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(まだ)離縁しません
中編 10
「フランは父様に憧れているのよ」
アルバードにそう伝えると、抱っこしているフランの頭を撫でながら「そうか、僕も父上に憧れていたから一緒だな」と優しく声をかけた。
「アルも?アルのとうさまは、かっこいい?」
「うーん、父上は……姉上みたいな人だった」
「あねうえ?アンナ??」
「そうアンナに似てるんです」
「す、スカートはいてるの?おけしょうのおばけなの?」
ーーはああ?なんでそこに話しを持っていくの?
お父様がスカート履くわけないじゃない!お化粧のお化けって……フランからするとお化粧したら化けると言いたいんだろうけど、それ、女性に言っちゃいけないセリフよ!
「父上は、スカートは履かない。それに化粧もしません」
「当たり前じゃない!フラン!何言い出すの?」
「だって、だって、にてるって。ぼく、とうさまににてるって、いわれるもん!」
「ああ、そうね。アルバードはお父様のおおらかで明るい性格が好きだったの。
太陽みたいに明るくて貧乏だけどとっても毎日楽しかったの。気がつくと近所のお腹を空かせた子供達を屋敷に連れてきてみんなに食べ物を与えて、みんなに『今頑張ればいつか幸せになる!』なんて言って励まして。
そんな子達が我が家に挨拶に来るの。『あの時はありがとうございました。おかげで家庭を持てました』って。お父様はお世話をした子供達を見て『よかったな』って号泣するのよね」
「ほんと父上も母上も貧乏なくせに他人の世話ばかりして。人に騙されて。でも二人で仲良く死んだから幸せだったのかもしれませんね」
「残されたわたし達は大変だけど、ね?」
「まぁ大変ですが……姉上、そう言えば叔父さんには伯爵家でメイドとして働き出したと言ったんですよね?」
「えーー、そうだったかしら?」
もう忘れちゃった。
「叔父さんからぼくに連絡が来ました。叔父さんがなんの仕事をしているかご存知ですよね?忘れてはいませんよね?」
「もちろんよ!だってお祖父様がお母様の名前を取ってアリーゼ商会と名付けたのよ?それにわたしも少しは手伝っていたじゃない」
ーー貧乏だったからお駄賃欲しさによく手伝っていたわ。
帳簿をつけたり仕入れについて回ったりもしたわ。
「叔父さんの商会がこの国では一二を争う大きな商会だとご存知ですか?」
「あら、失礼ね?この前の夜会でもたくさんのご婦人方からお声をかけていただいたわ。アリーゼの娘ねって言われたし、商会でお世話になっていた方達にも声をかけられたから挨拶したわ」
ーーうん???ってことは……叔父さんにバレてる?
「叔父さん、何か言ってた?」
「まさか勝手に結婚しているとは思わなかったみたいで、たまたま外商で回った貴族の方のところで姉上のことを言われたらしい。
『ご結婚されたのね』『おめでとうございます』とか。その後も何人からかその話が出て顔が引き攣ったって言ってたよ。
それも働きに行ったと思っていたところで、『奥様』になっているからかなり驚いたんだって」
「ああ、何かと面倒だからバレなければいいかなと思ったのよね」
「その性格!父上にそっくりなんですよ!いい加減で適当!ほんと、周りの人の身になってください!」
「だぁめ!!!アンナにおこったら、だめ!」
フランがアルバードに抱っこされたまま、小さな可愛らしい両手を使ってアルバードの口を塞いだ。
顔を真っ赤にしてぷんぷん怒る姿が……かっこいい?………ううん、可愛い!!!
「アル!アンナはとうさまのおよめさんなの!だから、フランのおよめさん!アル、おこったらだめ!!アンナまもるの!!」
「フラン、守ってくれるの?」
「とうさまが、すきなら、まもれって!でも……すぐおこっちゃうけど。アンナ、すきなの」
わ、わたし、もしかして……今、愛の告白をされた?
生まれて初めて……ちょっとちびっちゃい、がきんちょだけど。
天使のフランに!
やばっ、どうしよう。
鼻血出るかも。
アルバードにそう伝えると、抱っこしているフランの頭を撫でながら「そうか、僕も父上に憧れていたから一緒だな」と優しく声をかけた。
「アルも?アルのとうさまは、かっこいい?」
「うーん、父上は……姉上みたいな人だった」
「あねうえ?アンナ??」
「そうアンナに似てるんです」
「す、スカートはいてるの?おけしょうのおばけなの?」
ーーはああ?なんでそこに話しを持っていくの?
お父様がスカート履くわけないじゃない!お化粧のお化けって……フランからするとお化粧したら化けると言いたいんだろうけど、それ、女性に言っちゃいけないセリフよ!
「父上は、スカートは履かない。それに化粧もしません」
「当たり前じゃない!フラン!何言い出すの?」
「だって、だって、にてるって。ぼく、とうさまににてるって、いわれるもん!」
「ああ、そうね。アルバードはお父様のおおらかで明るい性格が好きだったの。
太陽みたいに明るくて貧乏だけどとっても毎日楽しかったの。気がつくと近所のお腹を空かせた子供達を屋敷に連れてきてみんなに食べ物を与えて、みんなに『今頑張ればいつか幸せになる!』なんて言って励まして。
そんな子達が我が家に挨拶に来るの。『あの時はありがとうございました。おかげで家庭を持てました』って。お父様はお世話をした子供達を見て『よかったな』って号泣するのよね」
「ほんと父上も母上も貧乏なくせに他人の世話ばかりして。人に騙されて。でも二人で仲良く死んだから幸せだったのかもしれませんね」
「残されたわたし達は大変だけど、ね?」
「まぁ大変ですが……姉上、そう言えば叔父さんには伯爵家でメイドとして働き出したと言ったんですよね?」
「えーー、そうだったかしら?」
もう忘れちゃった。
「叔父さんからぼくに連絡が来ました。叔父さんがなんの仕事をしているかご存知ですよね?忘れてはいませんよね?」
「もちろんよ!だってお祖父様がお母様の名前を取ってアリーゼ商会と名付けたのよ?それにわたしも少しは手伝っていたじゃない」
ーー貧乏だったからお駄賃欲しさによく手伝っていたわ。
帳簿をつけたり仕入れについて回ったりもしたわ。
「叔父さんの商会がこの国では一二を争う大きな商会だとご存知ですか?」
「あら、失礼ね?この前の夜会でもたくさんのご婦人方からお声をかけていただいたわ。アリーゼの娘ねって言われたし、商会でお世話になっていた方達にも声をかけられたから挨拶したわ」
ーーうん???ってことは……叔父さんにバレてる?
「叔父さん、何か言ってた?」
「まさか勝手に結婚しているとは思わなかったみたいで、たまたま外商で回った貴族の方のところで姉上のことを言われたらしい。
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それも働きに行ったと思っていたところで、『奥様』になっているからかなり驚いたんだって」
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「その性格!父上にそっくりなんですよ!いい加減で適当!ほんと、周りの人の身になってください!」
「だぁめ!!!アンナにおこったら、だめ!」
フランがアルバードに抱っこされたまま、小さな可愛らしい両手を使ってアルバードの口を塞いだ。
顔を真っ赤にしてぷんぷん怒る姿が……かっこいい?………ううん、可愛い!!!
「アル!アンナはとうさまのおよめさんなの!だから、フランのおよめさん!アル、おこったらだめ!!アンナまもるの!!」
「フラン、守ってくれるの?」
「とうさまが、すきなら、まもれって!でも……すぐおこっちゃうけど。アンナ、すきなの」
わ、わたし、もしかして……今、愛の告白をされた?
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