異世界転生したプログラマー、魔法は使えないけれど魔法陣プログラミングで無双する?(ベータ版)

田中寿郎

文字の大きさ
127 / 184
第二部 ダンジョン攻略編

第127話 インタビュー with クレイ

しおりを挟む
ミレイ 「もちろん、内容に応じて謝礼は出します、重要な情報であるほど買取金額は高くなりますが、まずは、エール一杯程度でお話して頂けるようなゴシップレベルの話からお伺いできれば、と…」

そう言いながらエールを注文しようとするミレイをクレイは止めた。

クレイ 「お断りだ。別に金に困ってはいないし、個人情報を切り売りする気はない。

…と言いたいところが、まぁ内容次第だな。ある程度出す情報をコントロールできるなら、情報を開示する価値も少しはあるだろう。だが、情報を垂れ流されるようなら…こちらも色々と秘密にしておきたい事もあるしな、解るだろう?」

ミレイ 「もちろんです! 許可が得られた情報しか公表はしません、約束します」

クレイ 「初対面の口約束など信用する事はできないが―――まぁ、もし、秘密の情報を勝手にバラされたら、あるいは、事実でない事を吹聴されたりしたら、その時はミレイ自身が物理的にバラされる覚悟があるんだろうな?」

ミレイ 「物理的にバラされる……」

ニヤリと微笑む。笑顔なのか違うのかよく分からない引き攣った顔になるミレイ。

ミレイ 「…そっ、れは…、も、もちろんです。秘密は守ります、当然です。情報は命です。こんな商売をしていますから……恨みを買ってしまえば大変な事になりますので、その辺は普段から気をつけています…」

クレイ 「まぁいいだろう。で、何が聞きたい?」

ミレイ 「そ、その…クレイさんのクランについては、既にかなりの噂が出回っていますが、ご存知ですか?」

クレイ 「ああ知ってる」

知ってるも何も、大部分はクレイが意図的に流した情報である。

ミレイ 「まずは、それらの情報の真偽の確認と、後はまぁ割とどうでもよいようなゴシップ程度の情報から聞かせて頂ければと…」

クレイ 「ゴシップ程度ねぇ…」

ミレイ 「ええっと、まず、クレイさんのクランの名前はクレユカというそうですが、その意味は【クレイと愉快な仲間達】の省略形だとか?」

クレイ 「ああそうだよ。暫定で付けたんだがな。他に適当な…良い名前があったら変えるかもしれん」

ミレイ 「――なるほど。次に、クレイさんは以前は迷宮都市リジオンで活動されていたとか?」

クレイ 「……ああ、まぁ、そこで活動していた事もある」

実際にはリジオンで冒険者として活動していた時期は短く、その地下深くにある古代都市リルディオンに居た時間のほうが圧倒的に長いのだが、短くとも活動していた事実はあるので嘘はついていない。

幸いミレイは、現在流れている噂についての確認が優先のようで、リジオンでの活動についてはそれ以上突っ込んでこなかった。

まぁもし仮に、わざわざリジオンまで行ってクレイについて調べようという者が居たとしても、入れ替わりの激しい冒険者の世界の事。当時を知る者はほとんど居ないだろう。

ミレイ 「クレイさんはこの街の出身だという噂ですが、それは本当ですか?」

クレイ 「…ああ、本当だ」

ミレイ 「ええっと、ここからは、センシティブな情報となるので、お答えできる範囲でいいのですが、お答え頂ければ、つまり情報として売る事を許可頂ければですが、内容次第では多少高値で買い取らせて頂きますが…」

