【完結】氷の騎士は忘れられた愛を取り戻したい〜愛しています〜令嬢はそれぞれの愛に気づかない

たろ

文字の大きさ
18 / 26

18話

絶望の中、男達はわたしの体を触り始めた。
涙が溢れて止まらない。

「俺が先にやる」
「うるさい、攫ったのは俺だ」
「この子処女だろう?」
「ジャンケンで決めようぜ」
「時間はたっぷりあるんだ、明日の朝まで俺たち四人で楽しもう」

耳に入ってくる会話をわたしは理解したくなかった。
どうしてこんなことになったんだろう?

意識朦朧とした中で男達はわたしを犯す順番を楽しそうに決めている。
両手を縛られたままのわたしは上半身裸でもう逃げることもできない。

「…………………あ、あ、あーーーーーー」

頭が痛い、突然胸が苦しくなって、息を吸っても吸っても胸が苦しい……だんだん手足がしびれてきた。
体がけいれんを起こし始め体がガクガクと震え出した。
そして意識を失い倒れた。


ーーーーー

男達はジェシカが意識を失うと逃げ出そうとした。

「おい、死んだのか?」
「お、俺は人殺しまではしたくねぇよ」
「やべぇ、逃げよう」

「何しているの?」
アンナは男達が慌てて逃げ出したので急いでジェシカを見に行った。

「死んだの?ふふふ、なんてみっともないの。男達に裸にされて!セルジオ様にこの姿を見せてあげないと!もうすぐあなたに会いにきてくれるわ」

ーーーー

セルジオはアンナ嬢に今日どうしても見せたいものがあるから来て欲しいと時間を指定された。

それはジェシカにとっても大切なことだからと。

殿下の恋人だったアンナ嬢、彼女は殿下と付き合う前も付き合ってからもずっと何度も俺に会いにきて婚約して欲しいと言ってきた。

そんなアンナ嬢が一体どんな話なのか。胸騒ぎがする。
俺は約束よりも早めに指定されたホテルの部屋へと向かった。一人でもし対処できなければ困るので、屋敷の護衛騎士にも数人頼んでついてきてもらった。
約束よりも1時間早く着いて、中に入ろうとしたら破落戸達が慌てて部屋から出てきた。

嫌な予感がする。

俺たちは部屋の扉をノックした。だが誰も出てこない。
扉を足で何度も蹴り上げて扉をぶち壊した。

中に急いで入ると静かすぎる。

部屋は荒れているのに誰もいない。

「誰かいないのか?」

すると奥から甲高い女の気持ちが悪い笑い声が聞こえる。

俺は急いで奥の部屋へと行った。

そこには大笑いをするアンナ嬢と上半身裸にされて両手を縛られて意識がなく倒れているジェシカがいた。

「……ジェシカ?」
俺は上着を脱ぎ急いでジェシカにかけると抱き寄せた。
息はしていた。
ただ痙攣を起こしてピクピクとしていた。

「セルジオ様?あなたを苦しめたこの女を殺してやったわ、男達に汚されて!いい気味よ」

俺を見るアンナ嬢の目は異常にギラギラとしていた。

「退け!」

「待って!そんな女捨てて仕舞えばいいのよ」

「うるさい!退いてくれ」

俺の腕を掴んで離さないアンナ嬢を振り払い、俺はジェシカを抱きしめて急いで馬車に乗せて病院へと向かった。

あの女と破落戸の男達は俺と一緒に来た護衛騎士によって取り押さえられた。

「ジェシカ、ごめん。もっと早くに助けてあげられなくて」

ぐったりとしたジェシカを病院に連れていくと恐怖による精神的なもので過呼吸になったらしい。そして痙攣で意識を失ったのだろうと言われた。
ただ何度も蹴られたらしくお腹や腰の周りは赤黒いあざが沢山できていて鬱血して血が滲んでいるところもあった。

運が良かったのは強姦される前に痙攣して意識を失ったことだった。
俺が来た時、男達は驚いて慌てて逃げ出したところだった。

アンナ嬢はジェシカが犯されたところを俺に見せようとしていたらしい。

ふざけるな!俺のため?

