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第11話
俺はヴィオラと結婚した。
初夜はお互い初めてで笑い話にしかならないが素敵な夜だった……と思うしかないよなぁ…………シュン……
「ヴィオラ、愛しているよ」
俺は毎朝、毎晩欠かさずに言っている。
何故かって……
手紙が届いた。
「セシリアを殺した。俺は彼女の復讐を果たしたがお腹の子は俺の子だった。知らずに死なせてしまった。王女が男達に避妊させていたから俺の子どもだと言った。俺は二人の元へ行って幸せになる。俺たちのような不幸な者を絶対に作るな。幸せになれ」
殴り書きできた手紙を俺は読んだ。
一晩中泣き続けた。
三人に会いに二人で墓参りに行った。
俺たちも、こうなっていたかもしれない。
二人で頭を下げて祈った。
「空の向こうでどうか三人で幸せに暮らしてください」
だから、俺はヴィオラが鬱陶しいと言っても毎日「愛している」と言っている。
元王女の死は事故死とされ、密葬で隣の国で執り行われたらしい。我が国ではあまり話題に上がらなかった。
まあ、あまり人気のない人だったんでみんな興味もない。
俺は彼らが天国で幸せでいることを願うだけだ。
◇ ◇ ◇
「おとちゃま、だっこぉ」
2歳の娘のマリンはヴィオラに似ていてとても可愛い。
「じぃじのところにおいで」
「じぃじ、しゅきぃ」
クソ親父は何かと用事を作っては我が家に来る。
そして愛しのマリンを抱っこしようとする。
「お父様は?」
「おとちゃま、しゅき!」
「おとちゃまのところにおいで!」
「あーい」
俺が勝った!
俺はクソ親父を見て、ほくそ笑んだ。
「じぃじと今からケーキを食べよう」
「じぃじ、いくぅ」
マリンは俺から離れてクソ親父のところに行こうとした。
「マリン、おとちゃまと高い高いして遊ぼう」
「ちゃかいちゃかい?」
「うん、高い高い」
「ちゅるぅ」
「二人ともいい加減にしなさい!」
ヴィオラが鬼のように仁王立ちしていた。
「おにぃ、おにぃ」
マリンがヴィオラを指差して言ったので、
「もう、変なこと教えないで!」
何も教えていないのに怒られた。
ヴィオラはマリンを抱っこしてさっさと邸に帰って行った。
俺とクソ親父は二人でぽつんとなった。仕方ないのですごすごと邸に帰った。
俺は可愛い娘と愛するヴィオラの三人で平和に暮らしている。
ただし、クソ親父が毎回現れて邪魔をするのがムカつく。
今日は久しぶりに、団長が来た。
「団長、お久しぶりです」
「俺はもう団長ではないと言っただろう。ただの近所のおじちゃんだ」
「だぁん、だっこぉ」
「おじちゃんと遊ぶか」
「うん、だっこぉ、ちゃかいちゃかい、ちて」
団長は騎士団を辞めて息子に公爵当主を譲り今は若い騎士達の育成に取り組んでいる。
自分が出来る詫びはこれくらいしかないからと、邸に若い子達を住まわせて厳しく指導をしている。
俺は初め団長のことを姪に甘いだけの馬鹿な男だと思っていた。
まさか、騎士を守るために牢に入れ、復讐出来る様に影で手筈を整えていたなんて知らなかった。
俺はまだまだ人を見る目がないとつくづく思った。
俺の家にはクソ親父を始め元団長や元騎士達が集まってみんなで騒ぎながらも楽しく過ごしている。
俺は何があっても浮気はしないと決めて過ごしてきた。今も愛しているのはヴィオラだけ……ではなくてヴィオラとマリンだけだ。
「二人を愛している」
「とうちゃま、まぁも、あいちてぇりゅ」
おしまい
◆ ◆ ◆
読んでいただきありがとうございました。
なんとなく思いついた話しを書いたのですが、牢に入った騎士と彼女の事が書いていて切なくて(;_;)
すみません、二人を幸せにしてあげれなくて、でも向こうの世界で三人で幸せに暮らしていると思います。
