仙人のドングリ

morituna

文字の大きさ
2 / 3

仙人のドングリ  <第2話>

しおりを挟む
 1個目のドングリを食べた猿は、時をさかのぼって、ゴボウ掘りの時点に戻った。
 農夫が、畑でゴボウ掘りをやっている。
 しかし、下手くそな上、土が硬く、一本も掘れないので、嘆いていた。
 猿は、何か褒美をくれたら、代りにゴボウを掘ってやろうと、農夫に提案した。
 農夫は、ゴボウを代りに掘ってくれたら、おれの三人の娘の誰かを嫁にやろうと言った。
 そうすると、猿は、「ほんとうにくれるかね。3日たったら来るよ」と言った。
 また、猿は、「臼等の重いものは、担げない」と、釘を差した。
 農夫は、まさか猿が娘をもらいにくることもあるまいと思ったから「よしよし」と
言った。また、「重いものは担がなくて良い」と約束した。
 そうこうしているうちに、猿がゴボウを手早く抜き出し、残らず掘り出してしまった。掘り終わると、「3日後に、娘をもらいに来るよ 」と言って、山へ帰っていった。
 猿の住処は、山道の先にあった。

 農夫は、家に戻ると、3人の娘に相談した。
 父親の頼みを、長女

も次女

も、拒否した。
 三女

も同じように拒否するだろうと思って相談したところ、
 三女は話をじっと聞いて考えていたが、「父さん、そんなら私が猿の嫁に行きます。」と言ったものだから農夫は、たいそう喜んだ。「私は、親孝行になると思うので行きます。」
 「それと、3つの物を用意してください」と言った。
 それは、重い臼と、重い杵と、米俵だった。
 それをきいた農夫は、用意はできるが、
 猿との約束で、それらを、猿に担がせることはできないと言った。
 娘は、猿処分計画に狂いが生じたので、どまどった。

 3日が経過して、猿が娘をもらいにやって来た。
 娘は、「お猿さん、お猿さん、私が嫁に行きます。」と言った。
 猿は、手ぶらで、娘を連れて、沢山の桜

が咲いている山道を登って行った。
 谷川に桜の枝が伸びて、美しく咲いていた。
 すると、娘が「一番上に咲いている桜の枝を取って来てくれ」と言った。
 猿

は何も背負っていないので、枝も折れず、一番上の桜の枝

を取って、無事に娘の所へ戻って来た。

 娘は、次の猿処分計画に着手した。
 山道を更に登って行くと、滝になっている所へ出た。
 娘は、猿をどこで谷川へ落としたら、上手く処分できるか、落とす場所を探し始めた。
 滝壺付近は、岩にコケが生えていて、滑り易くなっていたので、娘は、足を滑らせて
 谷川に落ちてしまった。

これを見た猿は、直ぐさま、谷川へ飛び込み、何とか、娘にたどりついたが、
 水流が早いので、1人と1匹は、浮き沈みながら流れていった。
 猿は、流されながら、仙人からもらった2個目のドングリ

を食べた。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

「いっすん坊」てなんなんだ

こいちろう
児童書・童話
 ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。  自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・           

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

ユウタの手紙

児童書・童話
ある朝、ユウタの枕元に一通の手紙が置かれていた。 差出人は「きのうのぼく」。 そこから毎朝届く手紙には、昨日の自分をほめる言葉が書かれていた。 少しずつ、自分を認める喜びに気づいていくユウタ。 “自分をほめる”小さな勇気が、心をやさしく照らしていく。

少年騎士

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

神ちゃま

吉高雅己
絵本
☆神ちゃま☆は どんな願いも 叶えることができる 神の力を失っていた

だーるまさんがーこーろんだ

辻堂安古市
絵本
友だちがころんだ時に。 君はどうする?

隣のじいさん

kudamonokozou
児童書・童話
小学生の頃僕は祐介と友達だった。空き家だった隣にいつの間にか変なじいさんが住みついた。 祐介はじいさんと仲良しになる。 ところが、そのじいさんが色々な騒動を起こす。 でも祐介はじいさんを信頼しており、ある日遠い所へ二人で飛んで行ってしまった。

処理中です...