【完結】氷の騎士は忘れられた愛を取り戻したい〜愛しています〜令嬢はそれぞれの愛に気づかない

たろ

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15話

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お父様から聞かされた話をいくら聞いてもわたしの記憶は戻らなかった。
でもわたしはお父様に嫌われてはいないことだけはなんとなくわかった。

そして次の日お母様と共に領地へ戻る時にわたしにお父様は言った。

「ジェシカ、大丈夫か?わたしが話したことでさらにお前を苦しめることになったかもしれない。
 だがお前が本当のことを知りたいと苦しんでいるのならわたしが全て話すべきだと思った……セルジオのことをまた好きになったらいつでも言ってくれ。その時はきちんと婚約させてあげるつもりだ。
 もちろんお前が他の人を好きになったらそれでもいい、まだ15歳だ。これから婚約者はゆっくりと探そう」

わたしはお父様の言葉に思わず目を大きく見開いてしまった。

「……すまない、驚かせて」
お父様がシュンとしていると横からお母様が苦笑しながら言った。

「ジェシカ、ごめんなさい。わたしが領地で過ごしている間あなたに辛い思いをさせてしまったわ。
この人は本当に不器用だし無愛想だし、言い方がキツく感じるけどでも子供達のことを彼なりには考えているの。
上手くはいかないけど」

「父上の愛情はわかりにくすぎるからね、俺も理解できるようになったのは最近だ。ジェシカにはまだ無理だよな」

確かにお兄様もお母様も、お父様は不器用だからといつも言っていた。
わたしも人と接するのが苦手なところがある。たぶんわたしが一番お父様に似ているくせに、一番理解できていなかったのかもしれない。

「お父様、ぜひ領地にも顔を出してください。お待ちしております」
「わかった、そちらにも行くとしよう」

お互い避けていた時間を今度は少しずつ取り戻せるような気がする。

「わたしも少しずつ体調も良くなってきたから王都にもたまには帰ってこようと思うのよ、ジャックスの結婚式にも参加したいしね」

お母様は肺が悪い。
空気のいいところで過ごすのが一番体にいい。
でも鉄道が敷かれてからは長い距離を数日かけて悪路を揺れながら帰らなくてよくなったので、お母様の体への負担はずいぶん減る。

これはお父様がお母様に会いやすくなるからとの強い思いが、我が領地に早くに鉄道をと無理を通して敷いたらしい。

お母様が笑いながら話してくれた。

「あの人は口では何も言わないのだけど、わたしのために何がなんでも早く鉄道を!と国王に直談判をしていち早く取り入れたのよ、ジェシカ達がわたしに会いに来やすいようにね」

「お父様にそんな行動力があるのですか?」
とても優秀な方なのは知っている。領地にいち早く鉄道を敷いたことも有名な話だ。
でもその原動力は、お母様のためだったなんて………

「ふふ、わたしのため。でもあなた達のためよ?ジェシカはわたしにいつも会いたがっていたでしょう?」

「確かに……おかげでお母様に会うのは年に一回から二回へと増えました」

お父様は気恥ずかしいのか黙ったままだったがボソッと一言。

「わたしがジェシカやジャックスとお前を引き離してしまった。だからお前達がみ会えるようにしてやりたかったんだ」

「違うわ、わたしの体が弱いから王都の空気が合わなかったのよ、ごめんなさいね二人とも」

こんなふうに家族で話ができるとは思わなかった。

「また会おう」
お父様はわたしをそっと抱きしめてくれた。


ーーーーー

列車の中でお母様はセルジオ兄様のことを色々と話してくれた。

12歳の時に半年間領地で過ごしていた時、わたしと兄様はとても仲良くなった。

お互い意識をしだして、両思いになったこと。
わたしはお母様にそのことを嬉しそうに話したらしい。
毎日会える時は二人で過ごした。
兄様は今は冷たい印象を持たれているけどその頃は優しく微笑む人だったらしい。
本人には騎士になりたいという希望はなかったのに、わたしが騎士になってわたしを守って!と冗談混じりに言った言葉から騎士を目指したらしい。
すぐに高等部に行くことをやめて士官学校へ行くように手続きをした。

兄様のご両親は、とても驚いていたらしいが本人の立っての希望なので認めることになったと聞いた。

わたしの一言が彼の人生を変えた。そして、わたしは彼を裏切り殿下と婚約をしていたのだ。
それも彼のことを完全に忘れて……

お母様に話を聞いてもわたしにとってその話は全て他人の話でしかなかった。
でも、他人の話なのに胸がギュッと苦しくなる。

それは思い出したからではなくて、兄様の優しい顔を思い出すから。
以前の兄様ではなく、今の兄様にわたしは恋をしているんだと話を聞きながら自覚してしまった。

だから、夜会の時にマーガレット様と仲良く話しているのが気になったし、彼がわたし以外の人と踊っているのを見て嫌だったのだ。
わたしにはそれを咎める権利もヤキモチを妬く権利もないのに。

兄様から貰ったブレスレットにそっと触れた。
兄様の瞳の色のサファイア。
お祝いとして貰った意味はないブレスレット。でも夜会の日につけてくれたあの日から外すことが出来なかった。

本当は嬉しくてドキドキしたのに、兄様にはバレないように平然とした顔でいた。

あの時にはもう兄様が好きだったのに……

わたしは兄様に二度目の恋をした。












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