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第9話
俺はあれからもヴィオラに何度も会いに行って説得した。
ヴィオラになんとか見合いはやめてもらった。
ヴィオラはまだ俺と寄りを戻すのを渋っていたが俺はヴィオラだけしか愛せないことを切々と訴えてなんとか元に戻った。
俺の朝晩、家の前で立って会いに行った成果だ!
それから急いで彼女の両親に挨拶に行った。
「うちの娘を泣かせた男なんかに娘はやらん!」
と、まず一発目で怒鳴られた。
クソ親父!と言い返さなかっただけ俺は大人になった。
「もう二度と泣かせません。一生大事にします。愛しているんです」
「お前みたいな変に男前な奴は女を泣かせているはずだ!そんな奴に可愛いヴィオラはやれん!帰れ!」
俺は仕方なく本当のことを伝えた。
「俺は童貞です。初めてはヴィオラに捧げるつもりです。まだヴィオラに手は出していません」
ヴィオラの父親は真っ赤な顔になってブルブル震え出した。
「嘘を言うな!あれだけ王宮でいろんな女と噂になっていながらまだ誰ともしていない?誰が信じるんだ!」
「それは実際にヴィオラとしたらヴィオラだけにわかると思います」
俺は至極当たり前なことを言った。
「な、何を言ってる!帰れ!うちのヴィオラに結婚してもそんなことはさせん!」
「お、お父様……」
ヴィオラは真っ赤になり恥ずかしそうに俯いた。
「俺はヴィオラだけです。あのくそ王女が流した碌でもない噂は全て作り話です。俺はずっとヴィオラだけです。見合いをさせるなら俺とさせてください。俺はヴィオラだけを愛し続けます」
ヴィオラの母上が初めて話した。
「アンディ、貴方はヴィオラを大切にすると言ったわね」
「はい」
俺は母上を真剣に見つめた。
「でも大切にしなかったから今こうなっているのではないの?王女が悪いと言っているけど、初動が間違っていたから今に繋がっているのだと思うわ。貴方のその顔は女性間のトラブルの素よ。また必ずあると思うわ、その時も『あの女が』と言い訳をして終わらせるの?」
「……確かに今回はヴィオラに心配と迷惑をかけました。嫌な思いもさせました。でも愛しているのも守りたいのも彼女だけなんです、次はヴィオラにきちんと理由を伝えます。不安にさせません。愛しているのはヴィオラだけなんです」
「ふふふ。こんなに愛しているといい続けられたら幸せよね、ヴィオラ。わたしも言って貰いたかったわ、ねえ貴方」
「オッホン!わたしもお前だけを愛している」
ヴィオラの父上は気まずそうに言っていた。
俺はつい笑いそうになった。
「お、お前、何笑っているんだ!」
と八つ当たりされた。
ヴィオラの父上……照れ屋だなと思った。
そしてなんとかヴィオラとの結婚を受け入れてもらえた。
ヴィオラの所は、確かに災害はあったが国からの支援金がありそこまで大変ではなかったらしい。
ヴィオラが俺と別れるために少しだけ大袈裟に言ったみたいだ。
ヴィオラはそんなに俺と別れたがっていたのかと思うとショックだった。
それでも俺はヴィオラと今度こそ誰にも邪魔されず結婚するつもりだ。
俺は大きな花束とパライバトルマリンの宝石の指輪を持ってプロポーズをする。
パライバトルマリンは一目見た時に、ヴィオラの瞳と同じ色だった。
俺の好きなヴィオラの瞳。やっと俺の顔を瞳に映してもらえる。
俺がヴィオラの家へ行くとそこは空き家になっていた。
なんでなんだ。ヴィオラは何処へ行ったんだ。
呆然と立っていると隣の家の女性が
「ヴィオラなら財務部昨日までだったから実家に帰ったわよ、聞いてなかったの?」
聞いてない………
俺はショックを受けながらも彼女の実家に行くとヴィオラがいた。
俺は嬉しさとホッとしたのとで思わず抱きしめてキスをした。
彼女の父上が横から俺の頭を叩いた。
なんなんだ、この親父!
「アンディ、ごめんなさい。本当は辞めてもしばらくはあの家に居られたのにお父様が昨日のうちに片付けて荷物を全部持って帰ってしまったの」
クソ親父、マジムカつく!
「ヴィオラ、君が無事ならいいんだ」
俺は彼女に優しく微笑んだ。
「ふん、もう顔を見たならさっさと帰れ!」
クソ親父!うるさい!
