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第5章 王都 キングスウッド(仮)
第67話 海戦
しおりを挟む王城は、海上に浮かぶ真っ黒な船団から、大砲による攻撃を受けていた。
【よし、助けるぞ。俺は帆柱に登る。みんなは、飛んで来る大砲の玉を打ち寄せ。】
【船頭。アイツらの後ろに付けろ、1艘の逃さなんぞ。】
船が船団の後方に回り込む。
やがて、一番近くにいる船から、大砲の玉が飛んできた。
私は、詠唱を始めたばかりで、間に合わない。
すると、隣に居たロウが、いくつもの氷のツララを飛ばして、玉を粉々に砕いた。
続いて、次々と玉が飛んで来る。
マリーナは、風の刃を放ち、玉を真っ二つに切り裂いた。
サキは、光の刃で玉を小さく切り刻む。
私も、負けじと光の玉を放ち、粉々にしていく。
【もう少しだ。もう少し近づくまで、踏ん張れ。】
私達は、休みなく飛んで来る大砲の玉を、無我夢中で攻撃した。
【よし、お返しじゃ。】
ムサシは上に掲げた神剣を振り下ろす。
すると、私達の乗る船くらいの巨大な炎の塊が、船団の上空に放たれる。
そして、炎の塊から無数の火の矢が、船団の頭上に降り注いだ。
降り注いだ、火の矢によって、全ての船から煙が上がっている。
船団からの大砲の攻撃も止んだ。
船からは、火の手が上がり始めた。
私達は、船団から少し離れた所で、その様子を見ていた。
【次は、海から登って来るぞ。海に叩き落とせ!】
ムサシは、そう叫ぶと同時に、スルスルと梯子を降りて来た。
その直後、甲板のあちこちに紐のついたカギ爪の様な物が投げ込まれ、船べりに引っかけられた。
【来るぞ、サキとマリーナは、応戦しろ、海に引きずり込まれるなよ。】
【マリアは、盾を持ってエバを守れ。】
敵はに船べりに引っ掛けたカギ爪を使い、甲板に登ってきた。
ムサシは、甲板に登ろうとしている敵を片っ端から斬っていった。
サキとマリーナも登って来る敵を攻撃している。
しかし、倒しても倒しても、敵は船べりにカギ爪を引っ掛けて登ってきた。
【こりゃ切りが無いな。マリア、この船全体に対雷魔法の結界を張れるか?もちろん俺たちにもだぞ。】
「ええ、このくらいの大きさなら、何とかなるわ。」
【よし、じゃあ頼む。準備が出来たら教えてくれ。】
私は、盾をエバさんに渡し、杖に魔力を込め始める。
「ムサシ、準備出来たよ。」
【じゃあ、空に雷撃を放ったらすぐに結界を頼む。】
ムサシは、再び、帆柱に登ると天に神剣を突き上げた。
【行くぞ。雷神。】
私は、ムサシの詠唱のすぐ後に対雷結界魔法を詠唱する。
「ライジングシールド」
すると、ムサシの剣から、雷を帯びた塊が勢いよく飛び出した。
直後に雷を帯びた球状の結界が、船全体を包み込む。
ムサシの放った雷の塊は、空高くに留まると、海上や海中の標的に向かい無数の稲妻が飛び出して来た。
船に居る私達にも飛んできたが、私結界に当たった途端に、結界に吸収されていった。
さらに船べりに登って来る敵が、結界に触れた途端、バタバタと海中に落ちていった。
後に残ったのは、海上で燃え盛る敵の船団と、海上に浮かぶ無数の敵の死骸だった。
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