異世界転生したプログラマー、魔法は使えないけれど魔法陣プログラミングで無双する?(ベータ版)

田中寿郎

文字の大きさ
1 / 184
第一部 転生編

第1話 引き籠もりって何の事???

しおりを挟む
クレイの部屋のドアが勢いよく開かれた。

ノックもせずに突然ドアを開けたのは、叔母のジャクリンであった。

クレイ 「…ん? 叔母さん?」

叔母は何も言わず、不快そうな表情かおでクレイの部屋にズカズカと侵入すると、問答無用でクレイの首根っこを掴み、開いていた窓からクレイを庭に放り投げてしまった。

片手で軽々とクレイを持ち上げ十数メートルも投げ飛ばすなど、細腕からは想像できない怪力であるが、もちろん魔力で強化しているのだ。実はこの叔母、女だてらに王都の騎士団のひとつ、東部騎士団を任されている女傑なのである。

その蛮行に対し、しかし魔力のないクレイには抗う術もなく。子猫のようにただ放り投げられるしかないのであった。

それでも、まともに地面に叩きつけられては堪らない。猫のように放り投げられたなら、猫のように華麗に着地を! と、クレイは衝撃を逃がすように回転受け身をとる。前世の日本で柔道の回転受け身くらいは習ったことがある。くるりと一回転し、そのまま立ち上がる!

…予定だったのだが上手く行かなかった。投げられた勢いが強すぎたのだ。どれだけ怪力なのか。結局、何回転か地面を転がって、ようやく止まる事ができたクレイであった。

クレイ 「…っつ。なんなんだよ一体???」

ジャクリン 「引きこもりの不良品を処分しに来てやったんだ」

クレイ 「…はい? 引きこもり? 一体何の事だよ???」

ジャクリン 「お前みたいに何年も部屋に籠もったまま出て来ないクソガキの事を世間ではそう呼ぶんだよ! 引きこもりなんてのは、強制的に叩き出すのが一番だ!」

クレイ 「はぁ? いや、たしかに屋敷の外には出なかったけど、それには訳が……」

クレイが屋敷に籠もってまったく外に出なかったのは事実であったが、クレイは所謂 “引き籠もり” ではない。部屋に閉じ籠もっていたわけでもなく、屋敷の中だけであるがたまに出歩いていたし、家族や使用人とも普通に話し、時には一緒に食事したりもしていた。体を動かすのも嫌いではなく、時折は中庭(外から見えない)に出て体を動かしたりもしていたのだ。

ジャクリン 「とぼけるなよ、聞いているぞ? お前、日がな一日部屋に籠もって椅子に座ってぼーっと壁を眺めているそうじゃないか? 何年もずっとそんな状態だそうだな?」

クレイ 「いや、それは別にぼーっとしてるわけじゃなくて、ソースコードの解析をしてるんだけど…」

ジャクリン 「ソーなんだって? ふん、訳の分からん事を言って誤魔化そうとしたってそうはいかん!」

クレイはこの叔母が苦手であった。それはそうであろう、ジャクリンは、クレイが生まれた時から、クレイをヴァレット子爵家から追放すべきだと主張し続けていた人物なのだから。

だが、生まれたばかりの三男クレイを捨てる事を、クレイの両親は拒否。ジャクリンと喧嘩になり、険悪になったジャクリンはその後あまりヴァレット子爵の屋敷には寄り付かなくなったのだが……

(ジャクリンは騎士爵を得て王都に自分の屋敷を持っている。)

しかし時折、思い出したようにやってきては、クレイを叩き出せと騒ぐのだ。クレイが屋敷から出ずに部屋に籠もっていたのは理由があるのだが、思い込みが強い脳筋のジャクリンは聞きはしない。

ジャクリン 「これまでさんざん屋敷を出ろと忠告してきたが、それは私なりの温情だったのだ。だがもう許さん! 今日がお前の命日となると覚悟するがいい!」

そう言い放ち、ジャクリンは腰の剣を抜いた。

クレイ 「まぢかよ…」


しおりを挟む
感想 98

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

狼になっちゃった!

家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで? 色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!? ……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう? これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

処理中です...