俺はクソ親父を無視してヴィオラを見つめた。
「俺と結婚してください」
彼女に花束と指輪を渡した。
彼女は嬉しそうにしてくれた。
「はい、喜んで」
やっとやっと結婚が出来る。
これで誰にも邪魔されない。
俺はやっと愛するヴィオラを手に入れることができた。
◇ ◇ ◇
~ヴィオラの独り言~
アンディを知ったのはわたしが財務部に入ってすぐの頃だった。
庭に出て昼食を一人で食べているときだった。
「これ持ちましょう!」
と大きな声でたくさんの荷物を持った中年の女性に声をかけていた。
綺麗な顔立ちの彼はどこにいても目立つ。なのに気さくで誰とでもすぐに仲良くなる。だから男女関係なく誰とでも仲がいいし、慕われていた。
わたしは自然に目で追っていた。
そんな時彼が財務部に毎日仕事で通うようになった。
わたしはいつもドキドキして緊張していたのに彼は全くわたしに興味がなかった。
わたしは初恋を諦めかけていたのに突然彼からのアプローチ。そして恋人になりプロポーズされて幸せだった。
王女様が彼を気に入りそばに置き離さなかった時は辛かった。
でも団長様が来て事情を説明されたのでなんとか耐えることができた。
二人は親密だとか昨日も王女の部屋に泊まったとか庭園でお忍びデートをしていたとか、嫌な噂ばかりを耳にして嘘だとわかっていても辛くて何度も泣いた。
そして彼は王女からなんとか離れることが出来た。
大好きだった騎士の仕事を辞めて伯爵として執務をこなす彼。
でもわたしは彼との未来を選ばなかった。
好きだからこそもう無理だった。
誰かと仲良くしている姿を見るだけでヤキモチを妬いてしまう自分が嫌だった。
自分に自信がなくていつ彼に捨てられるんだろうとビクビクしながら過ごす自分が惨めで辛かった。
だから、無理やりお見合いをしてさっさと結婚するつもりだった。
なのに彼は何度もわたしに愛していると言ってくれた。わたしの凍った心を溶かしてくれた。
それに彼はまだ経験がないと言われた時は嬉しかった。だってどう見ても遊んでいるように見えたのにわたしだけだと言ってくれた時にはもう彼に完全に落ちてしまった。
ヴィオラになんとか見合いはやめてもらった。
ヴィオラはまだ俺と寄りを戻すのを渋っていたが俺はヴィオラだけしか愛せないことを切々と訴えてなんとか元に戻った。
俺の朝晩、家の前で立って会いに行った成果だ!
それから急いで彼女の両親に挨拶に行った。
「うちの娘を泣かせた男なんかに娘はやらん!」
と、まず一発目で怒鳴られた。
クソ親父!と言い返さなかっただけ俺は大人になった。
「もう二度と泣かせません。一生大事にします。愛しているんです」
「お前みたいな変に男前な奴は女を泣かせているはずだ!そんな奴に可愛いヴィオラはやれん!帰れ!」
俺は仕方なく本当のことを伝えた。
「俺は童貞です。初めてはヴィオラに捧げるつもりです。まだヴィオラに手は出していません」
ヴィオラの父親は真っ赤な顔になってブルブル震え出した。
「嘘を言うな!あれだけ王宮でいろんな女と噂になっていながらまだ誰ともしていない?誰が信じるんだ!」
「それは実際にヴィオラとしたらヴィオラだけにわかると思います」
俺は至極当たり前なことを言った。
「な、何を言ってる!帰れ!うちのヴィオラに結婚してもそんなことはさせん!」
「お、お父様……」
ヴィオラは真っ赤になり恥ずかしそうに俯いた。
「俺はヴィオラだけです。あのくそ王女が流した碌でもない噂は全て作り話です。俺はずっとヴィオラだけです。見合いをさせるなら俺とさせてください。俺はヴィオラだけを愛し続けます」
ヴィオラの母上が初めて話した。
「アンディ、貴方はヴィオラを大切にすると言ったわね」
「はい」
俺は母上を真剣に見つめた。
「でも大切にしなかったから今こうなっているのではないの?王女が悪いと言っているけど、初動が間違っていたから今に繋がっているのだと思うわ。貴方のその顔は女性間のトラブルの素よ。また必ずあると思うわ、その時も『あの女が』と言い訳をして終わらせるの?」
