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さよならのかわりに ブロアとセフィルの恋ーーあなたを愛していますーー
海。
サイロとウエラに説得されてこのままミリナちゃんの屋敷で過ごすことになった。
その代わりきちんと生活費を納めることにした。
先生も医者としてエイリヒ商会で働く人たちの健康管理をすることになった。サイロは屋敷で護衛騎士として働きウエラももちろんメイドとして働き始めた。
わたくしはこの体では何も出来ずサイロに預けたお金から支払うことにした。
「ブロア様……お金など必要ありません」
エイリヒさんは何度も断ったが「それなら仕方がないです。ここにこのまま居ることはできないので出て行きます」と伝えたら、なんとかお金を受け取ってくれることになった。
お世話になるのに強く出てしまって申し訳なかったのだけど、そうでも言わなければお金を受け取ってはくれなかった。
わたくしは体調が良い時はベランダから見える海の景色を絵に書き留めることにした。
「無理はなさらないでください」ウエラが心配して何度も仕事の合間に顔を出してはお小言を言ってくる。
「大丈夫よ、描けると言うことは体調が良い時なの、無理はしないわ。もうみんなに心配かけないようにしないといけないってわかってるわ」
わたくしのことを心配してくれる人がいる。頑張らなくてもこのままのわたくしでいいと言ってくれる。
あとどれくらいの命なのかわからない……だけど少しでもみんなの前では元気なブロアでいたい。
「ブロア様……最近は起きている時間も増えて体調が落ち着いてきました、よかったら一度浜辺に行ってみませんか?」
「えっ?先生……本当にいいの?」
ーーこの街に来てからすぐに熱を出してそのまま体調がすぐれなくて、まだ一度も浜辺に行ったことがなかった。
ミリナちゃんの屋敷は高台にあり海を一望できるのでそれだけで満足していた。でも……浜辺を歩いたり海水に足をつけてみたりしたいと思っていた。
みんなに迷惑をかけると思い、我慢していたのを先生は気がついていたのね。
初めての砂浜、初めて海水に足をつけた。手にとった海水。少し水とは違う気がした。恐る恐る指を舐めたら「しょっぱい!」思わず大きな声が出てしまった。
「あははは、お嬢!思った以上に塩の味がしたでしょう?」
「ええ、サイロも驚いた?」
「俺は、何回も遠征で海にもきていますから」
「そうなんだ、わたくしは……ずっと王都から離れたことがなかったわ……ずっと……いつも時間に追われて……海風って気持ちがいいわね」
ーー考えてみたら公爵家の領地にも行ったことがない。わたくし自身も忙しかったし、誰も旅行に行こうなんて言ってもらったことなんてない。……わたくしがあの国から消えて悲しんでくれる人なんていないのよね……
結局セフィルとは話し合いすらできなくて国を出てきてしまった。せめて……最後はきちんと婚約解消してさよならしたかったのに……
でもお父様はセフィルを気に入っていたから無下にはしないと思うの。セフィル……リリアンナ様はちょっと我儘みたいだけど、彼にとってはそんなところも可愛らしいと思っているのかしら?………幸せになって欲しいわ。ちょっと大変そうだけど。
「ブロア様!見て!貝殻をいっぱい拾ったの!これでアクセサリーを作りましょうよ!」
ミリナちゃんが手にいっぱいの貝殻を見せてくれた。ウエラまでたくさん拾っていた。
「これだけあったら何か作れるかしら?」
「ブロア様に教えてあげる!この辺では貝のネックレスやイヤリングを作って売っているの」
「え?売るの?」
「うん、それ以外にも観光客用に道端に屋台を出してお土産屋さんや焼き魚、焼き貝、エビなんかも焼いて売っているわ」
「行ってみたい!」
「今日はもうここまでです。また体調が良くなったら行きましょう」
「サイロ最近口うるさいおじさんみたいだわ」
口を尖らせて文句を言うと「俺はお嬢を心配してるんです!」と言い返された。
確かに……雨風は気持ちがいいけど、なんだか体が重たい。ひさしぶりの外出にもう体は悲鳴をあげていた。
「ミリナちゃん、また次の機会に行きたいわ。体力がなくてごめんなさい」
「ううん、また次にお出かけする楽しみが増えたんだもの、嬉しい」
ミリナちゃんの優しさにホッとしながら屋敷へと帰った。
