【完結】婚約者の恥ずかしい秘密の趣味に苦しめられた私は、婚約破棄されたおかげで小さい頃から大好きだったお兄ちゃんと婚約する

新川ねこ

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汚い顔だから婚約破棄したいと言われた令嬢が幸せを掴むまで

第一話 密会を目撃

 オーロラはどこにでもいるごく普通の貴族令嬢である。
 両親に愛され、人よりよく食べ、よく笑い、とても健康的で友だちも多い十七歳の女の子である。

 そんなオーロラには最近になって両親が決めた婚約者がいる。
 その婚約者のジェイコブはオーロラと同い年で、同じ学園に通っている。一代限りの領地なし騎士爵の嫡男である。貴族の中で最下位の爵位なので当然男爵であるオーロラの家よりも爵位が低い。

 親たちの仲が良かったため「お前の息子もちゃんと貴族のままにしてやる」というオーロラの父親の親切心から婚約が決められた。オーロラにとっては迷惑な話に思えるが、当の本人はこの婚約に満足していた。

 なぜ親が勝手に決めた婚約に満足なのか……それは至って単純で、ジェイコブが誰もが認めるほどの美男子だったからである。

 背が高く、がっしりした身体。珍しい漆黒の髪に、身体に似合わず彫りの浅い中性的な顔立ちがなんとも不思議な魅力を醸し出していた。ジェイコブが学園の廊下を歩いていると、すれちがう生徒たちがざわめくほどだった。

 ある日、オーロラが友人たちと学園の廊下を歩いていると中庭にジェイコブが一人でいるのが見えた。せっかく婚約したのだから仲良くしようとオーロラが友人と別れてジェイコブに話しかけた。

「ジェイコブ、一人で何やってるの?」

 振り向いたジェイコブは溜め息がでるほど綺麗な顔をしている。こんな人と結婚出来るなんて……オーロラはどうしてもニヤニヤしてしまう。

「いや……これから人と会うから悪いけどどこかへ行ってくれないか?」

 ジェイコブの明らかに迷惑そうな顔を見てオーロラはとても恥ずかしい気分になった。

(私が婚約者なのが恥ずかしいの? いいえ、きっと友だちにからかわれるのが嫌なのね。きっとそう)

「あ、ごめん。じゃあまたねっ」

 そういうとオーロラは逃げるようにジェイコブのもとから去った。少し離れてから気になって振り返るとジェイコブに近付く人影が見えた。

(女!? 何よ……あの女は……)

 髪の長い綺麗な顔をしたその女はジェイコブの隣に座ると、ジェイコブの太ももに手を置いているのが見えた。明らかに友人の関係を超えている。

 オーロラは色々な感情がわきあがって来たがジェイコブを問い詰める勇気もなかった。婚約者が女性と密会しているというその残酷な現実を見ないように、とその場から逃げてしまった。オーロラをからかってやろうと隠れて見ていた友人たちと目が合い、オーロラは恥ずかしくてとても情けない気分になった。
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