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にじゅうなな
シエルとの再会はどれくらい振りなのだろう。
わたしはお父様とシエルの屋敷へと訪れた。
「おじ様、おば様お久しぶりです」
おば様はわたしを抱きしめて
「ごめんなさい、貴女に辛い思いばかりさせて。シエルは頑なに貴女のことを勘違いしたままなのよ。わたしはあの子とは会わずに解消することを勧めるわ」
おば様は申し訳なさそうに言いながら、わたしの顔を見て泣き出した。
「あの子は変わってしまったわ、お願いライナもうあの子の所為で傷つくのは嫌なの、さっさと捨ててちょうだい」
シエルのことをとても愛していたおば様からこんな言葉を言わせるなんて……おば様にとってはかなり辛いことなのだと思う。
「ずっと可愛がってもらってきたのに……こんなことになってしまって申し訳ありません。お二人のこと本当の両親だと思い接してきました。ですからまたお会いすることがありましたら話しかけてもいいでしょうか?」
「もちろんよ、わたしにとって貴女は娘同然なの。本当の娘になって欲しかった」
その後おじ様ともお話しして、わたしは一人客間に通された。
シエルの実家の手入れされた庭園を2階の窓から見ていたら
「ライナ、久しぶりだな」
シエルが客間に入ってきた。
シエルの顔を見ると不機嫌な顔をしているのがわかる。
わたしに対して思うところがあるのだろう。
ずっと彼との接触を避けてきた。
彼の手紙も面会も全て断ってきた。
怒っていて当然だと思う。
それでも会うことはもう出来なかった。
これ以上傷つきたくないし嫌いになりたくなかった。大好きだったシエルのままでさよならしたかった。
「シエル久しぶりね」
「ずっと俺と会うことを避けてきたのに今日はどうして会う気になったんだ?
今ミレガー伯爵家はライナの所為で大変なことになっているんだ。伯爵は捕まり、奥様は寝込まれて部屋から出てこない。リーリエ様は落ち込んで泣き暮らしているんだ、全てライナが仕組んだことなんだろう?何の恨みがあってこんなことをしたんだ!お前はそんな奴じゃなかったはずなのに……」
「ミレガー伯爵は自業自得だと思うわ、奥様やリーリエ様もわたしに対して何をしたのか貴方は知らないの?」
「自業自得?伯爵を罠にかけて捕まえさせるなんて、働かせてもらった恩を忘れたのか?」
「ねえ、シエル?貴方はミレガー伯爵の何を知っているの?彼らの悪事を知らないの?」
「悪事?伯爵である旦那様は清廉潔白なお方だ、奥様はお優しい人だしリーリエ様はか弱く守って差し上げなければいけないお方なんだ。
君が旦那様を罠にかけたこと、奥様に裁判を起こすと脅したことも聞いている、リーリエ様のことを嘘つきだと言って回ったことも聞いている。リーリエ様はそれなのにライナのことを責めないで欲しいと俺に泣いて言ってくれたお優しい人なんだ」
「シエルは婚約者でありずっと一緒に過ごしてきたわたしの言葉よりもミレガー伯爵の方達の言葉を信じるのね?」
「ライナの同僚達もライナは仕事ばかりサボって男に感けていたと聞いた」
「だ、だれがそんことを……」
「アマンダやエミリー、キャシー、それから……」
「なんて酷いの……一緒に働いてきた仲間だと思っていたのに……」
ーー悔しい、なぜわたしはそこまで嫌われないといけなかったの?
