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Internally Flawless
21 醜悪 4
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「っ!」
入ってきた人物にそのまま壁際まで押しつけられる。勢いでスマートフォンが濡れた床に落ちて、手の届かない場所まで滑って行った。
「……だ……れだよ?」
腕で首をがっちりと壁に押し付けられて、息苦しい。
その相手にスイは見覚えがあった。しかし、どこで見たことがあるのか、思い出せない。
「へえ。本当に翠だ」
その人物は随分と背が高かった。多分、アキくらいはあるだろう。首周りの脂肪がだぶついた中途半端に長い黒髪の男。恐らく、20代後半。高い頬骨に幾つものにきびの痕。二重になった顎には無精髭。黒いジャージの上下にどこにでもある青いスニーカーを履いている。
瞼の重そうな細い目がさらに細くなる。おそらくは笑っているのだ。
「珍しいな。女神さまと同じだ」
片手で壁に押し付けられて、下ろしたままの髪を撫でられる。ぶよぶよと脂肪のついた手で髪を梳くように触られて気持ちが悪くて皮膚が泡立った。
「綺麗だなあ。これが……ひひ。俺のになるんだ」
ひひ。と、空気を吸い込むような音で笑う男が、これから自分に何をする気でここにいるのか、考えるとぞっとする。敵意をこめて睨みつけても、返ってきたのは不気味な笑いだった。
「女神さまの宣託なんだ。君のことめちゃくちゃにして、エロ投稿サイトにUPしろって」
荒い吐息が鼻先にかかって、吐き気がする。散々髪を撫でまわした男の手が、つつっ。と、肩先に触れて、スイは悪寒にびくりと、身体を揺らした。
「女神さまって……なんだよ?」
吐き気を押さえて睨みつける。多分、スイは心底嫌な顔をしていたはずだ、しかし、男はす。と目を細めて口を半月の形にした。
「女神さまは、レイ様だよ。美しいエメラルドの女神さま。俺の女神さま」
うっとりと、目を閉じて、おそらく彼女のことを思っているのだろう。その表情も吐き気がするほど気持ち悪い。
「レイさまはお怒りだよ? 君のこと……ひひ。恥ずかしくて外歩けないくらい犯して、晒してやれって」
肩に触れていた指が、首筋を、それから、頬を撫でる。まるで、虫が這っているような感覚にスイの形のよい眉が歪んだ。
「……ざけんな! 触るんじゃねえよ。俺、男だってわかってんのか?」
押しつけられた首が苦しい。喉が潰れて声が掠れた。
「わかってるさ。俺だって、男なんて興味なかったよ? ひひひ。正直、男だって聞いて勃つかなって心配だったけど……ひひ」
タオル一枚で隠しただけのスイの身体を舐めまわすように見つめて、男の喉が上下するのが見える。
「それ? キスマーク? 色白いから目立つね。うひひ。厭らしいなあ。ひひ。誰に抱かれたの? 相手男でしょ? そいつより、俺のが悦くしてやるよ? ひひ こんなキスマークいっぱい残されて……」
スイの首筋に残るアキの所有印を男の指先がなぞる。そこには触れられたくなくて、身体に力を込めても、力の差でびくともしない。
「足開いて、男受け入れたんでしょ? ひひ。男のチンコ突っ込まれるって、どんな気持ちなの? 気持ちいいの? ぐちゃぐちゃに犯されて、ひひひ。あんあん鳴いて、善がっちゃうんでしょ? ひひ。はやくみたいなあ。全部動画に撮って、UPしてあげるから」
スイの抵抗を力でねじ伏せて、胸元から脇へと手が滑って行く。
「ホント、君、綺麗だよね? 肌も白くてすべすべで。突っ込んだまま撮ったら、きっと、すごく絵になるよねえ。
あ。心配しなくてもいいからね。動画流出しちゃっても、平気だよ。俺が飼ってあげるから。最近あのペットにも飽きてきたし。次は君が俺のペットになって、毎日俺としようね」
ぐり。と、下半身を押しつけられる。それはもう驚くほど硬くて、背筋にぞっと怖気が走った。
「きも……ちわりいんだよ! こんなこと、いつもやってんのか!? バレないはずないだろ!」
腕に力を込めても、男の腕をどかすどころか、身じろぎすらできなかった。相手とスイの体格差は大人と子供ほどもある。
「バレないさ。今までもバレたことないし」
「は?」
今までも、という言葉にスイは問い返した。
「もう、女神さまの宣託に従って、10人はヤってるよ? みんな女神さまの邪魔をするやつばっかりだった。
めちゃくちゃに犯して、写真撮って、黙ってろって言ったら、誰もばらしたりしなかったよ。それどころか、みんななんでも言うことを聞いてくれた。
夜の公園で首輪付けて、裸で散歩させた時は興奮したなあ。あ。君にも後で動画見せてあげるよ。そうしたら、君にも同じことさせてあげようね」
