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第四章 マドネリ村

第70話 トロール軍団襲来2

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トロールは人形の魔物で、身長4~6メートルの巨人である。非常に強い膂力を持ち、巨大な棍棒を振り回す。

ボストロールは知能が高く、トロールを束ねて指揮を取る能力があるが、大量は2~4メートルとやや小さめである。

トロールキングは、かつて神話の時代に栄えたトロール族の王族の末裔と言われている。人間の幼児程度の知能を持っており、片言の会話くらいはできる。

だが、サイクロプスはさらに巨大で、体調10~15メートルほどもある1つ目の巨人である。鉄製の巨大な棍棒を振り回し、その破壊力は防御など無関係に一撃必殺となってしまう事が多い。

サイクロプスの上級種であるギガンテスはサイクロプスよりさらに一回り大きく、その強さはサイクロプスをも上回り、高い魔法防御力と魔法による攻撃力も持っている。肉体を鋼鉄と化すアストロンという能力と、大地の神の加護と呼ばれる、両足が大地についている限りほぼ不死身と言えるほどの回復力を持っている。

トロールの持っている棍棒は巨大だが木製である。しかし、サイクロプスとギガンテスの持つ棍棒は、鉄製なのである。魔物が時々、鋼鉄製のハンマーなどを武器として標準装備している事があるが、どうやってその武器を作っているのか、この世界の謎の一つである。。。



Cランク以上の冒険者達であれば、トロールとサイクロプス1~2匹であれば、まだ対抗できたのだが、ギガンテスが出てきたことで一気に形勢不利に追い込まれてしまった。

ギガンテスのアストロンというスキルが発動している体は、鉄のように硬く、冒険者達の剣や槍による攻撃は一切通用しなかったのである。魔法攻撃であればダメージを与えることはできのであるが、それもよほどの強力な攻撃でないと大きなダメージとはならず、大地の加護の超回復力があるためあまり意味がない。

しかも、棍棒を大地に叩きつけるグランドインパクトというスキルも持っている。周囲に巨大地震並の揺れを引こすため、周囲にいる冒険者が立っていられなくなってしまうのである。そして倒れれば次に来るのは一撃必殺の棍棒の一撃。

結局、冒険者たちは退却し、籠城戦を取らざるを得なくなってしまったのである。



トロールたちがネビルの街の城門に近づき、棍棒で殴り始める。大きな音と振動が響き渡るが、城壁ンは堅牢で壊れる気配はなかった。

しかし、サイクロプスとギガンテスが進み出てきて、城門に棍棒を打ち付け始めた。

魔法使いや攻撃魔法が使える戦士が何人か、城壁の上から攻撃を仕掛ける。一点集中、まずはサイクロプスの1つ目に攻撃を集めて倒す作戦で、ファイアーボールやアイスアロー、ウィンドアローなどがサイクロプスを襲う。

サイクロプスは攻撃を嫌がり、目から衝撃波を放ち、攻撃を弾いた。衝撃波はそのまま塀の上に居た冒険者達を直撃し、攻撃の魔法が止まってしまう。

数度のサイクロプスとギガンテスの攻撃を受け、閂は撓み軋む音がするが、かろうじて持ちこたえていた。内側から騎士達が城門を補強しようと木をあてがったりしているが焼け石に水である。

やがて、叩いても壊れないと見たサイクロプスが脇に避け、ギガンテスが一歩後ろに下がる。
ギガンテスが息を大きく吸う。ファイアーブレスの構えである。

ギガンテスのファイアーブレスにより、城門は粉々に消し飛び、侵入を防ぐものはなくなってしまった・・・



サイクロプスとトロール達が城内に侵入してくる。

やや遅れて到着したリヴロット達騎士団が迎え撃つ。トロール程度であればなんとか撃退できる力は騎士達にはある。しかし、サイクロプスがやっかいであった。

サイクロプスは目から衝撃波を放ち、巨大な鉄製の棍棒を振り回し、騎士達を薙ぎ払う。未来予知能力があるリヴレットはいち早く攻撃を察知して躱したが、トロールの戦いに気をとられていた何人かの騎士が吹き飛ばされてしまった。一緒にトロールも何匹か巻き込まれていたが、巨人はあまり気にしていないようである。

さらには後ろからギガンテスが城内に踏み込んで来る。ギガンテスは再び大きく息を吸い、ファイアーブレスを吐き出す準備に入っていた。このまま城内でファイアーブレスを吐かれたら、街は崩壊、そして大火災に見舞われるだろう・・・

街の反対側の城門からは住人は避難を開始しているが、まだ半数近くが残っている。このまま蹂躙されれば、街の住民にも少なくない被害が出るだろう。



だが、その時、ギガンテスの後ろに一人の男が現れ、剣を抜いた。


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