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Internally Flawless
17 会合 3
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「や。すげえ綺麗めなのよ。多分、モデルとかってわけじゃない。背は高くないし。でも、かなり細くて。
その人が、綺麗な翠の瞳してて、髪の毛も翠色で。色は似てるんだけど姫様とは違ってふわっとして。エメラルド……って感じじゃないよな。ああ。そう。翡翠かな? めっちゃ、綺麗なんだよ。
翠の髪とか瞳とか、かなり希少だろ? お姫様普段から自分の髪とか目とか『神に愛されてる』とかいって自慢してんじゃん? だから、けなすこともできないわけ。
いや。なんてかさ。多分、姫様とそんなに歳も違わないと思うんだけど……すげえ……んー。色っぽいっていうか。や。それが、男なんだぜ? あー。これをどう表現したらいいのか……わかんね」
あー、その人よく知ってます。とは、言えなかった。
その人が色っぽいことなんて、ユキは多分一番知っている。恐らく、アキよりよく知っている。
その人が最もそう見えるのは特にアキといたした次の日なのだ。まさにドストライクで今日がそれである。自分だけがそう感じていると思ったら、どうやら万人に振りまいているらしい。『愛されオーラ』を。
「姫様とは大違いだなあ。あれ、色気感じないでしょ? 平原だし。や。後2・3年でああなるのかね?あ。でも、その綺麗めの人、自分のこと『普通のおっさん』とか言ってたから、そんなに若くないのかな?」
しかし、あの人の話を全く聞かない、受け止めないレイをやり込めるとは、兄と仲直りしたと思ったら、スイこそ無双しているようだ。スイは、自分に敵対してくる相手には容赦ない。やりすぎで姫様を怒らせて、下手な仕返しを受けないかと、少し心配になる。
自分はアキやユキと一緒にいられないのにレイは傍にいるという嫉妬も相まって敵認定しているのではないだろうか。
「姫様に『髪や目は綺麗だけど、身体が貧弱』とか言われても、怒りもしないで余裕で笑って、『髪や目の色なんて遺伝子の気まぐれだ』とか、すげえ頭よさそうな人だった。そこがまた鼻が高いだけの姫とは大違い。まさに、論破ってかんじだったよ。
最後にはさ。『中学生に戻って敬語と劣性遺伝の勉強をし直してきなさい』だぜ? も、最高! 姫様、普段逆らうやついないから、かなりのご立腹だったよ」
なんとなく、その姿が想像できた。
想像したら少し楽しくなった。どうやら、スイはかなり本調子に戻ったらしい。これなら、すぐに仕事も片付いて、スイの料理が食べられそうだ。
「俺、あの人のファンになっちゃいそうだなー。姫様とは別の意味で気が強そうてか、芯が強そうだけど、笑った顔は優しそうだったし。髪とか目とか関係なく綺麗だし。すげえ頭よさそうなのが、カッコいいし」
スイを思い出して、にやけるカズが、でも、意外と見た目だけじゃなくいいところに目を付けているなと感心してしまう。そして、『愛されオーラ』駄々漏れのスイはかなり心配だ。こんな風に変な虫が付いていないだろうか。不安になる。
おそらく、スイは自分自身が醸し出しているそれに気付いていない。気付いていないのが彼らしいのだが、これ以上ファンが増えても困る。
「もう、こんなところにいられないわ!!」
いきなりガラスの割れる音と、レイの声が響いた。
「でかけるわ。車出して」
今日のスケジュールはこの後、ショーの衣装合わせになっているはずだった。しかし、どうやら、予定が変わるらしい。彼女の気まぐれでスケジュールが変わることなどいくらでもある。
ため息をついて、ユキとカズはパーテーションから出た。
その人が、綺麗な翠の瞳してて、髪の毛も翠色で。色は似てるんだけど姫様とは違ってふわっとして。エメラルド……って感じじゃないよな。ああ。そう。翡翠かな? めっちゃ、綺麗なんだよ。
翠の髪とか瞳とか、かなり希少だろ? お姫様普段から自分の髪とか目とか『神に愛されてる』とかいって自慢してんじゃん? だから、けなすこともできないわけ。
いや。なんてかさ。多分、姫様とそんなに歳も違わないと思うんだけど……すげえ……んー。色っぽいっていうか。や。それが、男なんだぜ? あー。これをどう表現したらいいのか……わかんね」
あー、その人よく知ってます。とは、言えなかった。
その人が色っぽいことなんて、ユキは多分一番知っている。恐らく、アキよりよく知っている。
その人が最もそう見えるのは特にアキといたした次の日なのだ。まさにドストライクで今日がそれである。自分だけがそう感じていると思ったら、どうやら万人に振りまいているらしい。『愛されオーラ』を。
「姫様とは大違いだなあ。あれ、色気感じないでしょ? 平原だし。や。後2・3年でああなるのかね?あ。でも、その綺麗めの人、自分のこと『普通のおっさん』とか言ってたから、そんなに若くないのかな?」
しかし、あの人の話を全く聞かない、受け止めないレイをやり込めるとは、兄と仲直りしたと思ったら、スイこそ無双しているようだ。スイは、自分に敵対してくる相手には容赦ない。やりすぎで姫様を怒らせて、下手な仕返しを受けないかと、少し心配になる。
自分はアキやユキと一緒にいられないのにレイは傍にいるという嫉妬も相まって敵認定しているのではないだろうか。
「姫様に『髪や目は綺麗だけど、身体が貧弱』とか言われても、怒りもしないで余裕で笑って、『髪や目の色なんて遺伝子の気まぐれだ』とか、すげえ頭よさそうな人だった。そこがまた鼻が高いだけの姫とは大違い。まさに、論破ってかんじだったよ。
最後にはさ。『中学生に戻って敬語と劣性遺伝の勉強をし直してきなさい』だぜ? も、最高! 姫様、普段逆らうやついないから、かなりのご立腹だったよ」
なんとなく、その姿が想像できた。
想像したら少し楽しくなった。どうやら、スイはかなり本調子に戻ったらしい。これなら、すぐに仕事も片付いて、スイの料理が食べられそうだ。
「俺、あの人のファンになっちゃいそうだなー。姫様とは別の意味で気が強そうてか、芯が強そうだけど、笑った顔は優しそうだったし。髪とか目とか関係なく綺麗だし。すげえ頭よさそうなのが、カッコいいし」
スイを思い出して、にやけるカズが、でも、意外と見た目だけじゃなくいいところに目を付けているなと感心してしまう。そして、『愛されオーラ』駄々漏れのスイはかなり心配だ。こんな風に変な虫が付いていないだろうか。不安になる。
おそらく、スイは自分自身が醸し出しているそれに気付いていない。気付いていないのが彼らしいのだが、これ以上ファンが増えても困る。
「もう、こんなところにいられないわ!!」
いきなりガラスの割れる音と、レイの声が響いた。
「でかけるわ。車出して」
今日のスケジュールはこの後、ショーの衣装合わせになっているはずだった。しかし、どうやら、予定が変わるらしい。彼女の気まぐれでスケジュールが変わることなどいくらでもある。
ため息をついて、ユキとカズはパーテーションから出た。
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