シエルはわたしに彼女達の名前を告げることに抵抗すら感じていない。わたしが傷つくとは思っていないし彼の言葉に優しさや気遣いは感じない。
ただあるのは怒りの感情だけ。
ーーあの屋敷には味方はいなかったんだ……でもバイセン様は厳しくてもきちんと一人一人の働きを見てくれていた。
先輩達も優しい人は沢山いた。でも逆に仲が良いと友達とだと思っていた人達は、わたしのことを裏切って悪口を言っていたみたい。
「ライナ、訴えを取り消して欲しい。これ以上君の罪を大きくしたくない。今なら優しいお方達だから許してくれる。一緒に謝るから、君の父上に話して取り下げて欲しい」
「使用人達は新しい職場を紹介するように手筈していると思うわ。奥様やリーリエ様は……それこそ自業自得だと思うわ。彼女達はわたしの悪い噂を流した張本人なの、名誉毀損でお父様が訴えているはずよ」
「……何故なんだ?何もされてもいないのにそんなことをよく出来るな?俺は婚約者として恥ずかしいよ、仕事はサボるし、男遊びはする、さらに嘘までつくなんて……」
「シエル?シエルは本気でわたしがそんなことをすると思っているの?」
「違うと否定するのか?どうしてそんなことを言うんだ?何人もが君の真実を俺に教えてくれた。初めは信じていなかった、だけど誰もが口を揃えて同じことを言うし少しも話がおかしいと感じられない信憑性の高い話なんだ」
「そっかあ……みんな同じなのね、言うことは……」
「ああ、それにライナは俺に会おうとしない、返事すら返してくれない。そんな君のどこを信用しろと言うのか教えて欲しい」
「貴方の気持ちはよくわかったわ」
シエルはわたしの返事を聞いて少しホッとしたのか怒っていた顔が少しだけ緩んだ。
「じゃあ、ミレガー伯爵の訴えを取り消してくれるんだね?」
「………それは出来ないわ……彼はわたしを殺そうとしたの。わたしを誘拐して最後は口封じのため殺すつもりだったのよ」
シエルは何を言っているんだと言う呆れた顔をしてわたしを見た。
「ライナはとうとう虚言癖まで出るようになったんだね」
呆れながらわたしに吐き捨てるように言った。
「違うわ、これは事実よ」
「もういい、君の嘘の話なんて聞きたくない」
そう言うとわたしに近づいてきた。
わたしの右の手首を掴むと力づくで引っ張って
「さあ、行こう。裁判所に行って訴えを取り消そう、それに伯爵家にお詫びを言わないといけないからね」
「やめて、どこへ行くの?」
久しぶりの彼の手は冷たくわたしの腕には彼の怒りの感情しか伝わってこなかった。
わたしはお父様とシエルの屋敷へと訪れた。
「おじ様、おば様お久しぶりです」
おば様はわたしを抱きしめて
「ごめんなさい、貴女に辛い思いばかりさせて。シエルは頑なに貴女のことを勘違いしたままなのよ。わたしはあの子とは会わずに解消することを勧めるわ」
おば様は申し訳なさそうに言いながら、わたしの顔を見て泣き出した。
「あの子は変わってしまったわ、お願いライナもうあの子の所為で傷つくのは嫌なの、さっさと捨ててちょうだい」
シエルのことをとても愛していたおば様からこんな言葉を言わせるなんて……おば様にとってはかなり辛いことなのだと思う。
「ずっと可愛がってもらってきたのに……こんなことになってしまって申し訳ありません。お二人のこと本当の両親だと思い接してきました。ですからまたお会いすることがありましたら話しかけてもいいでしょうか?」
「もちろんよ、わたしにとって貴女は娘同然なの。本当の娘になって欲しかった」
その後おじ様ともお話しして、わたしは一人客間に通された。
シエルの実家の手入れされた庭園を2階の窓から見ていたら
「ライナ、久しぶりだな」
シエルが客間に入ってきた。
シエルの顔を見ると不機嫌な顔をしているのがわかる。
わたしに対して思うところがあるのだろう。
ずっと彼との接触を避けてきた。
彼の手紙も面会も全て断ってきた。
怒っていて当然だと思う。
それでも会うことはもう出来なかった。
これ以上傷つきたくないし嫌いになりたくなかった。大好きだったシエルのままでさよならしたかった。
「シエル久しぶりね」
「ずっと俺と会うことを避けてきたのに今日はどうして会う気になったんだ?
