジロー自身について質問する事にしたようだ。魔法使いの弟子なのだから、さぞや魔法が得意なのだろう、どんな魔法が得意なのか?と・・・
コジローは正直に、魔法は得意ではない、と答えた。できないものをできると答えてもすぐにバレるだけだ。
『魔法使いの弟子なのに?!』
伯爵の疑念は深まったのは間違いないと思う。しかし伯爵は一切顔には出さない、表面上はあくまで穏やかである。ポーカーフェイスは大したものだなとコジローは思った。
では何ができるのか?と尋ねられ、コジローは正直に、転移魔法が少々使えると答えるのだった。
伯爵の表情が変わった。
転移魔法は簡単に使えるものではない。魔術師を数百人集めて運用するようなものなのだ。それを一人で使えるというのは、簡単には信じがたかったのである。
「本当なのか?本当なら是非、見せてくれないだろうか?」
と伯爵に頼まれた。
実は伯爵は、リヴロットからも話を聞いていたし、コジローの情報として、転移魔法の報告は受けていたのであるが、それでも、自分の目で確認しないと信じられなかったのである。
だが・・・
伯爵の詰問の連続に、コジローはヘソを曲げつつあった。
そもそも今日は、礼と謝罪のために呼ばれたのではなかったのか?
自分を尋問するのが目的だったのか?!
そしてコジローは
「利用しようとする者が現れるから、むやみに見せるなと師匠に言われておりまして。」
と答えたのである。
魔法を使えると言っておきながら、見せる事はできないと言う。これでは完全に詐欺師と思われるだろう(笑)
しかし、コジローは面倒くさくなってしまったのだ。
別に嘘つき呼ばわりでも良い。この場はさっさと切り上げて、街を出て、あるいは国を出て、違う場所で再スタートしようとコジローは思いはじめていたのだった。
「ええっと、申し訳有りませんが、急用ヲ思イ出シタノデ今日ハコノ辺デ。」
かなり下手な言い訳だとは思ったが、コジローは強引にでも退出してしまおうと棒読みで言った。
伯爵には「詐欺師が尻尾を巻いて逃げ出した」とでも思わせておけばよい。
それとも、伯爵は詐欺師として自分を牢に入れようとするだろうか?ならば、転移魔法が本当であると、牢から脱出してみせる事で証明する事になるだけであるが。。。
だが、予想外に伯爵とアレキシは慌てた様子であった。
クリス伯:「すまない、色々聞いてしまったが、気を悪くせんでくれ。高名な魔術士の弟子と聞いてつい、興味があってな。」
アレキシ:「転移魔法は本当です、リヴ様との手合わせの時、私も見ました。」
あの時、観客からは見えにくい位置で転移を使ったつもりだったが、屋敷の側から見ていた者については、たしかに考慮にいれていなかったとコジローは思い出した。
クリス伯:「そうか。剣の腕も大したものらしいな、カミールがべた褒めしていたよ。とにかく、あの時はありがとう、改めて、礼を言わせてもらうよ。」
クリスもさすがに急用を思い出したというのは方便であることは理解していたようである。続けて
「この後ささやかだが食事も用意してある、私は仕事が押しているので参加できないが、是非、娘たちにも会っていってくれないか?ここで帰したら娘たちに怒られてしまう。」
とコジローを引き留めた。
素直に謝られると、意地でも帰るとも言えず、渋々了承するコジロー。
「こちらへ・・・」
アレキシがコジローを扉へと誘ったが・・・
ふとコジローは気が変わって、伯爵のほうを振り返り言った。
「私はまだ未熟なので、あまり長距離の転移は使えないのですよ。」
伯爵が自分を見ているのを確認した上で、コジローは転移を発動し、ドアの前に瞬間移動してみせた。
「ほう・・・!」
では・・・と頭を下げ部屋を出ていくコジロー。
伯爵はアレキシに
「そうだ、礼になにか褒美を与えたい。よろしく頼む。」
と声をかけ、アレキシは承知という体で頭を下げて出ていった。
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