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第7章〜精霊編〜
幻聴
しおりを挟む顔に動揺を滲ませるオリバーを見続ける。
・・急、過ぎた?
「・・あの、オリバー?」
「はっ、ありえない幻聴に一瞬、意識が飛んでいた。」
オリバーが額を抑えて呟く。
「幻聴?」
「すみません、ディア様。どうやら疲れが溜まっているのか、体調が良くないようです。」
「え、そうなの!?」
目を見開く。
私、体調が悪いオリバーの事を呼び出しちゃったってたの!?
「だ、大丈夫なの!?風邪?」
「えぇ、都合の良い幻聴を聞くぐらいですから、きっとそうなのでしょう。」
「ん?」
「まさか、ディア様が俺をお誘いする訳がありませんからね。」
「んん?」
・・何か変じゃない?
オリバーと話が噛み合ってないような?
「ねぇ、オリバー?」
「はい、なんでしょう、ディア様?」
「幻聴って、私と一緒に過ごして欲しいって言った事?」
「!?」
ぴしりとオリバーの表情が固まる。
あっ、そうなんだ。
「・・はぁ、幻聴って、」
肩を落とす。
体調が悪い訳ではないのね。
オリバーが何でもなかった事に安心すれば良いのか、悲しむべきか。
「オリバー、それ幻聴じゃないから。」
「し、しかし、」
「もう一度言うけど、今日は私はオリバーと一緒に過ごしたいの。」
「っっ、」
「これは幻聴じゃない、私の本心だよ?」
オリバーの手を握る。
「もしもオリバーが嫌だと言うなら無理強いはしない。」
「・・・。」
「私と一緒に過ごすの、オリバーは嫌?」
「っっ、そんな、嫌な訳、」
「嫌な訳?」
「・・っっ、嫌な訳、あり、ません。」
赤く染まるオリバーの顔。
可愛い。
「ーーー・・これから私が酷いお願い事をオリバーに言っても?」
その顔を私に向けてくれるかしら?
「酷いお願い?」
「うん、オリバーに私からとっても酷いお願い事。」
背伸びしてオリバーに顔を近付ける。
お互いの息も触れ合うほどの近い距離で見つめ合う。
「ねぇ、オリバー?」
「は、い?」
「貴方の1番が欲しいの。他の、クロエの事を私以上に考えないで?」
私が欲しいのは、1番の愛情。
妹のクロエと分け合う様な半端な愛情なんて私の心は満たされない。
その愛情の全てが私は欲しいの。
「私の為に大切な妹のクロエを見捨てられる?そうしてくれるなら、これからはオリバーの代わりに私がクロエの事を守るわ。」
オリバーの心の中にいるのは私だけで良い。
妹だから我慢しろ?
ダメなんだよ、オリバー。
「私の事を欲するならオリバー、全てを捨てて?私以外の全てを。」
その頬に指を這わす。
「オリバー、私はとても貪欲なの。その心に私以外の他の誰かがいるなんて堪えられない。」
毎日不安になる。
今日はまだ、私の事を愛しているだろうか?
明日は?
そのまた明後日は、変わらない愛を私はオリバーからもらえるのかと。
「不安になる愛なら私はいらないわ。選ぶのはオリバー、貴方よ。」
1か、0か。
最後に選ぶのはオリバーだ。
「ーーー・・私が、俺が選ぶ相手は最初から決まっているでしょう?」
頬に這わしていた私の手をオリバーが剥がす。
ずきりと胸が痛む。
そんなにクロエの方が大事?
「俺は選んでしまいました。クロエでは無く、貴方の事を、ディア様。」
目を伏せた私の事をオリバーが抱き締めた。
香る、オリバー匂い。
暖かい熱。
「っっ、本当、に?私の事を選んでくれるの?」
声が震える。
オリバーに酷な事を言った自覚はあった。
私か言った事は最悪、オリバーに選ばれないかも知れないほど最低なお願いだったから。
「はい、俺はディア様の事を選びます。」
なのに、私は選ばれた。
歓喜が湧き上がる。
「ディア様こそ、クロエよりも貴方を選んだ薄情な俺で良いのですか?」
「えぇ、オリバー。そんな貴方の事を私は望むわ。」
私だけを愛するオリバーを。
「ありがとうございます、ディア様。嬉しいです。」
「ふふ、なら、こちらへ来て。」
オリバーの手を引いて、ベットへと誘う。
「予定とは少し違うけど、」
まぁ、いっか。
口元に笑みが浮かぶ。
「っっ、ちょっ、ディ、ディア様!?」
「ん?何?」
オリバーを振り返る。
「・・・あの、その、本気で?」
「そうだよ?」
笑って、ベットの上へ乗り上げた。
柔らかいベットの上に立ったまま、オリバーの事を見下ろす。
「オリバー、私が欲しくないの?」
「っっ、」
ゴクリと喉を鳴らすオリバーに見せつけるよう、胸元のリボンを解いた。
露わになる下着。
「ーー・・私の事を愛して?」
欲してくれるなら。
挑戦的にオリバーへ笑った。
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