「……確かに今回はヴィオラに心配と迷惑をかけました。嫌な思いもさせました。でも愛しているのも守りたいのも彼女だけなんです、次はヴィオラにきちんと理由を伝えます。不安にさせません。愛しているのはヴィオラだけなんです」
「ふふふ。こんなに愛しているといい続けられたら幸せよね、ヴィオラ。わたしも言って貰いたかったわ、ねえ貴方」
「オッホン!わたしもお前だけを愛している」
ヴィオラの父上は気まずそうに言っていた。
俺はつい笑いそうになった。
「お、お前、何笑っているんだ!」
と八つ当たりされた。
ヴィオラの父上……照れ屋だなと思った。
そしてなんとかヴィオラとの結婚を受け入れてもらえた。
ヴィオラの所は、確かに災害はあったが国からの支援金がありそこまで大変ではなかったらしい。
ヴィオラが俺と別れるために少しだけ大袈裟に言ったみたいだ。
ヴィオラはそんなに俺と別れたがっていたのかと思うとショックだった。
それでも俺はヴィオラと今度こそ誰にも邪魔されず結婚するつもりだ。
俺は大きな花束とパライバトルマリンの宝石の指輪を持ってプロポーズをする。
パライバトルマリンは一目見た時に、ヴィオラの瞳と同じ色だった。
俺の好きなヴィオラの瞳。やっと俺の顔を瞳に映してもらえる。
俺がヴィオラの家へ行くとそこは空き家になっていた。
なんでなんだ。ヴィオラは何処へ行ったんだ。
呆然と立っていると隣の家の女性が
「ヴィオラなら財務部昨日までだったから実家に帰ったわよ、聞いてなかったの?」
聞いてない………
俺はショックを受けながらも彼女の実家に行くとヴィオラがいた。
俺は嬉しさとホッとしたのとで思わず抱きしめてキスをした。
彼女の父上が横から俺の頭を叩いた。
なんなんだ、この親父!
「アンディ、ごめんなさい。本当は辞めてもしばらくはあの家に居られたのにお父様が昨日のうちに片付けて荷物を全部持って帰ってしまったの」
クソ親父、マジムカつく!
「ヴィオラ、君が無事ならいいんだ」
俺は彼女に優しく微笑んだ。
「ふん、もう顔を見たならさっさと帰れ!」
クソ親父!うるさい!
俺はクソ親父を無視してヴィオラを見つめた。
「俺と結婚してください」
彼女に花束と指輪を渡した。
彼女は嬉しそうにしてくれた。
「はい、喜んで」
やっとやっと結婚が出来る。
これで誰にも邪魔されない。
俺はやっと愛するヴィオラを手に入れることができた。
◇ ◇ ◇
~ヴィオラの独り言~
アンディを知ったのはわたしが財務部に入ってすぐの頃だった。
庭に出て昼食を一人で食べているときだった。
「これ持ちましょう!」
と大きな声でたくさんの荷物を持った中年の女性に声をかけていた。
綺麗な顔立ちの彼はどこにいても目立つ。なのに気さくで誰とでもすぐに仲良くなる。だから男女関係なく誰とでも仲がいいし、慕われていた。
わたしは自然に目で追っていた。
そんな時彼が財務部に毎日仕事で通うようになった。
わたしはいつもドキドキして緊張していたのに彼は全くわたしに興味がなかった。
わたしは初恋を諦めかけていたのに突然彼からのアプローチ。そして恋人になりプロポーズされて幸せだった。
王女様が彼を気に入りそばに置き離さなかった時は辛かった。
でも団長様が来て事情を説明されたのでなんとか耐えることができた。
二人は親密だとか昨日も王女の部屋に泊まったとか庭園でお忍びデートをしていたとか、嫌な噂ばかりを耳にして嘘だとわかっていても辛くて何度も泣いた。
そして彼は王女からなんとか離れることが出来た。
大好きだった騎士の仕事を辞めて伯爵として執務をこなす彼。
でもわたしは彼との未来を選ばなかった。
好きだからこそもう無理だった。
誰かと仲良くしている姿を見るだけでヤキモチを妬いてしまう自分が嫌だった。
自分に自信がなくていつ彼に捨てられるんだろうとビクビクしながら過ごす自分が惨めで辛かった。
だから、無理やりお見合いをしてさっさと結婚するつもりだった。
なのに彼は何度もわたしに愛していると言ってくれた。わたしの凍った心を溶かしてくれた。
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