にや。と目の前の男が厭らしい笑いを浮かべる。その瞳はギラギラとして気持ちが悪いが、あの昏い穴は見えない。
入ってきた人物にそのまま壁際まで押しつけられる。勢いでスマートフォンが濡れた床に落ちて、手の届かない場所まで滑って行った。
「……だ……れだよ?」
腕で首をがっちりと壁に押し付けられて、息苦しい。
その相手にスイは見覚えがあった。しかし、どこで見たことがあるのか、思い出せない。
「へえ。本当に翠だ」
その人物は随分と背が高かった。多分、アキくらいはあるだろう。首周りの脂肪がだぶついた中途半端に長い黒髪の男。恐らく、20代後半。高い頬骨に幾つものにきびの痕。二重になった顎には無精髭。黒いジャージの上下にどこにでもある青いスニーカーを履いている。
瞼の重そうな細い目がさらに細くなる。おそらくは笑っているのだ。
「珍しいな。女神さまと同じだ」
片手で壁に押し付けられて、下ろしたままの髪を撫でられる。ぶよぶよと脂肪のついた手で髪を梳くように触られて気持ちが悪くて皮膚が泡立った。
「綺麗だなあ。これが……ひひ。俺のになるんだ」
ひひ。と、空気を吸い込むような音で笑う男が、これから自分に何をする気でここにいるのか、考えるとぞっとする。敵意をこめて睨みつけても、返ってきたのは不気味な笑いだった。
「女神さまの宣託なんだ。君のことめちゃくちゃにして、エロ投稿サイトにUPしろって」
荒い吐息が鼻先にかかって、吐き気がする。散々髪を撫でまわした男の手が、つつっ。と、肩先に触れて、スイは悪寒にびくりと、身体を揺らした。
「女神さまって……なんだよ?」
吐き気を押さえて睨みつける。多分、スイは心底嫌な顔をしていたはずだ、しかし、男はす。と目を細めて口を半月の形にした。
「女神さまは、レイ様だよ。美しいエメラルドの女神さま。俺の女神さま」
うっとりと、目を閉じて、おそらく彼女のことを思っているのだろう。その表情も吐き気がするほど気持ち悪い。
「レイさまはお怒りだよ? 君のこと……ひひ。恥ずかしくて外歩けないくらい犯して、晒してやれって」
肩に触れていた指が、首筋を、それから、頬を撫でる。まるで、虫が這っているような感覚にスイの形のよい眉が歪んだ。
「……ざけんな! 触るんじゃねえよ。俺、男だってわかってんのか?」
押しつけられた首が苦しい。喉が潰れて声が掠れた。
「わかってるさ。俺だって、男なんて興味なかったよ? ひひひ。正直、男だって聞いて勃つかなって心配だったけど……ひひ」
タオル一枚で隠しただけのスイの身体を舐めまわすように見つめて、男の喉が上下するのが見える。
「それ? キスマーク? 色白いから目立つね。うひひ。厭らしいなあ。ひひ。誰に抱かれたの? 相手男でしょ? そいつより、俺のが悦くしてやるよ? ひひ こんなキスマークいっぱい残されて……」
スイの首筋に残るアキの所有印を男の指先がなぞる。そこには触れられたくなくて、身体に力を込めても、力の差でびくともしない。
「足開いて、男受け入れたんでしょ? ひひ。男のチンコ突っ込まれるって、どんな気持ちなの? 気持ちいいの? ぐちゃぐちゃに犯されて、ひひひ。あんあん鳴いて、善がっちゃうんでしょ? ひひ。はやくみたいなあ。全部動画に撮って、UPしてあげるから」
スイの抵抗を力でねじ伏せて、胸元から脇へと手が滑って行く。
「ホント、君、綺麗だよね? 肌も白くてすべすべで。突っ込んだまま撮ったら、きっと、すごく絵になるよねえ。
あ。心配しなくてもいいからね。動画流出しちゃっても、平気だよ。俺が飼ってあげるから。最近あのペットにも飽きてきたし。次は君が俺のペットになって、毎日俺としようね」
ぐり。と、下半身を押しつけられる。それはもう驚くほど硬くて、背筋にぞっと怖気が走った。
「きも……ちわりいんだよ! こんなこと、いつもやってんのか!? バレないはずないだろ!」
腕に力を込めても、男の腕をどかすどころか、身じろぎすらできなかった。相手とスイの体格差は大人と子供ほどもある。
「バレないさ。今までもバレたことないし」
「は?」
今までも、という言葉にスイは問い返した。
「もう、女神さまの宣託に従って、10人はヤってるよ? みんな女神さまの邪魔をするやつばっかりだった。
めちゃくちゃに犯して、写真撮って、黙ってろって言ったら、誰もばらしたりしなかったよ。それどころか、みんななんでも言うことを聞いてくれた。
夜の公園で首輪付けて、裸で散歩させた時は興奮したなあ。あ。君にも後で動画見せてあげるよ。そうしたら、君にも同じことさせてあげようね」
にや。と目の前の男が厭らしい笑いを浮かべる。その瞳はギラギラとして気持ちが悪いが、あの昏い穴は見えない。
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