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全ての始まり
8. この世界、第二の日本、そして飯
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無理もない。まったくの異世界に来たと持ったら、自衛隊やら防衛省やら戦闘糧食という言葉が男の口からでてきたのである、びっくりもする。
「どういうこと? ここは地球じゃないのよね?」
「あーそうだ、今この国で呼ばれているこの惑星の名は【セア】、さっき言ったはずだが。そして俺が籍を置いて、さらに今いるこの魔杖の森を領土にしているのは、ここに転生してきた日本人が作った第二の故郷であり、国である、【第二日本国】だよ。お、いい感じになってきたな、上げるか。あっ、あちち」
またまた驚愕しているアリスをよそに十分に湯煎したレトルトを開けていく。アリスは気づかなかったが、鍋に入っていたパウチは四つ。内二つはアリスは見たことがあった。いや、日本人なら忘れれはずがない。レンジで温めてもよし、湯煎しても良しの日本人の主食、“ご飯のパック”である。アリスの細胞一つ一つがご飯の味を覚えていたのだろうか、龍がパックを開けると、ご飯という知識だけで食べた記憶がないアリスでも脳がとろけるレベルのご飯の香りが漂ってくる。
(駄目だ、一気に情報が入ってきてパンクする、でもなんだろう? ものすごい久しぶりにご飯を見た気がする!)
「さて、適当に貰ってきたからこっちの中身が分からんがいいか……」
「ちょっと待って!」
「なんでしょう?」
「その前に一口だけ! ご飯のまま食べさせて! お願い!」
「お、おう」
意外なアリスの要望に少しびっくりした龍だったが、要望通りにご飯のパックとスプーンを渡した。
「すまんがスプーンしかない」
「じゅ、十分!」
口からよだれがこぼれそうなのを必死に抑え、湯気を上げつやつやになっている。それを一口分スプーンで掬うとゆっくりと口の前へ持っていく。すると本来日本人の多くは対して気にはしないだろう、ご飯の匂いを嗅いだ瞬間! アリスはすぐさまそれを口に運んだ。
「……!」
(おいひい! ご飯だよこれえ! ちゃんとしたご飯だよこれえ!)
普段は感じることはないだろうご飯の触感、勘だ時の甘み香りがアリスの脳天を直撃する。
「おーい、アリスさん? アーリースさーん!」
「な、にゃにい?」
アリスの顔は久しぶり? に食べたご飯の味に満面の笑みである……、顔の輪郭が少々崩れているようにも見えるが。
(すごい顔が歪んでらっしゃる……)
「別に二口目行くのは良いけどもだ、とりあえずおかずも食べません? ほら栄養的にも効率的にも早く食べれますし、明日早いって俺言ったよね? 明日になれば炊き立てのご飯食べるから!」
「じゃあ、はい……」
「あ、はい」
龍の提案にこれ以上ないスピードでご飯パックを差し出したアリスに少しうろたえたが、すぐにパウチの中身を流し込もうとする。
「持ってろよ? そのまま出すから」
(何が出てくるのかな……)
アリスは少し不安に思うがその思いは直ぐに吹き飛んだ。
その流れてくるおかずはこれまた日本人なら誰もが知っている料理! 日本のおふくろの味! “肉じゃが”であった。
ただ、今度は龍がパウチから全部出るや否や、アリスは目にも止まらぬ速さで食らいつき始めた。
「うお! はや!」
今日何度目であろうか、またも龍は驚く。
数秒、ご飯にかけられた肉じゃがをご飯と一緒に一心不乱に駆け込むと、ぴたりと止まった。
自分の分を作り、食べようかとしていた龍をそれを見て止まる。
「ん? アリスさん? どうしました? つっかえた?」
「……ひい」
「はい?」
「……おいひいよう……。凄い、すんごいおいひいよう」
