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一夜明けて。
目が覚めると
“ティーナ、おはよ”
と言って優しい笑顔でわたしに挨拶をしてくれた。
ーーアクアおはよう。
もうお水は出てるよね?あの四人にもお水は与えてあげて欲しいの
“生きていくために必要な水は大丈夫。風呂には入れないけどね。あの四人が入ろうとしたらなくなるようにした”
ーーそれって……とても辛いと思うわ。
“知らない!生きてるんだからいいじゃん”
ーー他の人は?
“元に戻した”
ーー本人達が反省したらお水を戻してあげてね?
“反省?あいつらがするわけないじゃん”
ーーうーん、でもお水が出ないのは辛いと思うの。
アクアはぷんぷんと怒っていてこれはしばらく彼らは許してもらえないだろうなと思った。
じゃあ、わたしが許せるかって?
うん、許せない。と言うかもう二度と顔も見たくない。たぶん見るのが怖い。
ーー今日は何にもしたくないな。
あっ、ヴィー!
わたしは慌てて部屋の扉を開けた。
「ヴィー?」
どこにも居なかった。
やっぱり途中で帰っちゃうよね?こんなところにずっと居させて悪かったな。
わたしは昨日の夜から何にも食べていないのでお腹ぎ空いていることに気がついた。
台所へと向かった。
カタッ。
誰も居ないはずなのに音がした。
ーーえっ。やだ、誰がいるの?まさか……あの二人のどちらかかと思うと鳥肌が立つ。
“大丈夫、見てくる”
ーーう、うん。
わたしはその辺にあった箒を掴んでギュウっと握りしめた。
もう負けたくない。
アクアが居てくれるから大丈夫!そう思って台所へ向かった。
そして思いっきり箒を振り上げた。
「やめろ!クリスティーナ様!」
ガシッと箒を掴まれて顔を見ると
「ご、ごめんなさい、ヴィー」
声に反応して途中で止めようとしたけど止めれず、ヴィーが掴んでくれなかったら思いっきり箒で叩くところだった。
「そろそろクリスティーナ様のお腹が空くだろうと思って食事の用意をしていました」
「ごめんなさい、ヴィーが居ないからてっきり帰ったと思っていたの」
「クリスティーナ様を置いて黙って帰るわけがないでしょう」
「そうだよね、ヴィーはいつもそばに居てくれるものね」
「一番辛い時に助けて差し上げられなくて申し訳ありませんでした」
「ううん、だって仕方がないもの。でもヴィーが居てくれたから安心して眠ることができたの」
二人でテーブルに座りパンと焼いたベーコンとスクランブルエッグを食べた。
「すみません、今日は簡単な物しかなくて」
「ううん、一人で食べるより二人で食べるととっても美味しい」
話題が弾む訳でもなく静かに食べている食事なのにヴィーが居てくれたらそれだけでホッとする。
でもそろそろお仕事に行く時間だよね。
「ヴィーお仕事は?もう時間でしょう?」
心配かけないように不安な気持ちを隠して話しかけた。
「あーー、仕事は辞めます」
「えっ?何を言っているの?」
「クリスティーナ様が寝ている間に団長がここに来たんです。話し合って俺は近衛騎士を辞めることにしました。団長はここに残り陛下と話し合いをすると言ってます」
「そう………わたし、一人になっちゃうんだ……」
ーーあっ、思わず…駄目だよ、ヴィーが決めたことなんだもの。
「クリスティーナ様、ここから出ましょう。もう陛下のことなんて気にするのやめましょう。ここに居ても幸せになることはありません。次に何をされるかわかりません」
「………無理だよ。わたしがここを出ればまた誰かが酷い目に遭うわ。そんなことになるの嫌だもの」
「義兄が団長と共に話し合いをすると言ってます。今まではこっそりと助けてくれていました。でももう我慢できません。あの側妃と馬鹿王子達がこのままこの国の王になればこの国は終わりです。遅すぎてすみませんでした。もうこんな所から出て行きましょう」
「陛下が許してくれるでしょうか?」
“許さなくてもいいよ。僕が守るから。今までティーナがみんなのためにここに居るって言うから我慢してたけどもうこんなところ出て行こうよ”
「いいのかな?自分勝手なことをして……わたしの大切な人が傷つくのを見たくない。それにヴィーだって騎士に誇りを持って仕事をしていたのに、わたしの所為で辞めてしまうなんて…」
「騎士の仕事はここだけではありません。義兄の公爵家の騎士として働かせてもらうつもりです。クリスティーナ様も義兄のところに身を寄せてもらう予定です。今度こそ義兄も護ると言ってくれました。貴女を養女にすれば法的にも護れます」
「養女?わたしが?」
「陛下から貴女の親権をもぎ取ってやると言ってました」
「そんなこと出来るわけがないわ」
「今まではできなかったと思います。ですが今回王子二人がしたことは犯罪です。ここに貴女を置いておくことは危険です。
犯罪者を法律に沿って裁くつもりです。そして陛下から親権をもぎ取るつもりです。トレント公爵家はそれだけの力があります。
それに実家の侯爵家もセリーヌ様の実家の侯爵家も力になってくれます。今までは隠れて証拠を集めてきていたのですがなかなかこれと言った決定打がなかったんです。やっとあの四人を排除できます」
その日、わたしはヴィーが用意した女性用の騎士服を着て鬘で髪色を銀色から茶色に変えて、記憶のある中では生まれて初めて外へ出た。
ヴィー、曰くわたしは外へ出たことがあるらしい。
いつも見る空の景色が外へ出ると違って見えた。
ヴィーの用意していた馬に二人で乗った。
これは生まれて初めてらしい。
とても怖かったけどヴィーと一緒なら平気。
これからどうなるかわからないけどヴィーがいてくれるなら………
“僕もずっと一緒にいるよ”
ーーうん、アクア心強いわ
“ティーナ、おはよ”
と言って優しい笑顔でわたしに挨拶をしてくれた。
ーーアクアおはよう。
もうお水は出てるよね?あの四人にもお水は与えてあげて欲しいの
“生きていくために必要な水は大丈夫。風呂には入れないけどね。あの四人が入ろうとしたらなくなるようにした”
ーーそれって……とても辛いと思うわ。
“知らない!生きてるんだからいいじゃん”
ーー他の人は?
