パワハラで人間に絶望したサラリーマン人間を辞め異世界で猫の子に転生【賢者猫無双】(※タイトル変更-旧題「天邪鬼な賢者猫、異世界を掻き回す」)

田中寿郎

文字の大きさ
18 / 85
序章(プロローグ)

第18話 え? ケットシーって読むにゃ?

しおりを挟む
門番「これは…! マスターロデス、すみませんっすぐに追い払いますから!」

ロデス「やめやめ。ちゃんと相手の話も聞かないとダメだっていつも言ってるだろう?」

門番「ですが、相手は獣人ですよ?」

ロデス「相手が誰でも同じだよ。商売のチャンスはどこに転がっているか分からないんだ。それを逃すような門番なら辞めてもらうしかないよ?」

門番「そっ……すみません……」

ロデス「君、済まなかったね。僕はロデス。商業ギルドでちょっと偉い人をやっているよ。…君は?」

「…カイトにゃ」

ロデス「それで、どんな獲物を持ってるんだい?」

「色々にゃ。見てもらってほしいものを選ぶにゃ」

ロデス「どこに…?」

「【収納】に入ってるにゃ」

ロデス「収納? ああ、もしかして、マジックバッグを持っているのかい?」

「まぁそんな感じにゃ」

門番「ほんとに持ってるのか?」

ロデス「君、クビね」

門番「えっ?!」

ロデス「私が言ったことが理解できないみたいだから。君にはもっとふさわしい職場が他にあると思うよ?」

門番「そんな! 待ってください…! 私はただ……」

だが、ロデスは門番の弁解を無視し、俺の肩を抱え一緒に中に入ってしまう。すると入れ替わりに中から大男が外に出て、先程の門番だった男を黙らせていた。



  +  +  +  +



商業ギルドの裏の倉庫の空きスペースへ案内されたので、そこでいくつか魔物を出してやったが、それを見てロデスは目を白黒させていた。

ロデスは【鑑定】のスキルを持っているそうで、一つ一つ鑑定していた。しばらく待っていると鑑定を終えたようで、ロデスが戻ってきて、ひとつの魔物につき、金貨一万枚でどうかと提示してきた。(六種類ほど出したので合計金貨六万枚である。)

貨幣価値に慣れていないのでいまいちピンと来ないが、ここまで買い物をしてきた感覚からすると、かなりの大金だろう。

ただ、金額が金額なので、俺の事を少しだけ【鑑定】させてもらいたいとロデスが言ったので許可したが、魔力が自分に当たって擽ったいような感覚がして、反射的に弾いてしまった。

ロデスが鑑定が通らないと言う。なるほど、鑑定を受けるとあんな感覚がするのか、勉強になった。

もう一度鑑定するようロデスに言う。今度は弾かず我慢する。

だが、やはり見えないと言う。

鑑定は本来、自分よりレベルが高い相手には通らない。どうやら俺のレベルはロデスより高いようだ。

ただ、許可を出してくれれば、その項目については見られるようになるそうだ。ならばと、問題なさそうないくつかの項目について意識的に“許可”を出してやる。

するとやっとロデスも鑑定結果が見えるようになったようだ。

ロデス「…種族名:【賢者猫ケットシー】……!!」

「ケット……?」

ロデス「カイト君……いえ、カイト様と呼ばせて頂きますね。カイト様の種族名です」

「種族名はカイトシスじゃにゃいのか?」

ロデス「いえ、それはケットシーと読むのですよ」

「にゃんと、そうだったのか…」

“カイト・シス”なんて知らないと思っていたが、ケットシーなら聞いた事あるな…。たしか、不思議な国のアリスに出てきた猫の名前…だったか?(※違います)

ロデス「妖精猫、別名賢者猫とも呼ばれる、極めてレアないえ高貴な種族です。お目に書かれて光栄です…」

もう十分だと言う事で、全てを先に提示した通りの金額で買い取ってくれるという。今後も持ってきてくれたら全て買い取ると言ってくれた。

本当はまだまだ大量に魔物の素材が収納されているのだが、黙っていた。なぜなら、今出した分だけでも大金すぎてギルドの金庫にある現金では足りないので、全額用意するのに時間が掛かると言われてしまったのだ。

ロデス「カイト様、是非、商業ギルドに登録して下さい。そうすれば、足りない分は商業ギルドの口座に振り込みという形にいたしますので」

「嫌にゃ」

ロデス「え…? いや、何も不安になるような事はないですよ? 登録すると身分証ギルドカードが発行されます。そしてギルド内に口座が作られ、この人はこれだけ持っているとカードに記録されるのです。そしていつでも、世界のどこの商業ギルドの支店でも、現金を引き出す事ができますし、現金を使わなくても、カードを使って口座から直接決済が可能となるのです。便利ですよ?」

ロデス「それに、全世界で通用する身分証明書を手に入れる事でもあります。街の入城時などにも使えますよ」

「…断わるにゃ」

ロデス「なぜです? 商業ギルドの登録は、普通はかなり厳しい審査があるのですよ。でもカイト様はそれをなしで登録いたします、私の権限で。断る人はあまり居ないと思いますが…」

「メリットだけ言うのは詐欺っぽいにゃ。デメリットもあるはずにゃ」


しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

処理中です...