青い空と海に癒されながら穏やかな時間だけが過ぎていく。
その代わりきちんと生活費を納めることにした。
先生も医者としてエイリヒ商会で働く人たちの健康管理をすることになった。サイロは屋敷で護衛騎士として働きウエラももちろんメイドとして働き始めた。
わたくしはこの体では何も出来ずサイロに預けたお金から支払うことにした。
「ブロア様……お金など必要ありません」
エイリヒさんは何度も断ったが「それなら仕方がないです。ここにこのまま居ることはできないので出て行きます」と伝えたら、なんとかお金を受け取ってくれることになった。
お世話になるのに強く出てしまって申し訳なかったのだけど、そうでも言わなければお金を受け取ってはくれなかった。
わたくしは体調が良い時はベランダから見える海の景色を絵に書き留めることにした。
「無理はなさらないでください」ウエラが心配して何度も仕事の合間に顔を出してはお小言を言ってくる。
「大丈夫よ、描けると言うことは体調が良い時なの、無理はしないわ。もうみんなに心配かけないようにしないといけないってわかってるわ」
わたくしのことを心配してくれる人がいる。頑張らなくてもこのままのわたくしでいいと言ってくれる。
あとどれくらいの命なのかわからない……だけど少しでもみんなの前では元気なブロアでいたい。
「ブロア様……最近は起きている時間も増えて体調が落ち着いてきました、よかったら一度浜辺に行ってみませんか?」
「えっ?先生……本当にいいの?」
ーーこの街に来てからすぐに熱を出してそのまま体調がすぐれなくて、まだ一度も浜辺に行ったことがなかった。
ミリナちゃんの屋敷は高台にあり海を一望できるのでそれだけで満足していた。でも……浜辺を歩いたり海水に足をつけてみたりしたいと思っていた。
みんなに迷惑をかけると思い、我慢していたのを先生は気がついていたのね。
初めての砂浜、初めて海水に足をつけた。手にとった海水。少し水とは違う気がした。恐る恐る指を舐めたら「しょっぱい!」思わず大きな声が出てしまった。
「あははは、お嬢!思った以上に塩の味がしたでしょう?」
「ええ、サイロも驚いた?」
「俺は、何回も遠征で海にもきていますから」
「そうなんだ、わたくしは……ずっと王都から離れたことがなかったわ……ずっと……いつも時間に追われて……海風って気持ちがいいわね」
ーー考えてみたら公爵家の領地にも行ったことがない。わたくし自身も忙しかったし、誰も旅行に行こうなんて言ってもらったことなんてない。……わたくしがあの国から消えて悲しんでくれる人なんていないのよね……
結局セフィルとは話し合いすらできなくて国を出てきてしまった。せめて……最後はきちんと婚約解消してさよならしたかったのに……
でもお父様はセフィルを気に入っていたから無下にはしないと思うの。セフィル……リリアンナ様はちょっと我儘みたいだけど、彼にとってはそんなところも可愛らしいと思っているのかしら?………幸せになって欲しいわ。ちょっと大変そうだけど。
「ブロア様!見て!貝殻をいっぱい拾ったの!これでアクセサリーを作りましょうよ!」
ミリナちゃんが手にいっぱいの貝殻を見せてくれた。ウエラまでたくさん拾っていた。
「これだけあったら何か作れるかしら?」
「ブロア様に教えてあげる!この辺では貝のネックレスやイヤリングを作って売っているの」
「え?売るの?」
「うん、それ以外にも観光客用に道端に屋台を出してお土産屋さんや焼き魚、焼き貝、エビなんかも焼いて売っているわ」
「行ってみたい!」
「今日はもうここまでです。また体調が良くなったら行きましょう」
「サイロ最近口うるさいおじさんみたいだわ」
口を尖らせて文句を言うと「俺はお嬢を心配してるんです!」と言い返された。
確かに……雨風は気持ちがいいけど、なんだか体が重たい。ひさしぶりの外出にもう体は悲鳴をあげていた。
「ミリナちゃん、また次の機会に行きたいわ。体力がなくてごめんなさい」
「ううん、また次にお出かけする楽しみが増えたんだもの、嬉しい」
ミリナちゃんの優しさにホッとしながら屋敷へと帰った。
青い空と海に癒されながら穏やかな時間だけが過ぎていく。
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