Yesterday's HERO

クラピナ

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.Jin



金が出なければ働けない。




「…はぁ」

「でもさ、よくあるパターンじゃね」



殺し依頼人が金銭未納のまま死ぬパターン。
ありがちといえば、ありがちである。



「ジン、ハンド、今回はどうするの?」

「一応責任者は娘になるんでしょ?なら俺はどっちでも。ジンは?」




ショウを殺す日がついに来た。


ただ、そう思った。







ショウは優秀な殺し屋だ。

ラブと同い年だと聞いたことがあった。
俺たちとは敵同士の関係になる。

そいつを抹消できたらと思ってはいたが、まさかこんな形で依頼されるなんて考えていなかった。




「次のターゲットはショウだ。実行の前に、依頼人の娘に事情を聞きに行く」







そうと決まればすぐに行動に移すのが俺たちだ。
30分後には車を発進させていた。





「ハンド、なんて名乗る?」


「運転中に話しかけんな!」


「だって赤信号だし」



こういうときも、2人は呑気だと思う。
それを怖く感じることもある。




「今回もユウタかなぁ」

「じゃあ俺ユウキ」

「はぁ?紛らわしいな。じゃあゲンキとかは」





そのとき、ラブの目が泳いだのを俺は見逃さなかった。





「嫌だ、そんな男らしい名前。
   もっと可愛い名前がいい!」



「んー、リンゴなんてどう」


「ハンドってば、適当すぎ」






俺は窓の外を見て、その会話を聞いている。
俺の名前はユウタである。
ハンドが「ユウタ」と名乗るたびに、俺は動揺を隠せなかった。





「ジンはどうするの」

「えっ…?」

「もー、話聞いてる?」

「聞いてるよ。ジンでいいかな」

「またー?」

「お前だけだぞ、名前使い分けないの」

「まぁ、めんどくさいし」

「なんかあったらどうすんだよ」

「ハンド。ジンが決めたことに口出さないで」

「…ごめんごめん、つい」




仕事仲間だけど、何も知らないもの同士。








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