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Mission.1 婚活せよ!
しおりを挟む殺し屋。
それは空想の世界の職業ではない。
報酬さえ与えれば無慈悲に人を殺す、
そんな連中は確かにこの世に存在する。
その中でも"最強"と呼ばれる
殺し屋集団「モーンガータ」。
そしてその頂点に君臨する殺し屋
「マゼンダ」--。
彼の姿を捉えたものは
必ず死に追いやられるという。
故に彼を知る者は
「モーンガータ」ファミリーのみ。
ファミリーの構成員を知る者も
この世には一人もいないという…。
そんな彼らの報酬、
莫大な金額はもちろんのこと
時には用意できないような
代物を要求されることも
あるとか、ないとか。
今宵も地球のどこかの不審死は
彼らの仕業かもしれない。
◇◆
「結婚しなさい」
ボスであるMr.サンシャインの言葉に
俺の頭は真っ白になった。
「…それは次の任務では
偽造結婚をして潜り込め、ということでしょうか。」
俺の質問にボスは
長い金髪をかきあげて、葉巻を大きく吸って吐いた。
「言葉のまま受け取れ、マゼンダ。
お前は結婚するんだ。
そして子どもを作れ。」
「…次の任務では、」
「次の任務は
お前は女を愛し、子どもを作り、
その優秀な遺伝子を後世に残すんだよ!!」
飛んできたナイフを避けながら
俺は片膝をついて頭を下げた。
そして、数分後
顔を上げて再度問い直す。
「…Mr.サンシャイン。
一つお伺いしても良いでしょうか」
「あぁ?!
質問なんて許すわけねーだろ!
いいか?
お前はこの世で一番、キュンとくる女を選び、
その女の○○にお前の**をぶっ込んで
腰を振り気持ち良くなり、白い液体をぶっ放し、
タバコを吸いながら、でかいベッドの上で女の頭を撫でて
『意外と事後も優しいのね』と言われながら眠り、
数ヶ月後、女に『できちゃった(ハート)』と言わせるんだ!!
それがお前のミッションだ、分かったか!!」
「…いや俺、事後は結構
賢者タイムに突入してしまうタイプで、」
パンパン、と銃弾が床を抜く。
黙って頭を下げ直す俺に
ボスはゆっくりと近づいた。
「マゼンダ。
お前はこの地球で最も優秀な殺し屋だ。」
「身に余るお言葉、ありがとうございます」
「そんなお前がもし、
優秀な殺し屋と結婚したらどうなる?」
ボスはしゃがんで
俺の耳元で囁く。
俺は耳元に煙がかかるのを感じながら
少しだけ考えた。
「毎日有意義な特訓ができます。」
ボスは持っている銃を
今度は天井に向けて二回打った。
銃弾は的確にシャンデリアの
ダイヤを二つ落とし
俺は落ちてきたダイヤを手のひらで受け止めた。
「殺し屋のサラブレッドを作るんだよ」
ボスは銃を静かにポケットに仕舞うと
もう一度立ち上がり
大きなボードをひっくり返す。
そこには可愛い字で
「ドキドキ♡マゼンダウエディングミッション!」
と書かれていた。
「今のご時世、優秀な殺し屋を育てるのは至難の技だ。
500人連れてきても最後まで育つのはせいぜい1人、いるかいないか。
そしてミッションを任せても
3年生き残るのはその中でも200人に1人。
コスパ悪すぎなんだこれ。
そして考えた。寝ないで考えた。
どうすれば優秀な殺し屋を一人でも多く作れるか。
そして思いついた。
カエルの子はカエル。
The apple doesn't fall far from the tree」
ホワイトボードの
タイトル下に大きく書かれた文字を
ボスは赤いペンでグルグルと囲う。
「殺し屋の子は殺し屋にしかなれない」
俺は立ち上がり、
ボスのホワイトボードを眺める。
細かい文字で書かれているのは
お嫁候補と書かれた名前だった。
「すでに相手は決まってるのですか。
自分としては、選ぶ時間が惜しいです」
「お前さあ?
今どき、親や上司が決めた人と結婚なんて
そんなの一部の限られた奴らのやることだよ?
うちらみたいな底辺がそんな高貴なこと
できるわけないだろ?バカじゃないの?
…あ!やべっ!これ油性じゃん!」
そしてボスは片手で
ホワイトボードをぶち壊すと
テーブルに腰を乗せて
二本目の葉巻に火をつけた。
「女達には
サバイバルラブゲームを決行してもらう」
ボスが指を鳴らすと
ボスのメイドの女が新しいホワイトボードを
ガラガラと持ってきた。
ボスはメイドに頭を下げると
ホワイトボードに可愛い字で
ツラツラと文字を書いていく。
「女は全部で五人。
選りすぐりの殺し屋を用意してやった。
この中からお前が良いなと思う女を一人選べ。
ただし、女達には
ライバルは殺しても良いと伝えてある。」
殺してOK♡と、ボスはホワイトボードに書き
その文章に矢印を引き
赤で米印から始まる文言を追加した。
ただしマゼンダの選んだ女は
殺したらNG。
「…お言葉ですがボス。
子どもを残すだけならば、五人とも抱き、
五人以上子どもを作るのが効率的では。」
ボスは俺に銃口を向ける。
そして葉巻を灰皿に潰した。
「ああん?!お前何言ってんの?
そんなの、
女の子がかわいそーだろーがよお!!!」
そしてそのまま引き金を引く。
俺は交わして、頭を垂直に下げた。
「申し訳ありません」
「だよなあ?!女の子可哀想だよな?!
どーせなら
好きな男の子供産みたいよなあ?!
どーせなら愛し合いたいよなあ?!
間違ってるか?!あぁん?!」
「間違っておりません」
そしてボスはそのまま
ホワイトボードに大きく書いた。
本当に愛し合っていなかった場合
虚偽報告とみなし、女を殺す。
「報告に来た時に
お前と女が愛し合っていないと判断した場合、
その子のことは殺しちゃうよ。
嘘は大嫌いだからね」
「…なぜ、女の子のみを?自分は殺されないのでしょうか」
「だってマゼンダ殺しちゃったら
優秀な遺伝子残せないじゃん。」
最後にホワイトボードの上に大きく
ボスは「Rule」とタイトルを書いた。
「これがこの
ラブサバイバルのルールだ」
細かく書かれたあらゆる文字を
俺は数秒で記憶し、頷くと
ボスはそのホワイトボードを
銃に残った最後の弾丸で撃ち抜いた。
「メイドちゃん。
これ、大切なやつだから
誰にも見えないところに綺麗に捨てといてね」
先ほどとは違うメイドが
ガラガラとホワイトボードを引っ張り
廊下に出ていくとき
俺たちに静かに頭を下げた。
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