遠くて近い世界で

司書Y

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L's rule. Side Akiha.

三人で幸せになるための恋人ルール 2

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 二つの部屋のリビングに扉がついて、3人が完全な同居? 同棲? を始めて、約1カ月。アキとユキの部屋側のリビングは完全に仕事用の事務所になって、スイの部屋側のリビングが3人のくつろぎスペースになっていた。
 大型テレビを付けて、アキはソファで、ユキはラグの上でごろごろ転がりながら、スイはキッチンでそれぞれに会話を楽しんでいる。

「やっぱり、そのラグにしてよかったな」

 ごろごろ転がっているユキに目を細めて、スイが言う。

「まじで! すげえ、気持ちいい。あったかいし」

 スイの提案で大型テレビの前にはオレンジ色系のラグが敷いてある。ラグの下にはホットカーペットが敷いてあって、ユキはそこがお気に入りでいつもごろごろしていた。
 事務所の方は、もともとのインテリアが殆ど変っていない。どちらかというと、無機質というか、無造作というか、必要なものしか置いていないのも相まって、あまり寛ぐというイメージではない。しかし、リビングの方はスイのコーディネートで暖色を多く使って、温かみがある感じになっていた。

「スイさんセンスいいからな」

 素直に褒めると、少し照れたようにスイが笑った。

「二人だって、相談に乗ってくれたじゃん」

 そんな風に謙遜するけれど、アキは知っていた。
 二人が少しでも居心地がいいようにと、ラグの種類や肌触りにまで拘っていたこと。三人で並んで掛けられる大きなソファを特注で用意してくれていたこと。ダイニングの椅子をイメージに合うようにと、わざわざ一人一人違うものにしてくれていること。寒がりなアキがよく座る場所の近くにオイルヒーターを入れてくれていること。こっちの風呂に良く入るようになってからは、わざわざアキとユキの部屋と同じシャンプーに変えてくれたこと。
 全部、二人のためにしてくれた。何も言わないで、まるで偶然そうだったとでも言うように自然に。
 そんなスイの気遣いがアキは好きだった。

「ほんと。ここ居心地いい」

 ユキが言う。
 居心地がいいのは、部屋のせいだけじゃない。スイがいるからだ。
 一緒に暮らすようになって分かったのだが、頭がいいからなのか、育ち方のせいなのか、スイはとても気がきく。それはもう、考え過ぎってくらいに。多分、自分たちが気付いていない所でもスイは二人のためにいろいろと考えてくれているのだと思う。
 少しだけ心配になる。彼が疲れてしまうのではないかと。

「そう言ってもらえると嬉しい」

 スイは、どちらかというと、かなり我慢強い方だと思う。だめになるぎりぎりまで耐えてしまうタイプだ。そして、それを人に見せようとしない。
 だから、三人はルールを決めた。
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