ネトラレ茂吉

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ネトラレ屋

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「うん、まぁまぁ似合ってるよ」
 旅籠近くの古着屋で白衣と菅笠、杖を買い込み、そのまま茂吉に着付けるとおたえは笑った。荒物屋で買った草鞋を足首に巻き付けてやり、脚絆と手甲を付けさせる。
「藁草履じゃダメなのかい?」
 足首に巻かれた藁紐に違和感があるのか、両足をもじもじさせながら茂吉が言う。
「オイラ、こんな、手や足に何か着けた事無ぇや」
「そりゃあ、長く歩くんだ。当たり前だろう。あんたはアタイの弟なんだ。大人しくされるがまんまにしときな」
 金を払うおたえを見て、茂吉がオロオロとする。
「見てみな」
 おたえが見世みせを顎で示し、茂吉に囁いた。
「いつもなら居るだろう女客が居ない。女ってのは買い物が好きだからね。用がなくったって見世みせと見りゃ覗かずにいられやしないのさ。それが一切居ない。となれば、見世みせの連中の狙いはアタイになる。金を使って貰わなきゃアッチもおまんまの食い上げだからね。そうなると、ちょっとでも自分のとこで銭を落として貰うために、必死になる。多少損してでも売り付けようって腹だ。それが、あんた、弟に頭の天辺から足の先まで一揃え買おうって姉ちゃんだ。あんたならどうする?」
 唐突に振られて、茂吉は目をぱちくりとさせた。
「そりゃあ……」
見世みせとしちゃ、本当は沢山の客に高く売り付けたい筈だ」
「んなら、うちで買った物は良い物だって言って回ってくださいって言うかな」
 茂吉がシジミ売りをしていた時も、口コミを聞いてわざわざ買いに来ていた人も居た。安く売っても、その分買いに来てくれる人が居れば、売り上げは上がった。
「よしよし、やっぱりただ馬鹿なだけじゃあないね」
 茂吉の頭を撫でてから、おたえは見世みせの主人へ可愛らしい顔を向けた。
「すいませぇん、アタイの見立てだけじゃ不安だから、見て欲しいんですけど」
「はいはい、ありがとうございます!」
 いそいそと近付く中年の男に向かい、おたえが小首を傾げる。
「あの、弟も女の子にモテたいみたいでね。若い女の子に見て貰えないかしらと」
「へぇ」と見世みせの店主が微妙な表情をした。
 実は、この見世に年頃の娘が居るのは調べてある。そして、その娘にイイヒトが居ない事も。
 茂吉がギョッとした表情をしたのも束の間、店主が奥へと娘を呼びに行く。
「ちょ、おたえさん!」
「姉さん、でしょ」
「姉さん、どういうつもりで……っ」
 言いかけて、茂吉の声が詰まる。視線は見世みせの奥から現れた娘に釘付けになっていた。
 見世みせの奥でやや揉めた声の後、不承不承と言った体で現れたのは、店主の娘だった。健康的な肌にキツく纏めた髪は顔の小ささを強調し、小振りな唇は一口で頬張れそうな小ささで、潤んだ素朴な瞳は汚れを知らぬ仔犬に似た愛らしさがあり、その小さな肩はスッポリと腕の中へと収まりそうな……。
「……」
 娘が青い顔で店主を振り返り、首を左右に振ると、そのまま踵を返して奥へと走って行ってしまった。
「あ、こら! すみません。どうも具合が悪いみてぇで……」
 慌てて頭を下げる店主の向こう、見世みせの奥から、えづく声が聞こえてくる。
「あら、そうだったんですね。すみませんこちらこそ無理を言って」
 そう言うと、茂吉用に一式揃えた分の金を店主に渡す。
「ああ、ありがとうございます。こちらは、娘が失礼した分で」
「あら、気にしなくても良いのに」
 おたえは、店主がビタ銭を一枚返して来るのを、眉根を下げて微笑んで受け取ると、茂吉と共に見世みせを出る。
「で、これから旅に出んのか?」
「まだよ。まずは、ちょっとゆっくりしようかね」
 おたえの意図がわからず、茂吉が肩を竦める。
「そ、そんなら、また後でちょっとこの見世みせにまた来てぇんだけど」
