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4話
笑顔の勉強が始まってもまだ卒業できないエリーゼだったが、第一王子と出会う8月1日になってしまった。
(まだ、笑うことができないのにどうしよう)
殺されて一月半経ったが、まだ簡単に気持ちが変わることはない。
第一王子、のちの王太子殿下に会いたくはない!
でも会わないといけないなら前回と同じ繰り返しだけは絶対に嫌だった。
出来るだけ笑顔で会って、殿下に自分を好きにさせたかった。
しかしまだ自然に笑うことは出来ない。
やはり今回もお父様は馬車に乗っても王宮に着いても話しかけてくれなかった。
死んで生き返ってから一月半ぶりに会ったお父様は、10年分若く見えたが相変わらず無愛想だった。
まあわたしも同じくらい無愛想なのでお互い様だけど。
「エリーゼ、ではわたしは仕事に行ってくる」
「はい、行ってらっしゃいませ」
わたしは今日初めてお父様に話しかけた。
お父様は少し驚いて固まったが、すぐにいつもの無愛想な顔に戻り去っていった。
わたしは前回同様ボッーと立っていた。
ぼーっとしてぽつんと立っていたわたしに話しかけてきた女の子がいた。
「ねえ、そんなところに立っていないでこっちにいらっしゃい」
やはりカイラがわたしに話しかけてきた。
丸いテーブルに2人で座っていたカイラとエレンに促されわたしは椅子に腰掛けた。
「貴女のお名前は?」
「エリーゼ・バセットと申します。よろしくお願いいたします」
わたしは二人に挨拶をした。
「わたしの名前はカイラ・マクラミラン、よろしくね」
「わたしはエレン・ウィンフリーよ」
「…………」
「ねえ、貴女、もしかして人見知りなのかしら?」
あ、そう言えば前の時も同じことをエレンに聞かれたわね。
わたしは、どう答えようか悩んだ。
16歳のわたしは、さすがに人と会話は出来るようになっていた。
ただ、エレンとカイラに親しく話すのもおかしい。
でも大好きな二人と会えて黙って座っているのも嫌だし、悩んでいるところだった。
(何を話せばいいのだろう)
「…わたしは何を話したらいいのかわからないのです」
(あ、やっぱり前回と同じセリフを言ってしまった)
「え?何故?」
「何故……それは……」
わたしは悩んだが素直に話すことにした。
「わたし、笑ったことも怒ったことも無いのです。その感情がわからなくて今勉強中なのです。
だから、二人と話しても笑顔が出ないので、ここでどうするべきか分からずにいます」
「笑ったことがない?」
「はい、どうしたら笑えるのか今勉強に行っています」
「勉強?」
わたしはカイラとエレンに孤児院での話をしたら二人はとても興味を持ってくれた。
「ねえ、貴女、、、えっと、エリーゼ様わたし達二人とお友達になりましょう」
「それがいいわ」
「お友達になってくださるのですか?」
わたしはまた二人と友人になれたことにホッとした。
この時、エリーゼは一瞬ふんわりと笑顔になった。
それを見た二人は思わずドキッとなった。
(何この子の笑顔可愛い!)
(え?笑えるじゃない、とっても可愛い)
ただ笑顔は一瞬だけでエリーゼはいつものように無表情にすぐに戻った。
◇ ◇ ◇
王子は、テーブルにやって来てそこでしばらくお茶をして話したら、次のテーブルへ行くという忙しい時間を過ごされていた。
わたし達のテーブルに王子がきた。
わたしを殺した王子がやってきたと思うと緊張して、手が震えた。
わたしは持っていたティーカップを思わず落としてしまった。
「エリーゼ、大丈夫?」
「火傷してない?」
紅茶はわたしのドレスに溢れたが、わたしはそのまま呆然と動けずに座っていた。
(怖い、わたしを好きにさせて捨ててやるなんて無理。そんなことより王子が怖い、無理、無理)
わたしは、小刻みに震え出してそのまま意識を失った。
意識を失う時、微かに聞こえた声……
「エリーゼ、大丈夫か?……やっと会えたのに……」
あれは聞き覚えのある声……切なそうな声……
殿下?そんなはずがあるわけない……
わたしは、そのまま意識を手放した。
(まだ、笑うことができないのにどうしよう)
殺されて一月半経ったが、まだ簡単に気持ちが変わることはない。
第一王子、のちの王太子殿下に会いたくはない!
