魔法学校のポンコツ先生は死に戻りの人生を謳歌したい

おのまとぺ

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第四章 二つの卵と夢

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 席に戻ってすぐ、ハインツに謝罪を繰り返すコレットの前にミナたちが姿を見せた。どうやら彼女たちはそんなに遠くない席に居るらしく、入場して来るコレットの顔を見つけたらしい。

「こんばんは!コレット先生のお友達ですよね?先生からいつもお話は伺っています!」

「はじめまして、みんな元気が良いね」

「ありがとうございます!私はミナ、この男の子たちがアストロとバロンで、こっちの女の子二人がヴァレリーとアニアです」

「僕はハインツ。よろしく」

 にこやかに答える姿はどうやら好印象を与えたようで、わずかに顔を赤らめながらミナは「そういえば」とコレットの方を向いた。

「今日は国王陛下と王太子殿下もいらっしゃってるみたいよ」

「へ?」

 素っ頓狂なコレットの前でバロンが観客席の上方を指差す。つられて皆、そちらに目を遣った。

 確かに、通常の客席の上の方に磨りガラスのようなもので前面を囲われた場所がある。あれで見えるのだろうかと訝しむコレットの胸中を察したのか、バロンは「こちらからは見えない細工がされてます」と言い添えた。

「さっき、王室の紋章を付けた警備の人が歩き回っているのも見かけたので間違いないでしょう。まぁ、オリアナ・デ・ロサはセレスティアを代表するような女優ですしね」

「まさに生きる国宝よねー。どうしてあんなに若々しくて綺麗なのかしら?私たちと同い年の子を持つ母親には到底見えないわ」

「そういえばエドムとジェイクは?さっきまで一緒に居たと思うけど」

 ヴァレリーの言葉にアニアが口を開く。

「用事があるって席を立ったわ。始まるまでには戻るって言っていたけれど……」

「あらま、そうなんだ」

「それよか飲みもん買いに行こうぜ。コレット先生の奢りでさー」

「なんですって!?」

 即座に反応するコレットをニヤリと見たアストロは「冗談だよ」と笑う。給料日前だもんな、と続けるものだから、もう開いた口が塞がらない。

「なんでアストロくんが私の給料日を知ってるの!」

「前にアーベル先生に聞いたんだよ。先生たちはみんな同じ日に支給されるんだろう?」

「あんのお喋り先生……!」

 憤るコレットを置いて生徒たち四人は連れ立って飲み物を買いに出掛けて行った。コレットはチケットのお礼も兼ねてハインツにリクエストを聞いて、同じように売店へと出向く。「もう迷わないで」という警告に何度も頷いて返事をした。

 客席を横切りながら、もう一度磨りガラスの方へと目を向ける。

 あの場所にレオンも居るのだろうか?
 学校に戻ると言っていたけれど、家庭の事情はいったいいつ解決するのか。国王は息子である王子の行動をどこまで把握しているのか。はたまた、ソロニカの言うように彼の反感を買ってしまったのか。

 首を振って出口を目指す。
 観客で賑わう通路に足を踏み出した。


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