33 / 454
【2020/05 教育】
《第2週 火曜日 朝》
しおりを挟む
スマートフォンのアラームで目を覚ますと、まだうっすら夜が明ける頃だった。
自慰をしたあとそのまま尻や局部を出したまま寝落ちていた。間抜けすぎる。とりあえず着衣を直した。
キッチンの電気ケトルで湯を沸かし、インスタントコーヒーを淹れ、テーブルに戻り、よく見ると
先程アラームを止めるときは気付かなかったが、スマートフォンのLEDが明滅し、通知があることを伝えている。
藤川先生からのショートメッセージだった。
「実習作業後のシャワーや消毒があるので下着類の替えの持参お願いします。作業着やタオル類は貸します。初日説明し忘れましたが手洗いの方法についても指導します。今後は入退室の都度、うがい手洗い消毒の実施をお願いします。」
そういえば昨日、終わったあとシャワー浴びて消毒してから来たと言っていた。
「わかりました、ボディソープやシャンプー等はありますか?」
目を少し話した間に返信が来ていた。
直ぐに返事が来るとは思わなかった。
「備え付けがあるけど、拘る人は持ち込んでます。」
洗面所に行き、洗面台のシンク下入れてある旅行用のシャンプーのセットを用意し、ついでに洗濯機の上のラックにストックしているタオルと下着の替えを下ろした。
「作業着だけ借りれれば大丈夫です。」
「了解です、用意しときます。」
しかし、先生が思ったより早起きなのも驚いた。
「先生案外早起きなんですね。」
何気なく送った一言に返事が来ない。もしかして触れたらダメなポイントだったんだろうか。
諦めて資料の書き込みをノートに清書していると、ややしばらくして返事が届いた。
「寝れない。」
更に少し間を開けて、もう一通届く。
「気にしなくていいよ。よくあることだから。では学校で。」
よくあること、というのが却って心配になる。
食べない上に、寝れないって。
今慌てて学校に向かったところでまだ門も開いてないだろうし、先生だって来ていないだろう。
何もできないのがもどかしい。
昨日先生の連絡先を教えてもらったとき、小曽川さんの連絡先も訊いておけばよかった。
大石先生にも訊けばよかった。
とりあえず、今はできることをしておかないと。
少し温くなったコーヒーを啜って、ノートの作成に戻る。
所々、横から先生が書き加えたり付箋で付けたメモがあって、その文字が妙に優雅で美しい。
その時にかいだ、シャワー後の先生からしていた甘い匂いとか、画像や重要な項目を指差した時の手の動きとかが断片的に蘇る。
ダメだ。そういうことを考えてたらいつまでも進まない。
Bluetoothイヤホンを取り出して耳に嵌め、スマートフォンとペアリングして大音量で適当に音楽を流す。言葉が耳に入ると意識が持って行かれそうなので喧しいEDMを選んだ。
そのまま移動中も余計なことを考えないように聴きながら電子で先生が授業に使っていた書籍を購入して読んだ。
先生本人に、自分の中の欲望を悟られたくない。
欲望と思慕がごちゃごちゃのままこんな歳まできて、まるで変われていないのに、安定欲しさに誤魔化すための愛想笑いとか気遣いばかり身について、自分自身に中身がないことを知られたくない。
少しでも、終わる頃には教えてよかったと思ってほしい。
僅か3日目で、まだ大したことは何もしていないのに、おれはなんでこんなに苦しいんだろう。
自慰をしたあとそのまま尻や局部を出したまま寝落ちていた。間抜けすぎる。とりあえず着衣を直した。
キッチンの電気ケトルで湯を沸かし、インスタントコーヒーを淹れ、テーブルに戻り、よく見ると
先程アラームを止めるときは気付かなかったが、スマートフォンのLEDが明滅し、通知があることを伝えている。
藤川先生からのショートメッセージだった。
「実習作業後のシャワーや消毒があるので下着類の替えの持参お願いします。作業着やタオル類は貸します。初日説明し忘れましたが手洗いの方法についても指導します。今後は入退室の都度、うがい手洗い消毒の実施をお願いします。」
そういえば昨日、終わったあとシャワー浴びて消毒してから来たと言っていた。
「わかりました、ボディソープやシャンプー等はありますか?」
目を少し話した間に返信が来ていた。
直ぐに返事が来るとは思わなかった。
「備え付けがあるけど、拘る人は持ち込んでます。」
洗面所に行き、洗面台のシンク下入れてある旅行用のシャンプーのセットを用意し、ついでに洗濯機の上のラックにストックしているタオルと下着の替えを下ろした。
「作業着だけ借りれれば大丈夫です。」
「了解です、用意しときます。」
しかし、先生が思ったより早起きなのも驚いた。
「先生案外早起きなんですね。」
何気なく送った一言に返事が来ない。もしかして触れたらダメなポイントだったんだろうか。
諦めて資料の書き込みをノートに清書していると、ややしばらくして返事が届いた。
「寝れない。」
更に少し間を開けて、もう一通届く。
「気にしなくていいよ。よくあることだから。では学校で。」
よくあること、というのが却って心配になる。
食べない上に、寝れないって。
今慌てて学校に向かったところでまだ門も開いてないだろうし、先生だって来ていないだろう。
何もできないのがもどかしい。
昨日先生の連絡先を教えてもらったとき、小曽川さんの連絡先も訊いておけばよかった。
大石先生にも訊けばよかった。
とりあえず、今はできることをしておかないと。
少し温くなったコーヒーを啜って、ノートの作成に戻る。
所々、横から先生が書き加えたり付箋で付けたメモがあって、その文字が妙に優雅で美しい。
その時にかいだ、シャワー後の先生からしていた甘い匂いとか、画像や重要な項目を指差した時の手の動きとかが断片的に蘇る。
ダメだ。そういうことを考えてたらいつまでも進まない。
Bluetoothイヤホンを取り出して耳に嵌め、スマートフォンとペアリングして大音量で適当に音楽を流す。言葉が耳に入ると意識が持って行かれそうなので喧しいEDMを選んだ。
そのまま移動中も余計なことを考えないように聴きながら電子で先生が授業に使っていた書籍を購入して読んだ。
先生本人に、自分の中の欲望を悟られたくない。
欲望と思慕がごちゃごちゃのままこんな歳まできて、まるで変われていないのに、安定欲しさに誤魔化すための愛想笑いとか気遣いばかり身について、自分自身に中身がないことを知られたくない。
少しでも、終わる頃には教えてよかったと思ってほしい。
僅か3日目で、まだ大したことは何もしていないのに、おれはなんでこんなに苦しいんだろう。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
【完結】 同棲
蔵屋
BL
どのくらい時間が経ったんだろう
明るい日差しの眩しさで目覚めた。大輝は
翔の部屋でかなり眠っていたようだ。
翔は大輝に言った。
「ねぇ、考えて欲しいことがあるんだ。」
「なんだい?」
「一緒に生活しない!」
二人は一緒に生活することが出来る
のか?
『同棲』、そんな二人の物語を
お楽しみ下さい。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる