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新しい恋。
番外編 リリアンナの後悔
何がいけなかったのかしら?
わたしはわたしが愛している人を欲しいと思っただけなのに。
わたしが初めて見たバズールの第一印象はとても綺麗な人。
そして笑った顔にドキッとした。
挨拶をしてくる姿にも心を奪われた。
わたしが手を差し出すと騎士のように屈んでわたしの手の甲にキスを落とした。
これは親愛を込めての行動でありわたしを好きなわけではない。
王女のわたしに対する敬意でしかない。
わかっているのに、手の甲から伝わるよくわからない熱い何かが頭まで回ってきてカァっと熱くなった。
何?この熱さは?
顔が赤くなってくるのを感じた。
だからバズールが欲しかった。無理矢理側近にしてわたしのことを愛してもらうつもりだった。
なのに彼はいつもライナのことを目で追っている。どんなにわたしが彼を近くに置いていてもわたしを見ない。
「バズール!わたしを愛しなさい!」
何度彼に言っただろう。
それに、ライナはギルバート叔父様やケインとも仲がいい。叔父様のところに出入りして助手をしているのだから仕方がないのかもしれない。
わたしには見せてくれないあの優しい笑顔を彼女に向ける。
わたしがどんなに叔父様に話しかけても興味なさそうな顔をするか面倒くさそうに返事しかしない叔父様。
「これ見てください、素敵なドレスでしょう?」
「この宝石はモリス国で採れる希少な石から作られた物なんです」
「叔父様たまにはわたしとお食事でも如何ですか?」
どんなに話しかけても「ああ」としか言わない。
なのにライナにはどうして?
ケインだってライナには優しい。
幼い頃はわたしにあの笑顔を向けてくれていたのに……今では冷たい目でわたしを見ている。
わたしがどんなに我儘を言っても聞いてはくれる。でもそれは仕方なく聞いてくれるだけ。
してあげたいわけではない。それがあからさまに分かる。
いつもイライラしていた。
どんなに我儘を言っても全て叶えてくれる。
みんながわたしを我儘だとか常識がないだとか言っているのも知っていた。
それでも……市井に行けば頼ってくれる人々もいて、頑張ればわたしを見てくれる人々もいて、それなりに満足する人生だった。
バズールがわたしに振り向いてくれない、愛してもらえないと馬鹿なことをするまではそれなりにいい人生だった。
最後の列車事故はわたしが指示したわけではなかった。
わたしがモリス国の辺境伯のところへ後妻として嫁ぐことが決まって、わたしの熱狂的な取り巻きが度を超えてしまっただけだった。
ーー少しだけ、彼らに少しだけ、ライナが居なくなれば彼の前から消え去れば…と心の内を手紙に書き留めて、こっそりと送ってしまったけど。
まさか二人が乗っている列車を襲うなんて思わなかった。
それも呪いをかけるなんて……バズールにライナの記憶を消し去ろうとした。ライナには永遠に眠り続けるようにした。
それが逆にかかってしまった。
バズールは目覚めることがなく、ライナは苦しかった思い出だけが消えていた。
信じられない、そんなことをするるなんて……知った時にはもう全てが終わっていた。わたしはたくさんの人が亡くなったと聞いて怖くなった。
わたしが求めていたのはライナが消えること。死んで欲しいわけではなくバズールの前から消えて欲しかっただけ。
わたしが彼の前から居なくなるのだから彼女も居なくなればいい。単純にそう思った。
たくさんの人を巻き込んで欲しいなんて思っていない。
夜になると眠れない。
血を流した人、唸り続ける人、泣き叫ぶ人、わたしの頭の中で人々が「助けて!」とわたしの足に手に纏わりついてくる。
「助けて!痛い」
「娘を置いて死にたくない」
「あんたが悪いんだ」
「あんたの我儘であたし達は殺された」
「絶対許さない!」
いろんな声が聞こえる。全ての声がわたしの心を蝕んでいった。
◆ ◆ ◆
もう少し話は続きます。
そして【彼の瞳に映るのは】連載始めました。
もしよろしければ読んでみてくださいね。
偽りの婚約から二人がお互い好きだと気がついて……家族に愛されないダイアナと生真面目で騎士の仕事が大好きなキースの不器用な恋物語です。
わたしはわたしが愛している人を欲しいと思っただけなのに。
わたしが初めて見たバズールの第一印象はとても綺麗な人。
そして笑った顔にドキッとした。
挨拶をしてくる姿にも心を奪われた。
わたしが手を差し出すと騎士のように屈んでわたしの手の甲にキスを落とした。
これは親愛を込めての行動でありわたしを好きなわけではない。
王女のわたしに対する敬意でしかない。
わかっているのに、手の甲から伝わるよくわからない熱い何かが頭まで回ってきてカァっと熱くなった。
何?この熱さは?