うん、絶対に。
初夜はお互い初めてで笑い話にしかならないが素敵な夜だった……と思うしかないよなぁ…………シュン……
「ヴィオラ、愛しているよ」
俺は毎朝、毎晩欠かさずに言っている。
何故かって……
手紙が届いた。
「セシリアを殺した。俺は彼女の復讐を果たしたがお腹の子は俺の子だった。知らずに死なせてしまった。王女が男達に避妊させていたから俺の子どもだと言った。俺は二人の元へ行って幸せになる。俺たちのような不幸な者を絶対に作るな。幸せになれ」
殴り書きできた手紙を俺は読んだ。
一晩中泣き続けた。
三人に会いに二人で墓参りに行った。
俺たちも、こうなっていたかもしれない。
二人で頭を下げて祈った。
「空の向こうでどうか三人で幸せに暮らしてください」
だから、俺はヴィオラが鬱陶しいと言っても毎日「愛している」と言っている。
元王女の死は事故死とされ、密葬で隣の国で執り行われたらしい。我が国ではあまり話題に上がらなかった。
まあ、あまり人気のない人だったんでみんな興味もない。
俺は彼らが天国で幸せでいることを願うだけだ。
◇ ◇ ◇
「おとちゃま、だっこぉ」
2歳の娘のマリンはヴィオラに似ていてとても可愛い。
「じぃじのところにおいで」
「じぃじ、しゅきぃ」
クソ親父は何かと用事を作っては我が家に来る。
そして愛しのマリンを抱っこしようとする。
「お父様は?」
「おとちゃま、しゅき!」
「おとちゃまのところにおいで!」
「あーい」
俺が勝った!
俺はクソ親父を見て、ほくそ笑んだ。
「じぃじと今からケーキを食べよう」
「じぃじ、いくぅ」
マリンは俺から離れてクソ親父のところに行こうとした。
「マリン、おとちゃまと高い高いして遊ぼう」
「ちゃかいちゃかい?」
「うん、高い高い」
「ちゅるぅ」
「二人ともいい加減にしなさい!」
ヴィオラが鬼のように仁王立ちしていた。
「おにぃ、おにぃ」
マリンがヴィオラを指差して言ったので、
「もう、変なこと教えないで!」
何も教えていないのに怒られた。
ヴィオラはマリンを抱っこしてさっさと邸に帰って行った。
俺とクソ親父は二人でぽつんとなった。仕方ないのですごすごと邸に帰った。
俺は可愛い娘と愛するヴィオラの三人で平和に暮らしている。
ただし、クソ親父が毎回現れて邪魔をするのがムカつく。
今日は久しぶりに、団長が来た。
「団長、お久しぶりです」
「俺はもう団長ではないと言っただろう。ただの近所のおじちゃんだ」
「だぁん、だっこぉ」
「おじちゃんと遊ぶか」
「うん、だっこぉ、ちゃかいちゃかい、ちて」
団長は騎士団を辞めて息子に公爵当主を譲り今は若い騎士達の育成に取り組んでいる。
自分が出来る詫びはこれくらいしかないからと、邸に若い子達を住まわせて厳しく指導をしている。
俺は初め団長のことを姪に甘いだけの馬鹿な男だと思っていた。
まさか、騎士を守るために牢に入れ、復讐出来る様に影で手筈を整えていたなんて知らなかった。
俺はまだまだ人を見る目がないとつくづく思った。
俺の家にはクソ親父を始め元団長や元騎士達が集まってみんなで騒ぎながらも楽しく過ごしている。
俺は何があっても浮気はしないと決めて過ごしてきた。今も愛しているのはヴィオラだけ……ではなくてヴィオラとマリンだけだ。
「二人を愛している」
「とうちゃま、まぁも、あいちてぇりゅ」
おしまい
◆ ◆ ◆
読んでいただきありがとうございました。
なんとなく思いついた話しを書いたのですが、牢に入った騎士と彼女の事が書いていて切なくて(;_;)
すみません、二人を幸せにしてあげれなくて、でも向こうの世界で三人で幸せに暮らしていると思います。
うん、絶対に。
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