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10月『栗ごはん』
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「そんなに私の手料理が食べたいの?」
「当たり前じゃん!」
しっぽをぶんぶん振っているような顔つきだ。私の彼はどこまで犬なんだか。
「大したものは作れないよ」
そっけなく言っても効果なしである。
「いいんだ。宮瀬の作ったものなら何でも食べるから」
そこまで言うなら激辛料理でも振る舞ってあげようかと思ってしまう。真っ赤で必死な顔が思い浮び、自然と笑みが溢れる。
「あ、じゃあ栗消費しに来てよ」
「栗? いいね!」
一人暮らしになって初めて招く人だった。彼はずっと来たがっていたけれど。
「お邪魔します」
律儀に靴を揃えてから立ち上がった。
「適当に座って待ってて」
そう言い残し、私はキッチンへ向かう。炊き込みご飯なら簡単だ。レシピを検索しつつお味噌汁の用意もした。
「何か手伝おうか?」
途中彼が覗きに来たが、すぐに追い払う。
「テレビでも見てて」
包丁を使っているところを見られたくなかった。普段料理をしていないことがバレてしまう。味噌汁というのは名ばかりで、実際はインスタントに熱湯を注いだだけ。炊き込みご飯もレシピ通りに作れば何とかなるだろう。分量をきっちりと計りせっせとこなしていった。
「出来たよ」
私の声に彼は文字通り飛んできた。炊飯器の中を見て目を輝かせる。
「栗ごはんだ!」
「好きなだけよそっていいよ」
彼は山盛りによそうと私の分まで多めによそった。いつも笑っているけれど、今日はもっと幸せそうだ。
「いただきます」
二人で手を合わせて食べ始めた。彼の目が大きく見開かれる。
「おいしい」
しみじみとした声だった。
「よかった」
たしかに栗もほかほかで、香ばしさもちょうどいい。初めて振る舞う手料理にしては上出来だろうか。味噌汁も好評だった。出汁が良いだの散々褒めてから栗ごはんもおかわりし、お腹をさすり始めた。
「本当においしかったよ。また作って欲しいな」
こんなに喜んでくれるなら料理特訓してもいいな。心からそう思えた。
「当たり前じゃん!」
しっぽをぶんぶん振っているような顔つきだ。私の彼はどこまで犬なんだか。
「大したものは作れないよ」
そっけなく言っても効果なしである。
「いいんだ。宮瀬の作ったものなら何でも食べるから」
そこまで言うなら激辛料理でも振る舞ってあげようかと思ってしまう。真っ赤で必死な顔が思い浮び、自然と笑みが溢れる。
「あ、じゃあ栗消費しに来てよ」
「栗? いいね!」
一人暮らしになって初めて招く人だった。彼はずっと来たがっていたけれど。
「お邪魔します」
律儀に靴を揃えてから立ち上がった。
「適当に座って待ってて」
そう言い残し、私はキッチンへ向かう。炊き込みご飯なら簡単だ。レシピを検索しつつお味噌汁の用意もした。
「何か手伝おうか?」
途中彼が覗きに来たが、すぐに追い払う。
「テレビでも見てて」
包丁を使っているところを見られたくなかった。普段料理をしていないことがバレてしまう。味噌汁というのは名ばかりで、実際はインスタントに熱湯を注いだだけ。炊き込みご飯もレシピ通りに作れば何とかなるだろう。分量をきっちりと計りせっせとこなしていった。
「出来たよ」
私の声に彼は文字通り飛んできた。炊飯器の中を見て目を輝かせる。
「栗ごはんだ!」
「好きなだけよそっていいよ」
彼は山盛りによそうと私の分まで多めによそった。いつも笑っているけれど、今日はもっと幸せそうだ。
「いただきます」
二人で手を合わせて食べ始めた。彼の目が大きく見開かれる。
「おいしい」
しみじみとした声だった。
「よかった」
たしかに栗もほかほかで、香ばしさもちょうどいい。初めて振る舞う手料理にしては上出来だろうか。味噌汁も好評だった。出汁が良いだの散々褒めてから栗ごはんもおかわりし、お腹をさすり始めた。
「本当においしかったよ。また作って欲しいな」
こんなに喜んでくれるなら料理特訓してもいいな。心からそう思えた。
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