リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第12章〜獣人編〜

新たな王の候補

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自分で王位を退くか。
または、精霊王の怒りを買った愚王として、民から奪われるか。


「好きな方をお選びください。」


選択は2つ。


「くっ、しかし、誰が私の跡を継ぎ、王となると言うのです!?息子ですか?」
「王妃の息子は論外ね。だって、母親である王妃も罪人ですもの。」


ルルーシェルの暗殺を企てた犯罪人。
私も精霊王である皆んなも、絶対に王妃の息子が王位を継ぐ事を許さない。


「だって、彼も母親の企てを知っていたし?」


立派な共犯です。


「うん、彼が王位を継ぐのは却下。かと言って、他の御子息が王位を継ぐのも、ねぇ?」
「「「「「「不愉快だと言っておくわ。」」」」」」
「ですって?ですから、貴方の血筋が王位を継ぐのは無理ですね。」


全員一致の拒否。
精霊王達の強い拒絶で、今の王の血筋が王位を継ぐ事は潰えました。


「っっ、では、誰が王位を?」
「うふふ、きちんと考えて、王位へ就いていただける様に相手の方に打診して、引き受けていただいておりますよ。」


王家や貴族は私の敵だけど、この国に住む住人達には罪がないからね?
あ、もちろん、ルルーシェルや私へ暗殺者を差し向けた犯罪者ギルドは別。
きっちりと潰させていただきました。


「ディア様の暗殺を企てた?」
「なるほど、よっぽど死に急ぎたい様ですね。」
「分かりました、その願いを全力で叶えましょう。」


私の可愛い子達が。


「ルル、こちらは私達に任せて、首謀者を必ず血祭りに上げなさい。」


無表情となったロッテマリーの指揮の元。
国の害悪だし、良いよね?


「私が王位に就く様に打診した方は、貴方もご承知の方だと思いますよ?義に厚く、民の為に戦う方達の事を」
「ま、まさか!?」
「ふふ、その、まさか、です。ねぇ、ヒューイットさん?」


入口へ視線を向ける。
玉座の間から入って来る、体格の良い桑年の男性。


「っっ、ヒューイット、貴様!」
「お久しぶりですなぁ、陛下。この様な再会となった事、誠に残念でなりません。」


鋭い目を王へと向けた。


「しかし、貴方の所業は民を不幸にする。それを私は見過ごせません。」
「はっ、だから、王位を私から奪うと言うのか!?義に厚いと言われた、お前が!?」
「何と言われようと、私は決めたのです。貴方がニュクス様の愛し子様、精霊王様方へ不敬を働いた時に!」


静かな咆哮。


「なぜ、何の確認もなく、少女を犯罪奴隷へ落とそうとされたのですか、陛下!?その結果が、とんでもない事になるとは思われなかったのか!?」
「し、知らなかったのだ、彼女がニュクス様の愛し子だと言う事も、精霊王様が証拠集めにご協力されていたのだとも・・。」
「知らなければ、何の罪もない方を犯罪奴隷へ落とす事もすると?貴方は、どこまで私の事を失望させるのです。」


ヒューイットが嘆く。
うん、分かるぞ、その気持ち。
ニュクスお母様の愛し子と言う肩書きや精霊王の皆んなに証拠集めを頼む保険がなければ、このゴミは私の事を犯罪奴隷に落としただろう。


「きちんと調査をされ、その後に処罰なり申し伝えれば良い話しではないですか!それを陛下は怠り、ニュクス様の愛し子様と精霊王様達の怒りを買ったのでしょう!?」


竜眼を発現させ、王を睨め付ける。


「その様な愚かな王に、玉座は預けられません。この私が、貴方から王位を簒奪します!」


怒り、憤りを込めた静かな宣言だった。


「ヒューイット様の宣言、確かにお聞きいたしました。ニュクスお母様の愛し子として、ヒューイット様の王位継承を支持いたしましょう。」
「「「「「「私達、精霊王もヒューイットの王位継承を認めましょう。」」」」」」


私、精霊王の全員がヒューイットの王位継承を承認。
ゴミの玉座は預けられません。
冤罪で、どんな事を仕出かすか分からないもの。


「はっ、この不肖、このヒューイット、ニュクス様の愛し子様と精霊王様方のご期待に添えます様、尽力いたします。」


深々と、ヒューイットが頭を下げた。
遡ること、数日前。
王妃と宰相によって、ルルーシェルと私へ暗殺者が向けられた頃。


「ディア様、この国は滅ぼしましょう。」


激怒の皆んなは、持てる全ての力で国を滅ばそうとしていた。
洒落にならないくらいの全力で。


「いや、待とう!?首謀者を滅ぼす事は許せても、国ごとは許可できないから!」


慌てて止める。
今本気で止めないと、そのまま元凶様の所へ乗り込みそうだし。


「んー、無能な王達は王位を退かせ、貴族達もマシな人達と入れ替えるとして、次の王はどうしよう?」


大問題だ。


「ディア様、そんなにも民の事を考えるなんて、このルルーシェル、感服いたしました。」


ルルーシェルが目を潤ませる。
彼女の私への崇拝の琴線に触れてしまったらしい。


「でしたら、ディア様。王位に就けるに相応しい者がおりますが、どうでしょうか?」


リリスより告げられたのは、ヒューイットの名前だった。



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