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第4章 王都へ
第61話 イーニン
しおりを挟む翌日、私達は、日の出と同時にムサシに叩き起こされた。
今日は、いつもの陣形では無く、ムサシが先頭を走っている。
そして、いつもより、移動速度が速めだ。
(師匠、ちょっと休憩を取ってください。
馬がバテてます。)
【しょうがねえなあ。休憩だ。】
「ムサシ、随分急いてるけど、そのコメとか言う穀物が、そんなに楽しみなの?」
【ああ、俺の世界では、毎日米を食ってたんだ。サキも食べて見れば何か思い出すさ。】
そうか、ムサシはサキの記憶が戻る事を期待してたのか。
【米と魚料理を一緒に食べると美味いぞ!。米があるって事は、米を使った酒もあるって事だ。ますます、楽しみだなサキ。】
うん。私の思い過ごしだった様だ。
早くコメが食べたいムサシのおかげで、私達は、昼過ぎにはイーニンに到着する事が出来た。
【よし、先ずは、宿屋だな。今夜は南街でいいだろう。】
私達は、南街の大きな宿屋に入る。
【親父、一部屋頼むぜ。5人と2匹だ。】
「ちょっと、ムサシ、せめて2部屋にしてよ。」
【駄目だ、それじゃ護衛が出来ない。それに、街中の方が守りにくいんだ。派手な魔法も使えないしな。】
幸い大人数様の部屋が、空いて居た。
部屋は、建物が別になっていて、一軒家だった。
【ほう、台所まであるじゃないか。鍋や食器も揃ってる。これは好都合だな。】
【じゃあ、ちょっと出かけてくる。誰が来ても入れるなよ。ヤタ、ロウ頼むぞ。うふふ】
そう言って、ムサシは笑いながら出かけて行った。
相変わらず、何が可笑しいのかさっぱり分からない。
私達は、部屋でお茶を飲んでのんびりする事にした。
あのー、ムサシさんって何者なんですか?
(そうですね。師匠は、無茶苦茶な人です。まだ、本気を見た事無いし。)
『サキはおじちゃん大好き。』
「そうね。サキにだけは優しいもんね。」
「ところでマリーナ、アイツ、いつの間に雷魔法とか覚えたの?」
(師匠は、前から使えてましたよ。ルトの町でギルドの訓練場に通ってた時に、魔法使いの冒険者と仲良くなって、色々と教わっていましたから。)
「へー、そうだったの。でも色々って?」
(ええ、基本的な属性魔法は全て習得済です。私もサキも全部使えるよね。)
『うん、魔法って楽しい。』
こいつら、訓練場でそんな事やってたのか。ほら、横で話を聞いていたエバが固まってしまっている。
あの、全属性魔法が使えて、剣士としても強いなんて、そんなの聞いたことありませんよ。
「まあ、ムサシだからね。そんな事で驚いてたら、体が持たないわよ。」
(持たないです。)
「それにしても、ムサシ、遅いな。」
その頃、ムサシは、襲撃者達と対峙していた。
【こりゃ参ったな。】
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