異世界転生したプログラマー、魔法は使えないけれど魔法陣プログラミングで無双する?(ベータ版)

田中寿郎

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第二部 ダンジョン攻略編

第93話 私は規則通りにやっているだけです

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クレイ 「話が面倒だ。サイモンはいつ帰ってくるんだ?」

受付嬢 「予定では…」

クレイ 「予定では?」

受付嬢 「確か…」

クレイ 「確か?」

受付嬢 「一ヶ月後、あるいはもっとかかるかも知れないと言っていました」

クレイ 「ガクッ! サイモンは一体どこに行ったんだ?」

受付嬢 「そんな事、あなたに教える必要はありません」

クレイ 「やれやれ。仕方ない、じゃぁ一ヶ月後にまた来るよ」

受付嬢 「逃しませんよ」

いつのまに合図を出したのか、気がつくと、クレイはいつの間にか冒険者達に囲まれていた。

クレイ 「俺は逃げも隠れもする気はない。と言っても、信用しないって顔だな? どうするんだ、サイモンが帰ってくるまで俺を捕らえて牢屋にでも入れておくつもりか?」

受付嬢 「それしかないですね。幸い、ギルドの地下には留置場がありますから寝泊まりも可能ですよ」

クレイ 「何が幸いなんだ。だいたい、サイモンが帰ってくれば俺の無実は証明されるんだぞ? 無実の人間を一ヶ月も拘束しておいて、ごめんなさい間違いでしたでは済まないぞ? どう責任を取るつもりだ?」

受付嬢 「仕方ありません、私はルールに従っているだけですから。ギルドカードの不正使用は重罪です、問答無用で拘束して審議に掛ける事になっています。もし無罪となったら、謝罪はギルドから行われると思います」

クレイ 「その審議は、ギルドマスター不在のままできるのか?」

受付嬢 「いいえ、ギルドマスターが帰ってくるまで待つ事になりますね」

クレイ 「だから、それまで俺に留置場で過ごせと? そんなの納得が行くか!」

受付嬢 「仕方がないでしょう、そういう規則ですから。私は規則通りやってるだけです。悪いことをするほうが悪い」

クレイ 「さっきから規則規則と言ってるが、その規則には、ギルドカードの読み取り機にエラーが出たら、即不正を疑えと書いてあるのか?」

受付嬢 「え、それは…」

クレイ 「エラーが出ているというが、別の部分なんじゃないのか? エラーの内容とその原因はちゃんと理解しているのか?」

受付嬢 「それは…」

クレイ 「読み取り機の不具合エラーという可能性はあるんじゃないのか?」

受付嬢 「それは……」

クレイ 「魔力紋が一致しなかったのなら不正を疑うのは分かる。だが、一致したんだろう? 一致してもエラーがあったら不正と判断しろと、規則には書いてあるのか? どうなんだ?」

受付嬢 「それは…ないですけど……屁理屈です!」

クレイ 「規則通りにやっているといいはったのはお前だろう? 規則に書いてないことを勝手に判断して、その責任を問われるのはお前だぞ? もう一度言うが、俺は不正など一切行っていない。ギルドマスターが帰ってくればそれはハッキリする事だ。其の場合、謝罪だけでは済ます気はないぞ? どうやって償うつもりだ?」

だんだん弱気になっていく受付嬢。

受付嬢 (まさか…、本当にギルマスの知り合い?! いや、名前くらい調べれば分かるわ。私の勘ではコイツはアヤシイ。負けるなアタシ!)

その時、冒険者の一人が言った。

冒険者A 「ギルドマスターが居ないんだったら、サブマスターの判断を仰ぐのがルールじゃないのか?」

そう言われてハッとする受付嬢。

受付嬢 「そうだった、サブマスが居る……って、駄目だった、サブマスターは重要な会議中で邪魔をするなと言われてるんだった」

冒険者A 「会議が終わるのを待てばいいじゃねぇか。それなら一ヶ月も待つ必要はないだろう?」

受付嬢 「そ、そうですね、それくらいなら待てますよね?」

クレイ 「…サブマスター? 誰だ?」

受付嬢 「サブマスはゴ……、あれ、ギルドマスターは知っていたのに、サブマスターはご存知ないんですか? やっぱりあやしいですよね?」

クレイ 「あやしいってなんだ? 別に、サイモンとは知り合いだが他のギルド職員まで知らんだけだ、アンタの事も知らないしな。だいたい、俺はそのサブマスターのゴなんちゃらという人物に心当たりがない。俺と面識がないなら、待ってても俺の無実を証明する役には立たないだろうさ」

受付嬢 「少なくとも私の責任ではなくなるわ」

クレイ 「やれやれ、勝手だな。言っとくが、無実が証明されたら、お前の責任も必ず追求するからな? 逃げられると思うなよ?」

受付嬢 「逃げられないのはあなたのほうでは?」

クレイ 「別に、その気になったらここから逃げ出すのはわけもないが…」

冒険者B 「おいおい、俺達が居るのに逃がすと思うか?」

クレイ(ぐるりと囲む冒険者達の顔を眺めてから) 「特に難しいとは思えないが?」

冒険者C 「てめぇ、痛い目を見ないと分からんようだなぁ?」

冒険者A 「待て待て。こんなところで暴れるな。

――なぁ、お前。聞けば、元冒険者だそうだが、随分と腕に自信があるようだな? 裏の訓練場で俺と模擬戦やらないか? 俺は強い奴と戦うのが大好きなんだ。もし勝てたら……いや、勝てとは言わん、元冒険者である実力をちゃんと示すことができたら、信じてやるよ。ああ、俺はラルク、Aランクの剣士だ。お前は?」

クレイ 「クレイだ、Cランクの認定まではとった」

ラルク 「じゃぁ、模擬戦で実力を示せたら、Cランクで登録を認めてやろう」

受付嬢 「ちょっと、勝手な事!」

ラルク 「いいじゃねぇか、俺が責任を取る。俺からギルマスにちゃんと言ってやるからよ?」

受付嬢 「それなら……ああ、駄目。それでも無理よ、仮に認めたとしても、エラーが起きてる以上そのギルドカードはもう使えない。ギルドカードの再発行にはギルマスの許可がいるわ」

ラルク 「じゃぁ、新規登録なら?」

受付嬢 「それなら可能だけど…Fランクスタートになるわ」

ラルク 「とりあえず、Fランクでもいいよなクレイ? とりあえず、登録しないと不便だろう? 後でギルマスが帰ってきたら、ランクは書き換えてもらえばいい」

クレイ 「…まぁ別にFランクでもいいけどな」

受付嬢 「ラルクに勝てたらの話だけどね。負けたら留置場で一ヶ月過ごしてもらうわよ?」

受付嬢 (そっちの獣人の二人はともかくとして、コイツはあまり強そうには見えないしね…」

クレイ 「声に出てるぞ?」

ラルク 「だから勝つ必要はねえって、仮にも俺はAランクだぞ、Cランクに負けるわけねぇだろ?」


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