俺がそんなこと望むわけがない。

もし遅れていたらジェシカはどんな目に遭っていたのだろう。

ジェシカは数日意識を取り戻さなかった。

いや、恐怖で目覚めることを拒否しているのかもしれない。

俺は彼女のそばにいたかった。
なのにジェシカの両親に言われた。

「この子が目覚めた時貴方がいたらどんな態度を取るか想像ができないの。助けてくれたことはもちろん感謝しているわ、心配してくれていることもわかっているの。でもジェシカは女性の尊厳を踏み躙られようとしたの。今はこの子のそばにいるのはやめて欲しいの」

ジェシカの両親からの拒絶。

ーーーーー

そしてギルス殿下がお忍びで領地へとやってきた。

仕事を休んで屋敷にいる俺に会いに来た。

「セルジオ!俺がアンナと付き合ったのはジェシカのためだとわかっていただろう?なぜジェシカから目を離した?」

ギルス殿下は俺の襟首を掴んで締め上げた。

「……………」

言い訳なんて出来なかった。

「ジェシカはまだ目を覚まさないのか?」

「はい」

「なんで?ジェシカが辛い目に遭うんだ?お前がアンナと結婚すれば良かったんだ!そしたらジェシカは辛い思いをしなくて済んだんだ!」


ーーそうかもしれない。

アンナ嬢とは王都へ行った時に何度か子供達が集まるお茶会で知り合った。

「貴方は誰?」

「セルジオ・フォーダンと言います」

俺と同じ家格の伯爵の娘。
何故か気に入られてよく話しかけられた。俺より2歳年下のティムと同じ歳の令嬢。

「ねえ、セルジオ様、貴方をわたしの婚約者にしてあげてもいいわよ」

「いえ、結構です」

「な、何よ!せっかくの好意なのに失礼だわ」
顔を真っ赤にして怒るアンナ嬢に心の中でため息をついた。
俺は見た目がいいらしい。
勝手に好きになって勝手に話しかけてきて、適当に相手をしただけなのに、なんで婚約しないといけないんだ?
まだ10歳の俺には女の子の気持ちなんてわからなかった。
こんな我儘で傲慢な女の子より、親戚のジェシカと話した方がよっぽど楽しかったし可愛いと思った。

あなたにおすすめの小説

『病弱な幼馴染を優先してください』と言った妻が消えた翌日、夫は領地の会計書類が全て白紙になっていることに気づいた

歩人
ファンタジー
侯爵家に嫁いで五年。ルチアは夫エミルの領地会計・社交・使用人管理を全て一人で担ってきた。だがエミルはいつも幼馴染のアリーチェを優先する。「アリーチェは体が弱いんだ、お前とは違う」——その言葉を百回聞いた日、ルチアは微笑んで離縁届に署名した。「ええ、私は丈夫ですから。どうぞ幼馴染様をお大事に」。翌朝、エミルが目にしたのは——税務報告の締切、領民からの陳情の山、そして紅茶の淹れ方すら知らない自分。三ヶ月後、かつて「地味な妻」と呼ばれたルチアは、辺境伯の財務顧問として辣腕を振るっていた。

「静かで、退屈な婚約者だった」と切り捨てられたので、最後くらい全部言って去ることにしました

桃我タロー
恋愛
「静かで、退屈な婚約者だった」 婚約破棄のその日、王太子は広間でそう言い捨てた。 三年間、失言を隠し、場を整え、黙って支えてきたのに。 どうやら私に必要だったのは婚約者ではなく、“便利な人”という役割だけだったらしい。 しかも隣には、つい三日前まで殿下の従兄に求婚していた令嬢まで立っていて――。 ならばもう、黙っている理由はない。 これは、最後まで笑って終わるつもりだった令嬢が、自分の声を取り戻す話。