アリスは口いっぱいのご飯をもごもごさせながら大粒の涙を流していた。
「そ、そうすか。そりゃあ、よござんした」
(もう反応するのも、返答するのも疲れた……)
龍はアリスのそばに蓋を開けた水筒をそっと置くと、自分の分を速やかに食べ始めた。
(羞恥の涙と、悲しみの涙、そして感動の涙の3コンボいただきました)
無表情のまま食べる龍と感涙の顔で食べるアリスの異世界での初めての食事は淡々と終わっていく。
「っぷはー! 食べたー! まさか異世界で白米と肉じゃが食べれる思わなかったー! この世界の先人の日本人に感謝―!」
食べ終えるたアリスは、それまでのテンションがうそのように回復した。
「じゃあ、そろそろ寝ますよー」
「えー!? まだ眠くないー!」
(……こいつ。まじか……、さっきのテンションの方が幾分かマシだぞ。)
「いいかい? アリスさん? 君も現代人ならこの時計読めるよね?」
もう怒るのも疲れた龍は、懐中時計の蓋を開けて見せた。
「えーとお、うーん? 数字は読めないけど、針の位置的に多分! 21時過ぎ!」
疲れてきたのか行方不明のテンションになってきたアリスは時計の時刻を読み上げた。
「その通り! 現代人は野宿やキャンプをあんまりしないと聞いたことがあるが、そとで寝るときは基本! 朝早く動く必要があるので早く寝ます! さっさと動く!」
「えー!? まだ眠くな…ふぁあ」
アリスは思いっきり大きい欠伸をかました。
「ほれ言わんこっちゃない。ちょっとだけ待ってな。今、テント立ててやっから」
龍はカバンから組み立て式の小さいテントを取り出すと、広げて組み立て始める。そして、草がどけられ、平らになっていた場所に広げ始めた。
本来なら「なんでそんなテントがそのバックから出てくるんだよ!?」という突っ込みがアリスがあるはずだが、眠気でうとうとしているアリスにそんな疑問を抱く余裕も喋る力も残っていないと思われていた。
テントが完成するまでは……。
数分後、テントを見たアリスの一言目は——
「これに寝ろと?」
だった。
「どういうこと? ここは地球じゃないのよね?」
「あーそうだ、今この国で呼ばれているこの惑星の名は【セア】、さっき言ったはずだが。そして俺が籍を置いて、さらに今いるこの魔杖の森を領土にしているのは、ここに転生してきた日本人が作った第二の故郷であり、国である、【第二日本国】だよ。お、いい感じになってきたな、上げるか。あっ、あちち」
またまた驚愕しているアリスをよそに十分に湯煎したレトルトを開けていく。アリスは気づかなかったが、鍋に入っていたパウチは四つ。内二つはアリスは見たことがあった。いや、日本人なら忘れれはずがない。レンジで温めてもよし、湯煎しても良しの日本人の主食、“ご飯のパック”である。アリスの細胞一つ一つがご飯の味を覚えていたのだろうか、龍がパックを開けると、ご飯という知識だけで食べた記憶がないアリスでも脳がとろけるレベルのご飯の香りが漂ってくる。
(駄目だ、一気に情報が入ってきてパンクする、でもなんだろう? ものすごい久しぶりにご飯を見た気がする!)
「さて、適当に貰ってきたからこっちの中身が分からんがいいか……」
「ちょっと待って!」
「なんでしょう?」
「その前に一口だけ! ご飯のまま食べさせて! お願い!」
「お、おう」
意外なアリスの要望に少しびっくりした龍だったが、要望通りにご飯のパックとスプーンを渡した。
「すまんがスプーンしかない」
「じゅ、十分!」
口からよだれがこぼれそうなのを必死に抑え、湯気を上げつやつやになっている。それを一口分スプーンで掬うとゆっくりと口の前へ持っていく。すると本来日本人の多くは対して気にはしないだろう、ご飯の匂いを嗅いだ瞬間! アリスはすぐさまそれを口に運んだ。
「……!」
(おいひい! ご飯だよこれえ! ちゃんとしたご飯だよこれえ!)