 茂吉の頭からは、娘の潤んだ瞳と小振りな唇が離れない。
「ああ、勿論だよ」
 それこそ、我が意を得たりとばかりにニッコリとおたえが微笑む。
 旅装束を身に付けた茂吉は、そのまま番所へと連れて行かれていた。
「え、おた、姉さん、どう……」
 狼狽えて、どういうつもりなのかと聞こうとする茂吉を放って、おたえは番所内の端にいた男に声を掛ける。
「ちょいと。弟の髪をどうにかして欲しいんだけど」
「あいよ」
 顔を上げた中年の男が、茂吉へと視線を向ける。
「ぼっさぼさじゃねぇか。何年伸ばしっぱなしにしてたんでぃ」
「あ、え、う」
 言われて、茂吉が後ずさった。
「逃げんじゃないよ。家出してた弟を取っ捕まえたんでね、このまんまお遍路へ引き摺って行くのさ。見られるようにしておくれ」
 最初の一言を茂吉へ、後を中年男、内床の髪結いへと投げて、「ほら」と上がり框へと座らせる。
 ギラリと光る、髪結いの持つ薄い刃物に、茂吉は総毛立った。
「ちょ、姉さん、おいら、このまんまで大丈夫だからっ」
「言っただろ? あんたはアタイの弟なんだ。さっさと小綺麗にされてきな!」
「ハッハッ。坊主も姉貴にゃかなわねぇなぁ。ささ、姉ちゃんが感心する美男にしてやるから、そこへ座って目ぇ閉じてな」
 おたえの言葉に、髪結いが笑うと力強く茂吉の肩を掴んで押さえる。
「頼んだよ。ちょいとアタイは茶でも飲んでくるさ」
 ヒラヒラと手を振って出て行くおたえを見送り、髪結いを見ると、何やら泡を立てているところだった。
「コイツを顔と頭に乗せて……っと、お前さん、年はいくつだい?」
「じ、十四で」
「そんなら、前髪は残して来年剃り落とすとして。姉ちゃんと並んでも見劣りしねぇくれぇの流行りの髪型にしてやるから安心しな。まぁ、前髪は、遍路の帰りにでも寄ってくれりゃ俺が落としてやるよ」
 ぺらぺらと喋りながら髪結いは、顔を傾けさせ、ふわふわとした泡を乗せる。手慣れた様子で頬で刃物を軽く撫でられると、ショリショリと聞きなれない音が聞こえた。
「おいらは今、皮を剥かれてるんかい?」
 反対向きに傾けられた隙に、茂吉は髪結いに尋ねる。
「ハッハッ。まぁ、違ぇねぇ。古い皮や要らねぇ毛を剃ってんのよ。するってぇと中から生まれたての美丈夫が出て来るって寸法さ」
 言いながらショリショリと反対側も剃られていく。
「まぁ、そんなに緊張するこたねぇよ。世の中の男はみぃんなやってんだ」
 剃り終わった顔の泡を熱い湯で濡らした手拭いで拭き取られると、手鏡を渡された。
 茂吉は、その実、鏡をまじまじと見るのは初めてである。昨夜の部屋にもあった気がするが、自分には関係ない物と思っていたのでよく見ていない。
 鏡の中には、顔の色が薄くなってやや垢抜けたような茂吉がいた。
「こ、これがおいら?」
 伸ばし放題の髪を後ろへと撫で付けられ、額の上を丸く櫛で取って髪紐で手早く括ると、ひょいと前に垂らされる。その後ろの頭頂部を前髪より大きめに取り、やはり髪紐で括ると、その後ろを下へと櫛を通し、やはり髪紐で括る。頭頂部へやおらハサミを差し入れると、ショキンと耳慣れない音と共にパラリと髪が目の前を散った。
「あ、え」
 短くなった頭頂部へ泡が乗せられる。
「なぁに、怖けりゃ目を瞑ってな」
 ジョリ、と顔の時よりも大きな音が耳に響く。ジョリ、ジョリリと丁寧に剃られた後、再び熱い湯で絞った手拭いで拭き取られ、何やら髪に満遍なく油を付けられた。
「こいつは伽羅の油っつってな。松脂やら香りの良い油やらを混ぜたもんで、まぁ最近の流行りだ」
 固形のソレを手の温度で溶かし、髪へと塗り広げ、櫛でとかす。ふわりと良い香りが広がった。
「良い香りだろう? こいつが若い女に人気があってよ」
 言いながら、髪結いは茂吉の髪に櫛を通し、首元に膨らみを持たせて横の髪で安定させるように組むと前髪と合流させ、髪紐でグルグルと巻く。後ろに飛び出た部分へ櫛を通し、丁寧に結い上げると、要らない部分をサクリと切って落とす。
 気がつけば一刻も経っていた。身動きが取れずにいたため、ぐいと身を伸ばすと肩がボキリと鳴った。
