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26話 何度も貴方に恋をする。
「………記憶が戻ったのか?」
ティムが驚いた顔をしてわたしを見た。
喜んでいると言うより何か怖いものでも見ているような顔……
「ううん……全く……」
わたしが首を横に振るとティムもマリーナ様もホッとした顔をしていた。
「ただ頭の中でよくわからないけどセルジオって浮かんだの。そしてセルジオ様と約束したことを思い出したの」
「そっか、兄上との思い出少しだけ思い出したんだ」
「うん、たぶんわたしセルジオ様と仲良しだったみたいなの」
言いながら何故か顔が赤くなった。
「うん、俺もいるのにジェシカは兄上とばかり仲が良くて俺はいつも除け者だった」
「ティムよく拗ねてたものね」
「二人はそんな前からわたしを知っているの?」
「そうよ、だから「様」はもう要らないわ。マリーナって呼んでもらえると嬉しいわ」
「…うん、わたしもそう呼びたい」
三人で話していると
「ジェシカ!」
セルジオ様がわたしのところに走ってきて
「勝った!ジェシカのおかげだ!」
と言ってわたしをギュッと抱きしめた。
「「「キャーッ!」」」
「なんで?」
「やめてー!」
いろんな声が聞こえてきた。
でもお構いなしにセルジオ様は「俺が騎士になったのはジェシカのためだったんだ。だから今日は何があっても勝ちたかったんだ!」
「ふふ、その割には負けていましたよ?」わたしがクスクス笑うと
「緊張しすぎていたんだ。次の試合はもっと楽に勝ってくる!見てて!」
セルジオ様は本当はここにくる時間なんてなかった、あと少しで次の試合が始まるのだから。
急いで試合場へと戻って行くセルジオ様を見ていると周りからのやっかみからか酷い言葉がわたしに浴びせられた。
ーーまた始まった。わたしは無視することにしていたら気がついたらクラスメート達がわたしの周りに取り囲むように座っていた。
「ったく、ジェシカが何したって言うんだ」
「ジェシカにあんまり暴言吐いたらお前達の家なんてこの領地に住めなくなると気が付かないのか?」
「そうよ、ジェシカが黙っているからって好きなこと言って!公爵令嬢にこれ以上酷いこと言ったら公爵閣下に全て伝えてやるんだから!」
なんだか怖い言葉がわたしの周りで出てきた。
それを聞いたわたしに酷い言葉を言っていた令嬢達が顔を引き攣らせた。
みんなわたしがこの領地の当主の娘だと今更ながら気がついたようだ。
「も、申し訳ありませんでした」
唇を噛んで悔しそうにしている人。
真っ青になって謝ってくる人。
睨みながらも仕方なく謝る人。
わたしはそんな人達に向かって
「せっかくの試合ですから楽しみながらみましょう」
と微笑んだ。
やっと静かになってセルジオ様の試合を見ることができた。
準決勝まではいったが敗北。
「やっぱりみんな強い、俺もまだまだ頑張らなきゃジェシカの騎士様にはなれないな」
「セルジオ……様……わたしは幼い頃、たぶん貴方にとても迷惑なくらい我儘を言って振り回していた気がします。ごめんなさい」
「俺はジェシカと新しい関係を築きたいんだ……過去のことはもうどうでもいい。一緒に過ごす時間を俺にくれないか?」
「わたし……記憶をなくしてからも何故かセルジオ様のことがいつも気になってしまうの……その理由がよくわからなかった……でもわたしは記憶をなくす前も貴方を好きだった気がする。ずっと前も今も好きなんだと思うの」
ーーーーー
「お父様、お母様、ジルとお散歩に行きましょう」
お母様は体調が落ち着いて今では普通に生活出来るようになった。お父様はさっさとお兄様に当主の座を渡して今はこの領地でお母様と暮らし出した。