クレイ 「うん?」

ミレイ 「クレイさんは、この街の領主であるヴァレット家の縁者であるという噂があるのですが、本当ですか?」

ずばり尋ねて来たミレイに、クレイは一瞬答えるのを逡巡した。

どこから漏れたのか? ギルド職員と衛兵達は口止めされているはずである。…とは言え、こういう噂はどこかしらからいずれ漏れる可能性があるのは覚悟はしていた。

ただ、噂の出処についてはすぐにミレイが自ら暴露してくれた。

ミレイ 「実は、クレイさんと、お顔が似ていると誰かが言い出したのです、その、領主様と、その嫡男であるワルドマ様に――」

なるほど! と納得するクレイであった。クレイは日本で生きていた記憶がある転生者ではあるが、父ブランドと兄ワルドマとは血の繋がった家族である。領主の顔を見たことがある者なら、気づいても不思議ではない。

ミレイ 「――それで、もしかして、領主様のご落胤なのでは? と噂する者がおりまして。それで、下世話な噂を囁く者も居るようでして」

クレイ 「下世話な噂?」

ミレイ 「領主様が奥様と不仲で、市井に作った愛人の子を可愛がって、クレイ様を秘密裏に支援しているとか、クレイ様がワルドマ様を追い落として次期領主の座を狙っているとか…」

クレイ 「へぇ…想像力が豊かだな。俺は…」

答え方に少し気を使うクレイ。黙秘では認めたも同じになってしまう。否定すれば嘘になってしまう。別に嘘でも構わなかったが、既に事実を知っている者も多いのでクレイは…

クレイ 「俺は、領主家とは無関係だ。(今は。)ただの平民のクレイだ。出自に関してはプライベートな情報だ、あまり、これ以上話す気はない」

ミレイ 「……分かりました。それでは……」

ミレイはメモを見ながら質問を続ける。それを見て、なるほど、魔皮紙にクリーンを併用すれば、何度も使えるメモ帳として使えるわけかと思うクレイ。

クレイはそもそも素の状態では生活魔法すら使えなかったし、領主家では紙にもそれほど不自由していなかったので、そういう使い方は思いつかなかったのであった。

ミレイ 「…それから、転移ゲートという古代遺物アーティファクトを持っていらっしゃるとか?」

クレイ 「…それについては機密事項だから言えない」

ミレイ 「持っているかどうかだけでも?」

クレイ 「それも答える気はない。答えなかったという情報も、出す事は禁止だ」

ミレイ 「そっ、ですが、ダンジョン攻略の進行具合を疑う者達も居るようなのですが? 帰還が早すぎると専らの噂です。ダンジョンの階層攻略報告自体が嘘で、ギルドは騙されているなんて言う者も居るようですが?」

クレイ 「もしそんな古代遺物アーティファクトが存在しているとして、その価値はどれ程のものになると思う? もしそんなモノが実在しているとなったら、それを欲する人間が出てくるだろう。その結果、恐ろしい事が起きると思わないか? それこそ、ミレイの命などいくつあっても足りないほどの話になるかも知れないんだぞ?」

ミレイ 「それは……確かに」

クレイ 「あくまでも、“噂” ということにしておいたほうがいい事もあるのさ…」

ミレイ 「…でも、ダンジョン踏破が疑われている事については…」

クレイ 「別に、疑う奴は疑わせておけばいいだろう、それで何か問題があるか? ギルドが認定してくれている、それで十分だろう?

いや、なんならギルドが認定しなくても構わない。俺はダンジョンを踏破したいだけだ。誰に認められたいわけでもない。だから、信じてもらう必要もない。

まぁ、ただの自己満足だと思ってくれればいいさ」

ミレイ 「そ、そうですか…。それで、確かに何も、問題はない……ですかね?」

クレイ 「もし、問題があると言うのなら、ギルドにも一切情報も素材も持ち込まず、秘密裏にダンジョンを踏破する事にしよう」

サイモン 「それは困るぞ」

いつのまにかクレイとミレイの後ろに立っていたサイモン。情報屋のミレイがクレイに接触していると聞いて心配して出てきたのだ。


しおりを挟む
感想 98

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う

シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。 当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。 そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。 その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...