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第2章 勇者の証
第29話 3つの水晶
しおりを挟む翌朝、皆で扉の前立つ。
【マリア殿、ちょっと杖を杖を貸してくれ。】
私が聖女の杖を男に渡す。
男は、杖を少女に渡す。
【いいかい。この前に病気を治しただろう。あの時と同じ様に水晶にしてごらん。】
そう言って、杖を少女に握らせた。
少女は、水晶に向け杖をかざすと、水晶が輝き出し扉が開いた。
神殿の中は、こじんまりとしている。
真ん中に石で出来た宝箱がある。ただし、鍵の位置には、水晶が埋め込まれている。
「また、水晶かあ。」
私はつぶやく。
今度は、私から順に杖をかざしてみる。
ところが今度は、私も、少女も駄目だった。
少女は、めげずに何度も挑戦している。
変に力んでいるのか、顔が真赤だ。
皆で途方に暮れていると、男が変な事を言い出した。
【こうなりゃ、ダメ元で俺達もやって見るか?】
「え?俺達って?」
【マリーナと俺さ。マリーナ、やってみてくれ。】
マリーナが杖を持ちかざしてみるが、何も起こらない。
次に、男がやってみる。すると、杖が輝き出し、その輝きが水晶に移っていく。
そして、水晶が割れ宝箱が開いた。
皆絶句している。
「どうして?」
男は、頭をかきながら、説明に困った様子だ。
とりあえず、箱の中身を確認しようとすると、少女が既に取り出していた。
というか、既に装備している。
あっ、男に怒られている。
箱の中身は、何の変哲もない腕輪だった。
ただ、ちょっと大きいかと思われたが、はめた途端に、ちょうどよい大きさに変化した。
ともかく、これで勇者の証を手に入れる事は出来たが、疑問が2つ残されている。
何故、アイツが宝箱を開けることが出来たのか?
これについては、心当たりがあるがまさかと打ち消した。
もうひとつは、あの勇者の腕輪は一体何なのだろう?
ともかく、これで勇者の証は、手に入った。
後は、賢者かあ?賢者については、ほとんど記録が残されていない。
はあ、賢者。そう呟きながら、視線をアイツに向けていた。
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