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第3章 賢者
第32話 少女の名前
しおりを挟むあれからも、男と少女は、冒険者ギルドの依頼を受けている。
私は、あれ以来仕事に同行するのは止めていた。
認めたくはないが、私では足手まといだ。
そんなある日、珍しく、男が訪ねて来た。
もちろん少女も一緒だ。
【こいつが、なかなか名前を思い出せないんでな。】
要は、少女が名前を思い出せないので、とりあえず、名前を付けてあげようと言う事だった。
それから、各自で思いつく名前を出してみて、本人に好きなのを決めさせる事になった。
私は、思いつく名前を挙げてみる。
「ルナ、オーロラ、イブ、シャーロット」
少女は、きょとんとしている。
いまいちのようだ。
男は何か考えて込んでいる。
「あなたも何か考えなさいよ。」
しばらくの沈黙の後、男は呟いた。
【サキ】
少女は、なんか懐かしいと言って喜んでいる。
結果、少女の名前はサキになった。
男が何故、その名前を思いついたのか分からないが、その名前には覚えがある。
勇者サキ それは、前に、現れたという勇者の名前だった。
それからもムサシとサキは、修行と称して、ギルドの依頼をこなしていた。
ある日、サキが冒険者ランクがAになったと喜んでいる。
サキに仕事の様子を詳しく聞くと、全てサキが達成していると言う。
ムサシのおじさんは、ただ、見ているだけだと知り、彼が本当にサキを鍛えている事が理解出来た。
ムサシとサキの事は、冒険者ギルドでは、有名になっていて、2人を指名した依頼もあるのだそうだ。
そんな指名依頼の中で、ガイコツ島のスケルトン退治と言うのが来たと言って、私に相談に来た。
【スケルトンって言うのやっつける事になったんだけどなあ。光魔法でしか退治出来ないらしくてな。】
【なあ、一緒に行こうぜ。】
「はあ、仕方ありませんね。サキだけだと不安だし。」
【よし、じゃあ、明日だ。ところでスケルトンってのはなんだ?】
「スケルトンと言うのは、ガイコツの魔物です。」
【ガイコツのお化けか。】
私とムサシの会話を聞いていたサキは、ガイコツと聞いて、そっとムサシに抱きつく。
サキは、ガイコツが苦手のようだ。
そんな会話をしているところにマリーナが戻ってきた。
(見つけました。見つけたんですよ。)
「マリーナ、一体何を見つけたの?」
(賢者です。賢者の証がある場所です。)
(なんでも、ガイコツ島にあるらしいんです。)
私とムサシは、顔を見合わせた。
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