遠くて近い世界で

司書Y

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L's rule. Side Hisui.

Gulab Jamun 4

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 指先が一番敏感な場所を撫でる。厭らしい水音が響いて、その度にスイの身体がびくりと震えた。

「は……ん。ああぁ。……アキ……くん……」

 次第にふやされていく指。ばらばらに動いて、なかのいいところを刺激する。
 吐息の隙間に愛しい人の名前を呼び続けると、ふ。と耳元にその吐息が掛かった。そんな僅かな感覚にも、身体は高まって、早くほしいとスイの口から言ってしまいそうだった。

「翡翠……もいい?」

 まるで、それが分かったみたいに、アキが言う。分かってくれているようで、嬉しい。

「苦しかったら……言って? 努力は……するから」

 遠慮なんていらない。

 ほしいのは、俺の方だよ?

 熱に浮かされたような頭でスイは思う。
 でも、口には出さなかった。それを言うにはまだ、理性が邪魔をする。

「……いいよ……すきに……して?」

 かわりに、囁くように言うと、突然衝撃が走った。

「……ぁ……っんん!!」

 指とは比べ物にならない質量を持ったそれが、まだ、狭い入り口を割って、一気に侵入してきた。
 息ができない。

「……あ……う。……くぅ」

 苦しくて、さっきまでと違う、呻くような声が出てしまった。
 苦しげに眉を寄せて、それでも、心配そうにアキの目が見ている。
 また、心配させてしまった。安心させたいのに、うまく息ができなくて、ぎゅっとアキの肩を握りしめる。

「……翡翠……大丈夫? ちゃんと、息して?」

 つ。と、アキの指がスイの脇腹を撫ぜた。
 スイの意思に反して、びくっと、身体が跳ねる。それで、呼吸が戻ってきて、スイは荒く息をついた。

「……は……ぁ。んんっ……」

 浅く息をついて、圧迫感をやり過ごそうとするけれど、時折思い出したようにびくりと震えるアキの熱いソレの僅か動きにも、身体が敏感に反応をして無意識に締め付けてしまう。
 愉悦の隙間、覗き見るアキの表情。形のいい眉が苦しそうに寄せられている。それもすごく綺麗で、愛しくて強張りは次第に解けていった。

「……も……いい……から……ぁ……。つづ……け……んんっあ」

 まだ、慣れたとは言えない。でも、スイはアキに続きを強請った。
 でも、アキの苦しそうな表情が限界だと語っていた。自分も男だからわかる。彼が、自分の身体で狂おしいくらいに感じてくれていること。
 時折、緩い動きを繰り返し馴染ませるように、ゆっくりと、奥まで暴かれていく感覚。
 もう、声は抑えることなんてできなくなっていた。信じられないくらい高い声が喉の奥から零れる。快楽を逃そうと、のけぞらせた首筋に幾つも吸い痕が残される。それすらも、まるで、自分が彼のものだと言われているようで、悦びに変わっていく。

「……っあきは……っあっん。やぁ……っぁあぁん」

 最奥まで進んだところで、アキは一度動きを止めた。

「翡翠。俺を見て? ゆっくりで……いいから」

 もう、意識が飛んでしまいそうだった。それでも、アキの声にその顔を見ると、その顔が快楽に濡れながらも、すごく優しくて、スイも自然に笑えた。

「……はい……った? 俺……いま、秋生……と繋が……れてる?」

 アキを身体の奥に感じる。それが嬉しくて、下腹部に触れると、そこには自分自身の先走りで小さく水たまりができているほどだった。
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