今ミレガー伯爵家はライナの所為で大変なことになっているんだ。伯爵は捕まり、奥様は寝込まれて部屋から出てこない。リーリエ様は落ち込んで泣き暮らしているんだ、全てライナが仕組んだことなんだろう?何の恨みがあってこんなことをしたんだ!お前はそんな奴じゃなかったはずなのに……」
「ミレガー伯爵は自業自得だと思うわ、奥様やリーリエ様もわたしに対して何をしたのか貴方は知らないの?」
「自業自得?伯爵を罠にかけて捕まえさせるなんて、働かせてもらった恩を忘れたのか?」
「ねえ、シエル?貴方はミレガー伯爵の何を知っているの?彼らの悪事を知らないの?」
「悪事?伯爵である旦那様は清廉潔白なお方だ、奥様はお優しい人だしリーリエ様はか弱く守って差し上げなければいけないお方なんだ。
君が旦那様を罠にかけたこと、奥様に裁判を起こすと脅したことも聞いている、リーリエ様のことを嘘つきだと言って回ったことも聞いている。リーリエ様はそれなのにライナのことを責めないで欲しいと俺に泣いて言ってくれたお優しい人なんだ」
「シエルは婚約者でありずっと一緒に過ごしてきたわたしの言葉よりもミレガー伯爵の方達の言葉を信じるのね?」
「ライナの同僚達もライナは仕事ばかりサボって男に感けていたと聞いた」
「だ、だれがそんことを……」
「アマンダやエミリー、キャシー、それから……」
「なんて酷いの……一緒に働いてきた仲間だと思っていたのに……」
ーー悔しい、なぜわたしはそこまで嫌われないといけなかったの?
シエルはわたしに彼女達の名前を告げることに抵抗すら感じていない。わたしが傷つくとは思っていないし彼の言葉に優しさや気遣いは感じない。
ただあるのは怒りの感情だけ。
ーーあの屋敷には味方はいなかったんだ……でもバイセン様は厳しくてもきちんと一人一人の働きを見てくれていた。
先輩達も優しい人は沢山いた。でも逆に仲が良いと友達とだと思っていた人達は、わたしのことを裏切って悪口を言っていたみたい。
「ライナ、訴えを取り消して欲しい。これ以上君の罪を大きくしたくない。今なら優しいお方達だから許してくれる。一緒に謝るから、君の父上に話して取り下げて欲しい」
「使用人達は新しい職場を紹介するように手筈していると思うわ。奥様やリーリエ様は……それこそ自業自得だと思うわ。彼女達はわたしの悪い噂を流した張本人なの、名誉毀損でお父様が訴えているはずよ」
「……何故なんだ?何もされてもいないのにそんなことをよく出来るな?俺は婚約者として恥ずかしいよ、仕事はサボるし、男遊びはする、さらに嘘までつくなんて……」
「シエル?シエルは本気でわたしがそんなことをすると思っているの?」
「違うと否定するのか?どうしてそんなことを言うんだ?何人もが君の真実を俺に教えてくれた。初めは信じていなかった、だけど誰もが口を揃えて同じことを言うし少しも話がおかしいと感じられない信憑性の高い話なんだ」
「そっかあ……みんな同じなのね、言うことは……」
「ああ、それにライナは俺に会おうとしない、返事すら返してくれない。そんな君のどこを信用しろと言うのか教えて欲しい」
「貴方の気持ちはよくわかったわ」
シエルはわたしの返事を聞いて少しホッとしたのか怒っていた顔が少しだけ緩んだ。
「じゃあ、ミレガー伯爵の訴えを取り消してくれるんだね?」
「………それは出来ないわ……彼はわたしを殺そうとしたの。わたしを誘拐して最後は口封じのため殺すつもりだったのよ」
シエルは何を言っているんだと言う呆れた顔をしてわたしを見た。
「ライナはとうとう虚言癖まで出るようになったんだね」
呆れながらわたしに吐き捨てるように言った。
「違うわ、これは事実よ」
「もういい、君の嘘の話なんて聞きたくない」
そう言うとわたしに近づいてきた。
わたしの右の手首を掴むと力づくで引っ張って
「さあ、行こう。裁判所に行って訴えを取り消そう、それに伯爵家にお詫びを言わないといけないからね」
「やめて、どこへ行くの?」
久しぶりの彼の手は冷たくわたしの腕には彼の怒りの感情しか伝わってこなかった。
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