でも会わないといけないなら前回と同じ繰り返しだけは絶対に嫌だった。
出来るだけ笑顔で会って、殿下に自分を好きにさせたかった。
しかしまだ自然に笑うことは出来ない。
やはり今回もお父様は馬車に乗っても王宮に着いても話しかけてくれなかった。
死んで生き返ってから一月半ぶりに会ったお父様は、10年分若く見えたが相変わらず無愛想だった。
まあわたしも同じくらい無愛想なのでお互い様だけど。
「エリーゼ、ではわたしは仕事に行ってくる」
「はい、行ってらっしゃいませ」
わたしは今日初めてお父様に話しかけた。
お父様は少し驚いて固まったが、すぐにいつもの無愛想な顔に戻り去っていった。
わたしは前回同様ボッーと立っていた。
ぼーっとしてぽつんと立っていたわたしに話しかけてきた女の子がいた。
「ねえ、そんなところに立っていないでこっちにいらっしゃい」
やはりカイラがわたしに話しかけてきた。
丸いテーブルに2人で座っていたカイラとエレンに促されわたしは椅子に腰掛けた。
「貴女のお名前は?」
「エリーゼ・バセットと申します。よろしくお願いいたします」
わたしは二人に挨拶をした。
「わたしの名前はカイラ・マクラミラン、よろしくね」
「わたしはエレン・ウィンフリーよ」
「…………」
「ねえ、貴女、もしかして人見知りなのかしら?」
あ、そう言えば前の時も同じことをエレンに聞かれたわね。
わたしは、どう答えようか悩んだ。
16歳のわたしは、さすがに人と会話は出来るようになっていた。
ただ、エレンとカイラに親しく話すのもおかしい。
でも大好きな二人と会えて黙って座っているのも嫌だし、悩んでいるところだった。
(何を話せばいいのだろう)
「…わたしは何を話したらいいのかわからないのです」
(あ、やっぱり前回と同じセリフを言ってしまった)
「え?何故?」
「何故……それは……」
わたしは悩んだが素直に話すことにした。
「わたし、笑ったことも怒ったことも無いのです。その感情がわからなくて今勉強中なのです。
だから、二人と話しても笑顔が出ないので、ここでどうするべきか分からずにいます」
「笑ったことがない?」
「はい、どうしたら笑えるのか今勉強に行っています」
「勉強?」
わたしはカイラとエレンに孤児院での話をしたら二人はとても興味を持ってくれた。
「ねえ、貴女、、、えっと、エリーゼ様わたし達二人とお友達になりましょう」
「それがいいわ」
「お友達になってくださるのですか?」
わたしはまた二人と友人になれたことにホッとした。
この時、エリーゼは一瞬ふんわりと笑顔になった。
それを見た二人は思わずドキッとなった。
(何この子の笑顔可愛い!)
(え?笑えるじゃない、とっても可愛い)
ただ笑顔は一瞬だけでエリーゼはいつものように無表情にすぐに戻った。
◇ ◇ ◇
王子は、テーブルにやって来てそこでしばらくお茶をして話したら、次のテーブルへ行くという忙しい時間を過ごされていた。
わたし達のテーブルに王子がきた。
わたしを殺した王子がやってきたと思うと緊張して、手が震えた。
わたしは持っていたティーカップを思わず落としてしまった。
「エリーゼ、大丈夫?」
「火傷してない?」
紅茶はわたしのドレスに溢れたが、わたしはそのまま呆然と動けずに座っていた。
(怖い、わたしを好きにさせて捨ててやるなんて無理。そんなことより王子が怖い、無理、無理)
わたしは、小刻みに震え出してそのまま意識を失った。
意識を失う時、微かに聞こえた声……
「エリーゼ、大丈夫か?……やっと会えたのに……」
あれは聞き覚えのある声……切なそうな声……
殿下?そんなはずがあるわけない……
わたしは、そのまま意識を手放した。
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