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さよならのかわりに ブロアとセフィルの恋ーーあなたを愛していますーー
殿下、もうお会いすることはないでしょう。
「今日君に会いにきたのは……君の婚約者との解消の話を耳にしたからなんだ」
ーーえっ?昨日の今日で、もう耳に入ったの?
誰が?だってセフィルには伝えたけど返事なんてもらっていないわ………あっ、セフィルの屋敷でもわたくしは好かれていないのがあそこに行けばわかる………わたくしと彼の会話を誰かしら耳にした……それを………
「…………リリアンナ様?」
思わずその名をつぶやいてしまった。
「さすがブロアだね?ロザンナはリリアンナ嬢と親しくてね、昨日態々ロザンナに話に来たんだよ」
ーーああ、そう言うことね。使用人に話を聞いて、嬉しくてわたくしのことをロザンナ様と二人嘲笑いたかったのね。
納得したおかげでわたくしは冷静でいることが出来た。
「リリアンナ嬢は君がセフィル卿と婚約解消すると一人になると心配していたんだよ、君はあまり友人もいないだろう?」
ーーええ、学園に行く暇もなく執務ばかりに追われていたもの。
「それに宰相も仕事が忙しそうだし、兄のカイラン殿も領地で公爵家の仕事に追われて君のことは二の次だ……君はこの屋敷で一人寂しく暮らすことになる……だから……」
ーーだから?貴方には関係ないことでしょう?
そう言いたいのに、王太子殿下である彼には言えない。
周囲を窺う。もちろん殿下の護衛が数人、周りでわたくし達を見守っている。
この近くには『影』もいるはず。『影』はこのことを陛下に伝えてくれるかしら?自己判断で決めることはないけど、毎日の報告となると膨大なので必要としないことは記録として残すだけになる。
こんなの記録として残すだけなんてされたらとんでもないわ。しっかりご報告してもらわなきゃ。体調最悪なのに……こんな重たいドレスを着せられ座っているのも辛いと言うのに……
「殿下………わたくしの婚約の話は貴方がたには関係のないことです。どうぞお引き取りを」
「関係?もちろんあるに決まっているだろう?」
ーーいやいやありませんけど?
「ブロア、君には側妃として嫁いできて欲しい」
「………お断りいたしますわ」
「えっ?なんで?君は僕を愛しているはずだ。愛する僕のそばにいることが君の幸せだろう?ロザンナのことは気にしなくていい。
たまに君と閨を共にすることも理解してくれるはずだ。彼女には全くと言っていいくらい、政務を行う才能がない。このままでは仕事は溜まっていく一方で減ることはない。
官僚たちが補佐をしてくれてはいるが、追いつけない。君が必要なんだ。それにロザンナは王子を産んでから……その……魅力を感じないんだ」
ーー何言ってるの?この馬鹿王太子!
「わたくしには全く関係ないことですわ。セフィルとの婚約もまだ維持しております。お話はこれでお終いですわ。どうぞお帰りはあちらの扉でございます、誰か殿下をお連れして差し上げてちょうだい」
顔を見知った近衛騎士に視線を向けた。みんなも顔には出さないけど諦めいるわ。
騎士達は顔色を変えることなく頭を下げ殿下のそばに寄る。
「お前達、ブロアの命令を何故聞く?僕はまだブロアに話があるんだ。ブロア、君と離れて分かったんだ、真実の愛より大切なのは昔からそばにいてくれた君なんだと」
「わたくしは貴方を愛したことはありませんわ。婚約者として貴方のおそばに居ただけです、悪女でしかないわたくしが貴方の側妃になるなどあってはならないことですわ、いずれこの国の国王となるお方、正妃であるロザンナ妃を大切にされぜひこの国を導いてください」
ーーその頃にはわたくしはもう居ないのでこの国がどうなろうと構いませんもの。ふふっ。
わたくしを頼らずもっとご自分達で精進なさればいいのに。
「ふざけるな!せっかくこんなところまで来てやったのに!おい、ブロアを王城へ一緒に連れていく。優しく言ってやったのになんだその高慢な態度は!執務室に閉じ込めて部屋から出れないようにして一生働かせてやる!」