「おめえら、親は居ねぇのかい?」
 何気なしに髪結いが聞く。
 親が居ない子供は珍しくもない。
「……居ねぇ……」
「そうかい。で、お前さんは家を飛び出して、姉ちゃんはお前さんを取っ捕まえに来たってわけかい」
 髪結いは、茂吉の肩や背を払い、再び鏡を見るように促す。
 鏡の中には、小綺麗な身なりの若い衆が居た。数日前までの小汚ないシジミ取りと同じ人とは到底思えない程の変身ぶりだった。
「どうでぃ。こんなら姉ちゃんも文句無ぇだろう」
「そうだね。こんなら恥ずかしくないや」
 いつからいたのか、おたえが入り口から声を掛けてきた。すっかり小綺麗になった茂吉をしげしげと眺め、頷く。
「いくらだい?」
「五十両だよ」
「アッハッハ」
 髪結いと顔を見合わせて声を立てて笑うおたえの横で、茂吉は目をまん丸くしていた。
「冗談だ、坊主。そんな顔すんな」
 真に受けた茂吉の表情に、髪結いは腹を抱えて笑う。
「五十文と言いてぇが、三十五文で良いよ。坊主と姉ちゃんの再会祝いだ」
「良いのかい、ありがとう」
 おたえが懐から財布を取り出して紐をくるりと解くと、四文銭を九枚手渡す。
「ひーふーみー……。今、何時なんどきだい?」
「んもう、そういうのは良いから、早くお釣りおくれよう」
「はいよ、一万両のお返しだ」
 髪結いが一文銭一枚をおたえに返すと、再び顔を見合わせてアハハと笑い、おたえと茂吉は番所を出た。
「あの、おた、姉さん、今のどういう……」
 駄洒落や冗談はある程度の知識や知恵が無いと理解が出来ない。つまり、基礎の殆ど無い茂吉には、今のやり取りの何が面白くて笑ったのか理解ができない。
「あー、今のあんたには難しいから、算術とか、道々教えてやろうかいね」
 そもそも、茂吉に対して虫除け程度の期待しかしていないが、算術と金計算が出来るようになれば尚良いに決まっている。勝手に騙されて金を巻き上げられても困るのだ。
「見た目だけイッチョ前になってもねぇ」
 小綺麗になった分、銭を持ってると思われて襲われる心配が出て来る。
「さて、あの見世みせに戻ってみようか」
 おたえが可愛らしくニッコリと微笑む。この時おたえは、己の立てた仮説が正しいのを証明されているのを確信していた。

 来た道を戻ろうと歩いていると、遠くから見ても明らかに古着屋の前に人が集まっているのが見えた。中心に居るのは小柄で健康的な色気のある見世みせの娘と、大柄な、やはり健康的な体格の若い男だった。成人しているのだろう、前髪は無い。髷を鯔背に結い、日焼けした顔は遠くから見ても男前だ。その男が、手を娘の腰に回し、周囲に照れたように頭を下げている。横では店主が男泣きに泣いていた。娘が顔を真っ赤にして両手で覆う。どう見ても、これは……。
「こりゃあ、近付けそうにないねぇ」
 満足げに頷きながら言うおたえの言葉が聞こえていないのか、茂吉は呆然と立ち尽くしていた。
「こいつぁ、めでてえ!」
「今日は酒盛りと行こうじゃねぇか!」
 おたえは、更に盛り上りを見せるそちら側へ背を向けると、茂吉の腕を取ってクルリと同じように背を向けさせる。
「ほら、ちょいと歩こうじゃないか」
 魂が抜けたようになった茂吉の腕を引き、おたえはそのまま番所を抜け、宿場町を後にする。
「そろそろ、あんたも気付いてるだろう?」
 日が徐々に高くなった頃、無心で歩を進める茂吉に、おたえが言う。
「ひとつ。あんたは、女が嫌う臭いを出している」
 おたえが、ぴっ、と人差し指を立てた。
「ふたつ。あんたは、惚れっぽくてすぐに女に惚れちまう」
 立てる指に、中指を追加する。
「みっつ。あんたに惚れられた女は、別の男とくっつく」
 薬指を含む三本の指を、茂吉に突き出した。
 茂吉の顔が、情けなく歪む。
「これは金儲けになるよ」
 にっこりと、今の空と同じくらい明るく、おたえが微笑んだ。
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