普段は感じることはないだろうご飯の触感、勘だ時の甘み香りがアリスの脳天を直撃する。
「おーい、アリスさん? アーリースさーん!」
「な、にゃにい?」
アリスの顔は久しぶり? に食べたご飯の味に満面の笑みである……、顔の輪郭が少々崩れているようにも見えるが。
(すごい顔が歪んでらっしゃる……)
「別に二口目行くのは良いけどもだ、とりあえずおかずも食べません? ほら栄養的にも効率的にも早く食べれますし、明日早いって俺言ったよね? 明日になれば炊き立てのご飯食べるから!」
「じゃあ、はい……」
「あ、はい」
龍の提案にこれ以上ないスピードでご飯パックを差し出したアリスに少しうろたえたが、すぐにパウチの中身を流し込もうとする。
「持ってろよ? そのまま出すから」
(何が出てくるのかな……)
アリスは少し不安に思うがその思いは直ぐに吹き飛んだ。
その流れてくるおかずはこれまた日本人なら誰もが知っている料理! 日本のおふくろの味! “肉じゃが”であった。
ただ、今度は龍がパウチから全部出るや否や、アリスは目にも止まらぬ速さで食らいつき始めた。
「うお! はや!」
今日何度目であろうか、またも龍は驚く。
数秒、ご飯にかけられた肉じゃがをご飯と一緒に一心不乱に駆け込むと、ぴたりと止まった。
自分の分を作り、食べようかとしていた龍をそれを見て止まる。
「ん? アリスさん? どうしました? つっかえた?」
「……ひい」
「はい?」
「……おいひいよう……。凄い、すんごいおいひいよう」
アリスは口いっぱいのご飯をもごもごさせながら大粒の涙を流していた。
「そ、そうすか。そりゃあ、よござんした」
(もう反応するのも、返答するのも疲れた……)
龍はアリスのそばに蓋を開けた水筒をそっと置くと、自分の分を速やかに食べ始めた。
(羞恥の涙と、悲しみの涙、そして感動の涙の3コンボいただきました)
無表情のまま食べる龍と感涙の顔で食べるアリスの異世界での初めての食事は淡々と終わっていく。
「っぷはー! 食べたー! まさか異世界で白米と肉じゃが食べれる思わなかったー! この世界の先人の日本人に感謝―!」
食べ終えるたアリスは、それまでのテンションがうそのように回復した。
「じゃあ、そろそろ寝ますよー」
「えー!? まだ眠くないー!」
(……こいつ。まじか……、さっきのテンションの方が幾分かマシだぞ。)
「いいかい? アリスさん? 君も現代人ならこの時計読めるよね?」
もう怒るのも疲れた龍は、懐中時計の蓋を開けて見せた。
「えーとお、うーん? 数字は読めないけど、針の位置的に多分! 21時過ぎ!」
疲れてきたのか行方不明のテンションになってきたアリスは時計の時刻を読み上げた。
「その通り! 現代人は野宿やキャンプをあんまりしないと聞いたことがあるが、そとで寝るときは基本! 朝早く動く必要があるので早く寝ます! さっさと動く!」
「えー!? まだ眠くな…ふぁあ」
アリスは思いっきり大きい欠伸をかました。
「ほれ言わんこっちゃない。ちょっとだけ待ってな。今、テント立ててやっから」
龍はカバンから組み立て式の小さいテントを取り出すと、広げて組み立て始める。そして、草がどけられ、平らになっていた場所に広げ始めた。
本来なら「なんでそんなテントがそのバックから出てくるんだよ!?」という突っ込みがアリスがあるはずだが、眠気でうとうとしているアリスにそんな疑問を抱く余裕も喋る力も残っていないと思われていた。
テントが完成するまでは……。
数分後、テントを見たアリスの一言目は——
「これに寝ろと?」
だった。
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