婚約破棄されたので、前世で倒した魔王を婿にします

なかすあき
恋愛
王宮の舞踏会で、王太子ユリウスから公開の婚約破棄を告げられた公爵令嬢フィオナ。 正式な破棄のために持ち出された王家の宝具「破婚の鏡」は、なぜか黒くひび割れ、彼女の前世の記憶を呼び覚ます。 前世のフィオナは、勇者一行の聖職者として魔王を討った女だった。 だがその瞬間、破婚の鏡は異界への門へと変わり、かつて自ら倒したはずの魔王ゼルヴァンが現れる。 「ようやく、直接会えた。結婚しろ、フィオナ」 軽い恋に酔って婚約者を切り捨てた王太子。 前世で討たれてなお、今世で彼女を探し続けていた魔王。 婚約を失った夜に始まったのは、失恋ではなく、 前世から続く、とびきり厄介な求婚の続きだった。

五度目の人生でも「君を愛することはない」と言われたので、私も愛を捨てました

たると
恋愛
「ルチア、私は君を愛することはない。この婚約は単なる義務だ」 冷徹な公爵、アルベルトの声が夜会会場の片隅で響く。 これで、五度目だ。 私は深く、そして軽やかに一礼した。 「承知いたしました。では、今後はそのように」 これまでは泣いて縋り、彼を振り向かせようと必死に尽くしてきた。 だが、死に戻りを五回も繰り返せば、流石に飽きる。 私は彼を愛することを、きっぱりと辞めた。

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

婚約破棄された公爵令嬢ですが、家族も元婚約者もすべて失いました

あう
恋愛
「真実の愛を見つけた。君との婚約は破棄する」 王都の夜会でそう告げられたのは、公爵令嬢セリシア・ルヴァリエ。 隣に立っていたのは、かねてより彼女を陥れてきた義妹ミレイナだった。 継母は義妹を溺愛し、父は家の利益のために沈黙を貫く。 味方は誰一人いない――まさに四面楚歌。 だが、セリシアは涙を流さなかった。 「婚約破棄、謹んでお受けいたしますわ」 それは絶望ではなく、すべてを覆す反撃の始まりだった。 やがて明らかになる数々の真実。 裏切り者たちは自らの罪によって転落していき、セリシアは新たな出会いとともに、自らの人生を切り開いていく。 これは、誇り高き令嬢が四面楚歌から大逆転を果たし、裏切った者たちに救済なき断罪を下す物語。 そして最後に手にするのは――本当の愛と、揺るがぬ幸せ。 --- ■キャッチコピー案(任意で使用可能) 「救済なし、後悔だけをあなたに。」 「すべてを奪ったつもりでしたか? 最後に失うのはあなた方です。」 「四面楚歌の令嬢による、華麗なる大逆転劇。」

【本編完結】笑顔で離縁してください 〜貴方に恋をしてました〜

桜夜
恋愛
「旦那様、私と離縁してください!」 私は今までに見せたことがないような笑顔で旦那様に離縁を申し出た……。 私はアルメニア王国の第三王女でした。私には二人のお姉様がいます。一番目のエリーお姉様は頭脳明晰でお優しく、何をするにも完璧なお姉様でした。二番目のウルルお姉様はとても美しく皆の憧れの的で、ご結婚をされた今では社交界の女性達をまとめております。では三番目の私は……。 王族では国が豊かになると噂される瞳の色を持った平凡な女でした… そんな私の旦那様は騎士団長をしており女性からも人気のある公爵家の三男の方でした……。 平凡な私が彼の方の隣にいてもいいのでしょうか? なので離縁させていただけませんか? 旦那様も離縁した方が嬉しいですよね?だって……。 *小説家になろう、カクヨムにも投稿しています

あなたが後悔しても、私の愛はもう戻りません

藤原遊
恋愛
婚約者のアルベルトは、優しい人だった。 ただ――いつも、私より優先する存在がいただけで。 「君は分かってくれると思っていた」 その一言で、リーシェは気づいてしまう。 私は、最初から選ばれていなかったのだと。 これは、奪われた恋を取り戻す物語ではない。 後悔する彼と、もう戻らないと決めた私、 そして“私を選ぶ人”に出会うまでの、静かな恋の終わりと始まりの物語。