「殿下……なんの権限をお持ちでわたくしを捕らえようと言うのでしょう?」
「はあ?僕は王太子だ、僕が言うことが絶対なんだ。お前が城から出て僕がどれだけ苦労させられていると思っているんだ!お前の父親はどんなに僕が頼んでも絶対にお前を王城へ呼ぼうとしない」
ーーお父様がわたくしを呼ばないのはわたくしを嫌っているからだわ。
「殿下………ブロア様を無理やり王城へお連れすることはできません」
近衛騎士の中でも地位が上の隊長が殿下に頭を下げ断りを入れた。
「じゃあ、僕はどうしたらいい?毎日政務に追われ寝る時間も足りない……ブロア、君ならわかるだろう?君が仕事をしてくれればいいだけなんだ、君の欲しがっている宝石をいくらでも買ってやるよ」
「殿下……わたくしは、宝石など欲しいと思っておりません……」
「僕は、どうすればいい?」
「………ひたすらこの国の民のために尽くすのが貴方のお仕事なのでは?」
「いやだ!嫌だ!お前が……婚約破棄などするからいけないんだ!僕の言葉を鵜呑みにして王城から去ったのがいけないんだ!」
「わたくし……体調がすぐれないのでこれで失礼させていただきますわね、近衛騎士の皆様、殿下が落ち着きましたら連れておかえりください」
殿下と話していたら体調がますます悪くなってきた。わたくしはウエラに支えられながら部屋に戻った。
「ブロア様……大丈夫ですか?」
「………しばらく横になりたい…ドレスを脱がせてくれるかしら?」
窮屈なドレスを脱ぐとすぐにベッドに横になった。
殿下も殿下だけど……リリアンナ様はいったいどう言うつもりなのかしら?
わたくしとセフィルの婚約解消の話はまだ進んでいない。それなのにもうこのぶんだと……社交界に噂は広まっていくわ。
婚約解消はいいのだけど面白おかしく噂されてセフィルの立場が悪くなったら……リリアンナ様はそんなことも考えられないのかしら?
それに殿下も……わたくしを側妃にしようなんて……自身の能力が劣ることをみんなに知らしめるだけなのに……
ーーえっ?昨日の今日で、もう耳に入ったの?
誰が?だってセフィルには伝えたけど返事なんてもらっていないわ………あっ、セフィルの屋敷でもわたくしは好かれていないのがあそこに行けばわかる………わたくしと彼の会話を誰かしら耳にした……それを………
「…………リリアンナ様?」
思わずその名をつぶやいてしまった。
「さすがブロアだね?ロザンナはリリアンナ嬢と親しくてね、昨日態々ロザンナに話に来たんだよ」
ーーああ、そう言うことね。使用人に話を聞いて、嬉しくてわたくしのことをロザンナ様と二人嘲笑いたかったのね。
納得したおかげでわたくしは冷静でいることが出来た。
「リリアンナ嬢は君がセフィル卿と婚約解消すると一人になると心配していたんだよ、君はあまり友人もいないだろう?」
ーーええ、学園に行く暇もなく執務ばかりに追われていたもの。
「それに宰相も仕事が忙しそうだし、兄のカイラン殿も領地で公爵家の仕事に追われて君のことは二の次だ……君はこの屋敷で一人寂しく暮らすことになる……だから……」
ーーだから?貴方には関係ないことでしょう?
そう言いたいのに、王太子殿下である彼には言えない。
周囲を窺う。もちろん殿下の護衛が数人、周りでわたくし達を見守っている。
この近くには『影』もいるはず。『影』はこのことを陛下に伝えてくれるかしら?自己判断で決めることはないけど、毎日の報告となると膨大なので必要としないことは記録として残すだけになる。
こんなの記録として残すだけなんてされたらとんでもないわ。しっかりご報告してもらわなきゃ。体調最悪なのに……こんな重たいドレスを着せられ座っているのも辛いと言うのに……
「殿下………わたくしの婚約の話は貴方がたには関係のないことです。どうぞお引き取りを」
「関係?もちろんあるに決まっているだろう?」
ーーいやいやありませんけど?