顔が赤くなってくるのを感じた。
だからバズールが欲しかった。無理矢理側近にしてわたしのことを愛してもらうつもりだった。
なのに彼はいつもライナのことを目で追っている。どんなにわたしが彼を近くに置いていてもわたしを見ない。
「バズール!わたしを愛しなさい!」
何度彼に言っただろう。
それに、ライナはギルバート叔父様やケインとも仲がいい。叔父様のところに出入りして助手をしているのだから仕方がないのかもしれない。
わたしには見せてくれないあの優しい笑顔を彼女に向ける。
わたしがどんなに叔父様に話しかけても興味なさそうな顔をするか面倒くさそうに返事しかしない叔父様。
「これ見てください、素敵なドレスでしょう?」
「この宝石はモリス国で採れる希少な石から作られた物なんです」
「叔父様たまにはわたしとお食事でも如何ですか?」
どんなに話しかけても「ああ」としか言わない。
なのにライナにはどうして?
ケインだってライナには優しい。
幼い頃はわたしにあの笑顔を向けてくれていたのに……今では冷たい目でわたしを見ている。
わたしがどんなに我儘を言っても聞いてはくれる。でもそれは仕方なく聞いてくれるだけ。
してあげたいわけではない。それがあからさまに分かる。
いつもイライラしていた。
どんなに我儘を言っても全て叶えてくれる。
みんながわたしを我儘だとか常識がないだとか言っているのも知っていた。
それでも……市井に行けば頼ってくれる人々もいて、頑張ればわたしを見てくれる人々もいて、それなりに満足する人生だった。
バズールがわたしに振り向いてくれない、愛してもらえないと馬鹿なことをするまではそれなりにいい人生だった。
最後の列車事故はわたしが指示したわけではなかった。
わたしがモリス国の辺境伯のところへ後妻として嫁ぐことが決まって、わたしの熱狂的な取り巻きが度を超えてしまっただけだった。
ーー少しだけ、彼らに少しだけ、ライナが居なくなれば彼の前から消え去れば…と心の内を手紙に書き留めて、こっそりと送ってしまったけど。
まさか二人が乗っている列車を襲うなんて思わなかった。
それも呪いをかけるなんて……バズールにライナの記憶を消し去ろうとした。ライナには永遠に眠り続けるようにした。
それが逆にかかってしまった。
バズールは目覚めることがなく、ライナは苦しかった思い出だけが消えていた。
信じられない、そんなことをするるなんて……知った時にはもう全てが終わっていた。わたしはたくさんの人が亡くなったと聞いて怖くなった。
わたしが求めていたのはライナが消えること。死んで欲しいわけではなくバズールの前から消えて欲しかっただけ。
わたしが彼の前から居なくなるのだから彼女も居なくなればいい。単純にそう思った。
たくさんの人を巻き込んで欲しいなんて思っていない。
夜になると眠れない。
血を流した人、唸り続ける人、泣き叫ぶ人、わたしの頭の中で人々が「助けて!」とわたしの足に手に纏わりついてくる。
「助けて!痛い」
「娘を置いて死にたくない」
「あんたが悪いんだ」
「あんたの我儘であたし達は殺された」
「絶対許さない!」
いろんな声が聞こえる。全ての声がわたしの心を蝕んでいった。
◆ ◆ ◆
もう少し話は続きます。
そして【彼の瞳に映るのは】連載始めました。
もしよろしければ読んでみてくださいね。
偽りの婚約から二人がお互い好きだと気がついて……家族に愛されないダイアナと生真面目で騎士の仕事が大好きなキースの不器用な恋物語です。
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