わたしは高等部を卒業して今は三人での生活をしながら、セルジオとの結婚式の日を心待ちにしている。
ジルは毎日この時間を楽しみにしていて、尻尾を振りながら自らリードを口に咥えて持ってきてお父様に渡す。
お父様はそれを嬉しそうに受け取り、ジルの首輪につけて三人で散歩をする。
「ジェシカやお前とこうして過ごす時間が今は一番幸せだ、ジェシカは結婚しても隣の本邸に居るからいつでも会えるしな」
お父様はこの領地には別に大きな屋敷を持っているのだけど、お母様がこの離れを気に入っているのでお父様もこの小さな離れの屋敷で暮らしている。
仕事で自分の屋敷には通っているけど、夕方には急いでこちらに帰ってくる。
もしかしたら今が二人は新婚生活を送っているのかもしれない。
「ジェシカ!ただいま!」
散歩の途中セルジオの帰りに出会った。
「お帰りなさい」
「ジル、ただいま!」
ジルは自分に声を掛けてもらえなくて、セルジオの足に絡みついていた。
「明日はマリーナとティムの婚約式だな」
「うん、とても楽しみ、マリーナの綺麗なドレス姿にティム驚くと思うわ」
「アイツ、ずっとマリーナが好きだったからやっと婚約できて明日は泣くかもな」
「そんな昔から?」
「一目惚れらしいよ」
「あら?セルジオもジェシカに一目惚れしたからさすが兄弟ね?」
お母様がクスクス笑いながら言った。
「え?知らなかった」
「俺の一目惚れはティムよりも先だけどね。君がまだ3歳の時だから」
ーーわたしも一目惚れをしたの。
記憶をなくして目覚めた後、貴方を見た時から。
END
◆ ◆ ◆
【え?嫌です、我慢なんて致しません!わたしの好きにさせてもらいます】
新しいお話が始まりまりました。
今回のお話は冷遇されても虐められても負けない気の強い女の子のお話です。
よければ読んでいただけたら嬉しいです!
よろしくお願いいたします。
ティムが驚いた顔をしてわたしを見た。
喜んでいると言うより何か怖いものでも見ているような顔……
「ううん……全く……」
わたしが首を横に振るとティムもマリーナ様もホッとした顔をしていた。
「ただ頭の中でよくわからないけどセルジオって浮かんだの。そしてセルジオ様と約束したことを思い出したの」
「そっか、兄上との思い出少しだけ思い出したんだ」
「うん、たぶんわたしセルジオ様と仲良しだったみたいなの」
言いながら何故か顔が赤くなった。
「うん、俺もいるのにジェシカは兄上とばかり仲が良くて俺はいつも除け者だった」
「ティムよく拗ねてたものね」
「二人はそんな前からわたしを知っているの?」
「そうよ、だから「様」はもう要らないわ。マリーナって呼んでもらえると嬉しいわ」
「…うん、わたしもそう呼びたい」
三人で話していると
「ジェシカ!」
セルジオ様がわたしのところに走ってきて
「勝った!ジェシカのおかげだ!」
と言ってわたしをギュッと抱きしめた。
「「「キャーッ!」」」
「なんで?」
「やめてー!」
いろんな声が聞こえてきた。
でもお構いなしにセルジオ様は「俺が騎士になったのはジェシカのためだったんだ。だから今日は何があっても勝ちたかったんだ!」
「ふふ、その割には負けていましたよ?」わたしがクスクス笑うと
「緊張しすぎていたんだ。次の試合はもっと楽に勝ってくる!見てて!」
セルジオ様は本当はここにくる時間なんてなかった、あと少しで次の試合が始まるのだから。
急いで試合場へと戻って行くセルジオ様を見ていると周りからのやっかみからか酷い言葉がわたしに浴びせられた。
ーーまた始まった。わたしは無視することにしていたら気がついたらクラスメート達がわたしの周りに取り囲むように座っていた。
