パワハラで人間に絶望したサラリーマン人間を辞め異世界で猫の子に転生【賢者猫無双】(※タイトル変更-旧題「天邪鬼な賢者猫、異世界を掻き回す」)

田中寿郎

文字の大きさ
61 / 85
序章(プロローグ)

第61話 ワズロー爆散! ……?

しおりを挟む
「いくらやっても無駄にゃよ。その程度の剣撃で壊れるようなヤワな障壁じゃないにゃ」

ワズロー「騙されんぞ、そうやって止めさせようとするのが、実は破れかけている証拠だ」

「百回斬りつけたって壊れはせんにゃ。その前にお前の体力がなくなるにゃ」

ワズロー「百回斬りつけて破れずとも、百一回目で破れるかも知れんじゃないか」

「努力は必ず報われるってか? じゃぁ百回でも千回でも気が済むまで試して見ればいいにゃ…」

ワズロー「言われんでも!」

攻撃を続けるワズロー。

だが、一向に魔力が切れる気配がない。

そして、疲労により徐々に攻撃が鈍り始め、理解したようだ。

ワズロー「馬鹿な……物理攻撃を防ぐような魔法障壁は魔力量の消費が激しいはずなのに……」

「反撃するにゃ」

俺は風刃を一つ飛ばしてやる。当然その程度は短剣で払い打ち消すワズロー。だが、もちろん一発で終わるはずがない。

「にゃちょちょちょちょ~!」

俺は両手の爪を出し、連続して振る。一度振る度に爪から4つの風刃が飛ぶが、さらに、火球ファイアーボール水球ウォーターボール石槍ストーンランスと様々な属性の攻撃魔法を次々と放ってやる。(風刃以外も、爪を振って出すのが癖になってしまった。)

それを飛び退がりながら剣で払うワズロー。

さすが、全て見きって躱せている。まだ余裕のある表情だ。まだその目には闘志がある。攻撃を凌ぎきれば俺の魔力が尽きる、その隙に攻撃を仕掛けようとでも考えているのだろう。

では、さらに攻撃の量と回転速度を増やしてやろう。ほれ、ほれほれ。どこまで躱しきれるかな? 表情に余裕がなくなってきたな?

さらに俺は、ワズローの背後に土魔法でぐるりと壁を作ってやった。ワズローが後退しながら攻撃を躱すからである。それを許していると荒野では際限なく距離が広がってしまうからな。

後退りながら攻撃を短剣で払っていたワズローは、背中に当たる壁の感触に硬直した表情をした。

「後退は禁止にゃ」

もちろん横にも逃げられないように壁を建ててある。

ワズロー「ちょ、まっ…」

「待たないにゃ」

攻撃再開。さらに攻撃魔法が射出される間隔を短くしてやるとワズローは捌ききれなくなり、ついには魔法攻撃を身体に複数浴び、爆散してしまった。

ワズローの魔力の気配が消えたので俺は攻撃をやめ、少し砂埃が収まるのを待つ。やがて、俺が作った背後の壁が見えてくるが、ワズローの姿はない。死体もない。まぁあれだけの攻撃を受けたのだ、死体も残さず爆散してしまったのだろう。

その時、背後に気配を感じた。振り返ると数名の騎士達。ああ、先程城壁の中に入った連中か。

もう勝負はついたのだから、黙って帰って侯爵? に報告すればよいのに、と思うが、騎士達は剣を抜き、問答無用で襲いかかってくる。

【身体強化】も使っているようでなかなかのスピードだったが、ワズローには遠く及ばない。当然俺の【加速】のほうが速く、俺は騎士達の太刀筋を掻い潜りながら、爪を使って順番に斬り裂いてやった。

騎士達が倒れた後、周囲の魔力を探ってみたが、敵はもう居ないようだ。

城門から見ている衛兵達がいるが、彼らは街の平民であり、襲ってくる様子はないので放っておいてよいだろう。



  +  +  +  +



■エイケ侯爵

応接室でレイゼル将軍の相手をしていると、執事の補佐がやってきて、第二騎士団のワズロー団長が戻った事を告げた。

「ほう、速いな。まぁ獣人一人討伐にそう時間は掛からんか」

ほれみたことかと俺はレイゼルを見ながら言ったのだが…

執事補佐「それが…」

「どうした?」

補佐「とりあえず、中庭へ来て頂けますか、長くは持たないと思われます」

「中庭だと?!」

レイゼル「?」

私は中庭へ急いだ。

いきなり中庭にワズローが現れたと言う事はつまり、緊急避難用に与えていた転移の魔導具が作動したと言う事だ。一度しか使えない使い捨ての非常に高価な魔導具でもある。そのため、安易に使えないよう、登録者が瀕死の重傷を負った時に作動するようになっている。そして、転移先は屋敷の中庭に設定してあるのだ。

つまり、ワズローが門を通らず中庭にいきなり現れたのだとしたら、それが作動するほどの深手をワズローが負ったという事なのだ。


しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

処理中です...