「ブロア、君には側妃として嫁いできて欲しい」
「………お断りいたしますわ」
「えっ?なんで?君は僕を愛しているはずだ。愛する僕のそばにいることが君の幸せだろう?ロザンナのことは気にしなくていい。
たまに君と閨を共にすることも理解してくれるはずだ。彼女には全くと言っていいくらい、政務を行う才能がない。このままでは仕事は溜まっていく一方で減ることはない。
官僚たちが補佐をしてくれてはいるが、追いつけない。君が必要なんだ。それにロザンナは王子を産んでから……その……魅力を感じないんだ」
ーー何言ってるの?この馬鹿王太子!
「わたくしには全く関係ないことですわ。セフィルとの婚約もまだ維持しております。お話はこれでお終いですわ。どうぞお帰りはあちらの扉でございます、誰か殿下をお連れして差し上げてちょうだい」
顔を見知った近衛騎士に視線を向けた。みんなも顔には出さないけど諦めいるわ。
騎士達は顔色を変えることなく頭を下げ殿下のそばに寄る。
「お前達、ブロアの命令を何故聞く?僕はまだブロアに話があるんだ。ブロア、君と離れて分かったんだ、真実の愛より大切なのは昔からそばにいてくれた君なんだと」
「わたくしは貴方を愛したことはありませんわ。婚約者として貴方のおそばに居ただけです、悪女でしかないわたくしが貴方の側妃になるなどあってはならないことですわ、いずれこの国の国王となるお方、正妃であるロザンナ妃を大切にされぜひこの国を導いてください」
ーーその頃にはわたくしはもう居ないのでこの国がどうなろうと構いませんもの。ふふっ。
わたくしを頼らずもっとご自分達で精進なさればいいのに。
「ふざけるな!せっかくこんなところまで来てやったのに!おい、ブロアを王城へ一緒に連れていく。優しく言ってやったのになんだその高慢な態度は!執務室に閉じ込めて部屋から出れないようにして一生働かせてやる!」
「殿下……なんの権限をお持ちでわたくしを捕らえようと言うのでしょう?」
「はあ?僕は王太子だ、僕が言うことが絶対なんだ。お前が城から出て僕がどれだけ苦労させられていると思っているんだ!お前の父親はどんなに僕が頼んでも絶対にお前を王城へ呼ぼうとしない」
ーーお父様がわたくしを呼ばないのはわたくしを嫌っているからだわ。
「殿下………ブロア様を無理やり王城へお連れすることはできません」
近衛騎士の中でも地位が上の隊長が殿下に頭を下げ断りを入れた。
「じゃあ、僕はどうしたらいい?毎日政務に追われ寝る時間も足りない……ブロア、君ならわかるだろう?君が仕事をしてくれればいいだけなんだ、君の欲しがっている宝石をいくらでも買ってやるよ」
「殿下……わたくしは、宝石など欲しいと思っておりません……」
「僕は、どうすればいい?」
「………ひたすらこの国の民のために尽くすのが貴方のお仕事なのでは?」
「いやだ!嫌だ!お前が……婚約破棄などするからいけないんだ!僕の言葉を鵜呑みにして王城から去ったのがいけないんだ!」
「わたくし……体調がすぐれないのでこれで失礼させていただきますわね、近衛騎士の皆様、殿下が落ち着きましたら連れておかえりください」
殿下と話していたら体調がますます悪くなってきた。わたくしはウエラに支えられながら部屋に戻った。
「ブロア様……大丈夫ですか?」
「………しばらく横になりたい…ドレスを脱がせてくれるかしら?」
窮屈なドレスを脱ぐとすぐにベッドに横になった。
殿下も殿下だけど……リリアンナ様はいったいどう言うつもりなのかしら?
わたくしとセフィルの婚約解消の話はまだ進んでいない。それなのにもうこのぶんだと……社交界に噂は広まっていくわ。
婚約解消はいいのだけど面白おかしく噂されてセフィルの立場が悪くなったら……リリアンナ様はそんなことも考えられないのかしら?
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