リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第1章〜序章編〜

私の復讐と夢

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誰かに必要とされたい。
愛されたいと願う。


「・・・ねぇ、リデル。1つだけ聞いて良い?」
「なんですか?」
「私、が、死んで、あちらはどうなったの?」


人生を終わらせる事。
それが、私の出来る小さな彼らに対する復讐だった。
その結末は?


「・・知りたいですか?」
「えぇ、知りたいわ。」
「・・・・、学校は、大惨事ですね。なんせ、屋上から生徒が飛び降りて亡くなったんですから、当然の事ですが。」
「・・・そう。」


小さく、笑みを浮かべる。
そう、か。


「ふふっ、ちゃんと私の復讐は叶ったんだ?」


笑った。
これからの彼らの事を考えて。
物語の悪役は、最後にこう言うんでしょ?
ーーーーざまぁ、と。


「私への苛めが世間に知れ渡るかしら?誰が被害者で、加害者なのかも。」


生徒が屋上から飛び降りたのだもの。
メディアは大喜びで、私が飛び降りた原因究明に勤しむだろう。
私の死に関わった人間。
その原因と理由を面白く暴く為に。


「リデル、私ね?学校の屋上から飛び降りる前に、教育委員会に向けてノートを送ったの。」
「ノート?」
「そう、私がクラスメイト達に虐められていた事を克明に記したノートよ。どんな事をクラスメイト達にされ、抵抗や拒絶したかが克明に書かれたノートは、どうなったのかしら?」


学校の屋上に向かう前に、郵便局から送ったノート。
施設の人や学校の誰かの手に渡れば、隠ぺいの為に破棄される懸念があり、直接、直筆のノートと手紙を教育委員会に向けて送ってやったのだ。
もちろん、学校の屋上にも手紙は残したが。


「きっと、あのノートは無能で最低な人間達を地獄へ落とす波紋の一つになるわよね?」


私を虐めたクラスメイト達。
あの男の言葉を信じ、私を見放した施設の人間。


「ふふ、あははは、全員、私以上に苦しんで、これから先ずっと地獄を味わえば良い。」


その為の、ノート。
大きな波紋となる為の、布石。
後で自分達の犯した過ちを後悔しても遅いんだと痛感して、生き地獄を味わえ。


「当然の報いよ。」


全ての人間から批難され、私の痛みを理解しろ。
居場所さえなかった私の苦しみを。


「私へした事を誰にも隠蔽などさせないわ。そう、教育委員会にもね?」


懸念があった。
教育委員会の連中が隠蔽する事を。


「だから、私は一言だけ手紙の最後に書いておいたの。このノートを見た貴方達以外にも、この事実を知る人は他にもいるので、揉み消さないで調査した方が良いですよって。」


嘘も方便。
だって、その真実を知るのは私だけ。
教育委員会の人達が、それが嘘か真実なのか知る術はないのだから。


「これで教育委員会の人達も、自分達の為に学校の問題を隠蔽しようなんて考えられるかしら?」


私は思わない。


「私の考えでは、きちんと教育委員会は調査をすると思うのよね?だって、後で真実がバレてしまったら困るもの。」


私の手紙の一言を無視は出来ないだろう。
リスクは最小限にと考える。
自分達への傷が小さくなる方へと、きちんと私が誘導してあげるのだ。


「これで、真実は必ず明かされるわ。」


笑いが止まらない。
無意味に死んでなんかやるものか。
これは、復讐なのだから。


「あぁ、きっと担任も、今回の事で責任を取らされるわね。」


だって何もしなかったんだもの。
頑張って最後は、ちゃんと私の担任として、その責任を果たして下さいね?
自業自得なんだから。


「何もしなかったなんて、何の免罪符にもなり得ないものね?」


見て見ぬ振りする方が、タチが悪い。
だから記入してあげたの。
担任の先生からは何もしても、されてもいませんと。


「私、事実しか書いてないでしょう?」


嘘は何一つ書いてない。
ノートに記されているのは、真実だけ。


「あぁ、クラスメイト達や担任、学校の上層部に施設の職員達は、世間やマスコミにどんな言い訳をするのかな?」


自分は知らなかった?
無関係?


「全員が関係者で、罰を受ける必要があるよね?」


注目を浴び、批難されろ。
人1人を自殺に追いやった加害者なのだから。


「その様子では、地球に何の未練は無さそうですね?」
「もちろん、あいつらへの私の復讐は叶ったんだもの、なんの未練も無いわ。」


むしろ、あの世界にお別れできて清々している。
案場所へ戻りたいとも思えない。


「未練があるとすれば、あいつらがこれか先、どうなるのか見れないのが残念な事ぐらいよ。」


どんな風に苦しむのかしら?
満面の笑みできっぱりと言い切る私に、リデルは首を傾げた。


「それなら、他の世界にします?」
「えっ!?他の世界って?」
「地球とは異なる、別の世界の事です。言うなれば、異世界。」


・・・なに、それ。
すごく、最高なんですけど。


「魔法は!!?その異世界に行けば、魔法は使えるの?リデル、どうなの!?」
「は、はい、使えます。」
「っっ、よっしゃー!!それなら、行くしかないでしょ!」


迫る私に引くリデル。
そんなリデルに構う事なく、1人ガッツポーズ。
来ました。
良く物語にある、別の世界への異世界転生。


「あぁ、夢の異世界。」


憧れだった。
こんな最低な世界を捨てて、別の世界へって。


「・・・魔法、使いたいんですか?」
「はぁ?リデル、なに言ってんの?異世界って言ったら、魔法でしょう!?漫画や小説なら魔法は定番でしょうが!」
「は、はぁ、」


困ったように、リデルは頬をかく。
いまいち理解出来ていなかろうが、呆れられても、私には関係がない。


「ふっ、ボッチを舐めるなよ!」


私の趣味と言えば、お金のかからない読書ぐらいしか無かった。
あとは、勉強?
寂しい奴と、言うなかれ。
お金のかからない図書館で本を借りて、読書する事が私の唯一の贅沢だったんだから。


「で、では、異世界に向かうと言う事で良いですか?」
「もちろん!」


こちらの世界での、私の復讐は叶った。
なら、新しい異世界で別の人生を始めてみるのも良いじゃないか。
笑顔で頷いた。

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