Yesterday's HERO

11

.Jin




「復讐代行みたいなもんだよ。悠里さんのお母さんが依頼したのは、『悠里さんと龍斗くんを狙っている奴を消す』っていう内容」


「なんでも屋みたいなことですか？」






俺と女の子が話しているのが気に入らないらしく、ラブが割り込んできた。



「そーゆうこと。あんたにも、めっちゃくちゃ苦しんでほしい奴っているでしょ？そいつを依頼通りに苦しめるの。例えば冤罪とか、家庭崩壊とか、身体の機能を麻痺させるなんてこともしたかな？そうやって人の人生をめちゃくちゃにするってこと」


「ラブ！」




言い過ぎだ。
普通に生きてきた女の子にとって、そんな汚い世界かあるなんて信じられないだろう。

ハンドと俺は、家系でこの職に就いた。
だけどラブは珍しく、志願してここにいる。


相当残酷な奴だ。
一般からの依頼だって楽しむようなやつだ。

ハンドも俺も、こっちの世界の悪い奴を掃除するときは気合いが入る。
その一方で、一般人からの依頼は心が痛む。
人の人生を崩壊させることは、簡単にできっこない。
高額な報酬は、その苦しみの代償である。




「…ひどいです」



ほら、予想通り。
彼女は涙を流して怒りを止められないようだ。



「そういう仕事だから」

「ひどいことだと思わないんですか！？
やられた方の気持ちは考えないんですか！？」




ラブがギラリと女を睨んだ。
まずい、キレる。



「あんたの親父がしてたのはね、俺らみたいな人間を雇って、その報酬の10%から30%を横取りする仕事。その金で生きてきた、ひどいことしてる俺たちの稼いだ金で生かされてるあんたになんか、絶対言われたくない」



ラブが彼女をベッドに投げ飛ばした。



「あんたには身体で払ってもらう。
    弟も隣人も、助けてなんかくれないよ」






ラブが服をナイフでビリビリと切っていくその間にも、彼女は涙を流し続けた。

白い肌がどんどん露わになっていくけれど、こうなったラブはもう誰にも止められない。




「お前、もう少しやり方あんだろ」


ハンドがナイフを取り上げて床に捨てた。




「…ユウタさん、」



「…っ！」


俺のことを呼んでいるわけではないことくらい、わかっている。
頼むから、ユウタと呼ばないでほしい。






わりと無欲に生きている方だとは思う。


だけど、か弱い子鹿が怯えている。
泣いている。
自分の名前を呼ぶ、捕らえられた子鹿。





狩猟本能が刺激されて、俺の下半身がぐんっと熱くなった。




.