“元に戻した”
ーー本人達が反省したらお水を戻してあげてね?
“反省?あいつらがするわけないじゃん”
ーーうーん、でもお水が出ないのは辛いと思うの。
アクアはぷんぷんと怒っていてこれはしばらく彼らは許してもらえないだろうなと思った。
じゃあ、わたしが許せるかって?
うん、許せない。と言うかもう二度と顔も見たくない。たぶん見るのが怖い。
ーー今日は何にもしたくないな。
あっ、ヴィー!
わたしは慌てて部屋の扉を開けた。
「ヴィー?」
どこにも居なかった。
やっぱり途中で帰っちゃうよね?こんなところにずっと居させて悪かったな。
わたしは昨日の夜から何にも食べていないのでお腹ぎ空いていることに気がついた。
台所へと向かった。
カタッ。
誰も居ないはずなのに音がした。
ーーえっ。やだ、誰がいるの?まさか……あの二人のどちらかかと思うと鳥肌が立つ。
“大丈夫、見てくる”
ーーう、うん。
わたしはその辺にあった箒を掴んでギュウっと握りしめた。
もう負けたくない。
アクアが居てくれるから大丈夫!そう思って台所へ向かった。
そして思いっきり箒を振り上げた。
「やめろ!クリスティーナ様!」
ガシッと箒を掴まれて顔を見ると
「ご、ごめんなさい、ヴィー」
声に反応して途中で止めようとしたけど止めれず、ヴィーが掴んでくれなかったら思いっきり箒で叩くところだった。
「そろそろクリスティーナ様のお腹が空くだろうと思って食事の用意をしていました」
「ごめんなさい、ヴィーが居ないからてっきり帰ったと思っていたの」
「クリスティーナ様を置いて黙って帰るわけがないでしょう」
「そうだよね、ヴィーはいつもそばに居てくれるものね」
「一番辛い時に助けて差し上げられなくて申し訳ありませんでした」
「ううん、だって仕方がないもの。でもヴィーが居てくれたから安心して眠ることができたの」
二人でテーブルに座りパンと焼いたベーコンとスクランブルエッグを食べた。
「すみません、今日は簡単な物しかなくて」
「ううん、一人で食べるより二人で食べるととっても美味しい」
話題が弾む訳でもなく静かに食べている食事なのにヴィーが居てくれたらそれだけでホッとする。
でもそろそろお仕事に行く時間だよね。
「ヴィーお仕事は?もう時間でしょう?」
心配かけないように不安な気持ちを隠して話しかけた。
「あーー、仕事は辞めます」
「えっ?何を言っているの?」
「クリスティーナ様が寝ている間に団長がここに来たんです。話し合って俺は近衛騎士を辞めることにしました。団長はここに残り陛下と話し合いをすると言ってます」
「そう………わたし、一人になっちゃうんだ……」
ーーあっ、思わず…駄目だよ、ヴィーが決めたことなんだもの。
「クリスティーナ様、ここから出ましょう。もう陛下のことなんて気にするのやめましょう。ここに居ても幸せになることはありません。次に何をされるかわかりません」
「………無理だよ。わたしがここを出ればまた誰かが酷い目に遭うわ。そんなことになるの嫌だもの」
「義兄が団長と共に話し合いをすると言ってます。今まではこっそりと助けてくれていました。でももう我慢できません。あの側妃と馬鹿王子達がこのままこの国の王になればこの国は終わりです。遅すぎてすみませんでした。もうこんな所から出て行きましょう」
「陛下が許してくれるでしょうか?」
“許さなくてもいいよ。僕が守るから。今までティーナがみんなのためにここに居るって言うから我慢してたけどもうこんなところ出て行こうよ”
「いいのかな?自分勝手なことをして……わたしの大切な人が傷つくのを見たくない。それにヴィーだって騎士に誇りを持って仕事をしていたのに、わたしの所為で辞めてしまうなんて…」
「騎士の仕事はここだけではありません。義兄の公爵家の騎士として働かせてもらうつもりです。クリスティーナ様も義兄のところに身を寄せてもらう予定です。今度こそ義兄も護ると言ってくれました。貴女を養女にすれば法的にも護れます」
「養女?わたしが?」
「陛下から貴女の親権をもぎ取ってやると言ってました」
「そんなこと出来るわけがないわ」
「今まではできなかったと思います。ですが今回王子二人がしたことは犯罪です。ここに貴女を置いておくことは危険です。
犯罪者を法律に沿って裁くつもりです。そして陛下から親権をもぎ取るつもりです。トレント公爵家はそれだけの力があります。
それに実家の侯爵家もセリーヌ様の実家の侯爵家も力になってくれます。今までは隠れて証拠を集めてきていたのですがなかなかこれと言った決定打がなかったんです。やっとあの四人を排除できます」
その日、わたしはヴィーが用意した女性用の騎士服を着て鬘で髪色を銀色から茶色に変えて、記憶のある中では生まれて初めて外へ出た。
ヴィー、曰くわたしは外へ出たことがあるらしい。
いつも見る空の景色が外へ出ると違って見えた。
ヴィーの用意していた馬に二人で乗った。
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とても怖かったけどヴィーと一緒なら平気。
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