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しおりを挟む買い物カートを押しながら並んで歩く。奈津希は不思議な気分だった。
「、ねぇ春くん?」
勇気を出して春に声をかける。奈津希はもう春の家にはいられないのに喫茶店を出た後春は買い物をしようと奈津希を引っ張った。パスタのソースを真剣に選ぶ春は奈津希を見ないで返事をする。
「んーなんだよー…カルボナーラとペペロンチーノどっちだ?」
「俺、すぐ家帰る、よ?」
恐る恐る口に出す。本当は帰りたくないことを飲み込んだ。心臓がばくばくとうるさい。春の動きが止まった。奈津希は春から目が離せない。春はカートを挟んで奈津希と向かい合う。
「んっ!」
それはいきなりだった。唇に柔らかいものがあたる。なにが起こったのか理解するより前に春は奈津希から唇を離した。奈津希は驚いて声も出ない。…なっなに!?今の、き、す?頭が混乱して思考回路がショートする。
「ははっ、間抜けズラ。…なぁ奈津。」
「なっ、なに!?」
「俺、たぶん冷蔵庫に残った食材お前がいなくなったら全部腐らせる自信あるからそれ使い切るまで家にいろよ。な?」
奈津希は優しく笑う春にゆっくり頷いた。
「ん。交渉成立だ。で、やっぱカルボナーラだなっ」
何事もなかったように春はパスタソースをぽんとカゴに入れて歩き出した。あの日されかけたキスが鮮明に蘇る。一瞬すぎて本当にされたのかどうかもわからない。ただ心臓が強く脈を打っている。少しふらふらしながら奈津希は春の後を追いかけていた。春はぽんぽんと弁当のおかずやら夕飯の食材やらを入れていく。食材がなくなるまで…春くんの家にいれる…。奈津希はぐっとなにかを飲み込んだ。まだ春のそばにいれる。いてもいいと春が言う。春が奈津希を必要としていることがなにより嬉しかった。奈津希はそっと自分の唇に手を触れて短く息を吐き出した。
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