「ったく、ジェシカが何したって言うんだ」
「ジェシカにあんまり暴言吐いたらお前達の家なんてこの領地に住めなくなると気が付かないのか?」
「そうよ、ジェシカが黙っているからって好きなこと言って!公爵令嬢にこれ以上酷いこと言ったら公爵閣下に全て伝えてやるんだから!」
なんだか怖い言葉がわたしの周りで出てきた。
それを聞いたわたしに酷い言葉を言っていた令嬢達が顔を引き攣らせた。
みんなわたしがこの領地の当主の娘だと今更ながら気がついたようだ。
「も、申し訳ありませんでした」
唇を噛んで悔しそうにしている人。
真っ青になって謝ってくる人。
睨みながらも仕方なく謝る人。
わたしはそんな人達に向かって
「せっかくの試合ですから楽しみながらみましょう」
と微笑んだ。
やっと静かになってセルジオ様の試合を見ることができた。
準決勝まではいったが敗北。
「やっぱりみんな強い、俺もまだまだ頑張らなきゃジェシカの騎士様にはなれないな」
「セルジオ……様……わたしは幼い頃、たぶん貴方にとても迷惑なくらい我儘を言って振り回していた気がします。ごめんなさい」
「俺はジェシカと新しい関係を築きたいんだ……過去のことはもうどうでもいい。一緒に過ごす時間を俺にくれないか?」
「わたし……記憶をなくしてからも何故かセルジオ様のことがいつも気になってしまうの……その理由がよくわからなかった……でもわたしは記憶をなくす前も貴方を好きだった気がする。ずっと前も今も好きなんだと思うの」
ーーーーー
「お父様、お母様、ジルとお散歩に行きましょう」
お母様は体調が落ち着いて今では普通に生活出来るようになった。お父様はさっさとお兄様に当主の座を渡して今はこの領地でお母様と暮らし出した。
わたしは高等部を卒業して今は三人での生活をしながら、セルジオとの結婚式の日を心待ちにしている。
ジルは毎日この時間を楽しみにしていて、尻尾を振りながら自らリードを口に咥えて持ってきてお父様に渡す。
お父様はそれを嬉しそうに受け取り、ジルの首輪につけて三人で散歩をする。
「ジェシカやお前とこうして過ごす時間が今は一番幸せだ、ジェシカは結婚しても隣の本邸に居るからいつでも会えるしな」
お父様はこの領地には別に大きな屋敷を持っているのだけど、お母様がこの離れを気に入っているのでお父様もこの小さな離れの屋敷で暮らしている。
仕事で自分の屋敷には通っているけど、夕方には急いでこちらに帰ってくる。
もしかしたら今が二人は新婚生活を送っているのかもしれない。
「ジェシカ!ただいま!」
散歩の途中セルジオの帰りに出会った。
「お帰りなさい」
「ジル、ただいま!」
ジルは自分に声を掛けてもらえなくて、セルジオの足に絡みついていた。
「明日はマリーナとティムの婚約式だな」
「うん、とても楽しみ、マリーナの綺麗なドレス姿にティム驚くと思うわ」
「アイツ、ずっとマリーナが好きだったからやっと婚約できて明日は泣くかもな」
「そんな昔から?」
「一目惚れらしいよ」
「あら?セルジオもジェシカに一目惚れしたからさすが兄弟ね?」
お母様がクスクス笑いながら言った。
「え?知らなかった」
「俺の一目惚れはティムよりも先だけどね。君がまだ3歳の時だから」
ーーわたしも一目惚れをしたの。
記憶をなくして目覚めた後、貴方を見た時から。
END
◆ ◆ ◆
【え?嫌です、我慢なんて致しません!わたしの好きにさせてもらいます】
新しいお話が始まりまりました。
今回のお話は冷遇されても虐められても負けない気の強い女の子のお話です。
よければ読んでいただけたら嬉しいです!
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