15 / 41
さよならのかわりに ブロアとセフィルの恋ーーあなたを愛していますーー
お父様とセフィルとリリアンナ様と。
「何故ブロアがモリス国へ行っていないんだ?」
「……そ、それは……」
執事には確かにブロアを次の日にはこの屋敷から連れ出すように言った。しかし、それは妻の実家があるモリス国へ送るようにと伝えていたはずだ。
ひと月も経つのにまだ着いていないと妻の実家から連絡が入っていたのにその手紙すらわたしには届いていなかった。
あまりにも心配した妻の実家から使いの者がやってきて全てが明るみに出た。
執事は額の汗を必死で拭きながらなんとか言い訳をしようとしていた。
「ずっとおかしいと思ってはいたんだ……しかしまさか使用人達がブロアに対して嫌がらせをしたり仕事を放棄しているなど思ってはいなかった……」
わたしが屋敷にいる時は使用人達はよく働いてくれた。ただわたしの秘書からの報告でブロアに対してはあまり良い感情を持っていないと聞いていた。でもそれが態度に出ているとは思っていなかった。
わたしは殿下がこれ以上ブロアに付き纏ったり無理やり王城に軟禁しないように妻の実家に避難させるつもりだった。
それがいつの間にか話が変わり追い出すことになっていた。
「ブロアはどこへ行ったんだ?サイロは?ブロアの護衛騎士ならなにか知ってるだろう?」
「そ、それが……ブロア様がいなくなって……サイロとウエラはここをやめて姿を消してしまったんです」
「二人はブロアを探したんだろう」
「…………そうだと思います」
「ブロアがどこに行ったか探し出すんだ」
公爵家の騎士団にブロアを探し出すように言った。使用人達は一人ずつ取り調べ、ブロアに対してあまりにも酷い態度をとった者は警ら隊に突き出すことにした。
特にブロアのものを盗んだ者達は許してはおけない。それはこの屋敷を任せていた執事やメイド長達も盗みを働いていて見逃すことはできない。
仕事ばかりして何も見えていなかったわたしはこの屋敷でのブロアの現状を知って愕然とするしかなかった。
ーーーー
何度手紙を書いても返事が来ない。
遠征からひと月。
あと少しで帰ることができる。帰ったらとにかく急いでブロアに会いに行こう。
リリアンナからはしつこく手紙が送られて来た。幼馴染で無下には出来ないが、愛してもいない女性にあまり優しくしすぎるのは誤解を招くだけ。俺はそんな当たり前のことに気がつかず、リリアンナを妹のように可愛がってブロアを傷つけていた。
こんな俺だから婚約を解消しようと言われてしまった。
俺はみんなと帰ると時間がかかるため、ひと足先に帰ることにした。
「申し訳ありません、婚約者と全く連絡が取れません。急ぎ会いに行きたいのです」
上官に素直に頭を下げた。
婚約解消を告げられ離れて会えない時間が俺にとってはかなり苦痛で、そして、自分のして来たことを反省する時間でもあった。
話すのが苦手でブロアに対して愛しているのに上手く態度に出せなかった。リリアンナとは幼馴染で気を使うこともなく話せた。それがさらにブロアに誤解を生むことになったのに、気がついたのが今。
今更ながら反省しかない。ブロアにどれだけ謝ってどれだけ言葉を尽くしてももう遅いのかもしれない。それでも……諦めたくない。
俺はまだブロアの病気のことも知らず、国から出てしまったことも知らず、急ぎ馬を走らせブロアに会いに向かっていた。
ーーーー
酷い!
セフィルったらいくら手紙を送ってもまともに返事が来なくなった。
なにかあったんじゃないかしら?そう思って心配でたまらないのに。
やっと邪魔なブロア様がこの国から出て行った。
ロザンナ妃とは幼い頃から親しくさせてもらっている。
ブロア様が王太子殿下に婚約破棄されたことも知っていた。そしてわたしの大切なセフィルを奪った。
だからロザンナ妃に囁いたのだ。
ブロア様に執務を押し付けたらいいと。ロザンナ妃は可愛い息子と愛する夫のためだけに生きて、ブロア様に面倒な仕事を押し付ければいいのだと。
『ロザンナ様……そんなにお疲れで……体調は大丈夫ですかぁ?体のことが心配なんですぅ。そう言えば……ブロア様………セフィルと婚約解消するらしいんです……もう誰も相手にしなくなるでしょうね?それならいっそ王城に呼んで彼女に仕事を差し上げたらいいのではぁ?そしたらロザンナ様も楽になるし、王太子殿下もロザンナ様との時間をゆっくりと取ることができますよ?』
心配でたまらないの。と瞳をうるうるさせてロザンナ妃に言えば、少し考え込んでいたロザンナ妃。
その後、ブロア様の屋敷に殿下が来たことはブロア様の使用人に聞いた。公爵家の使用人はブロア様を嫌っているし見下している。
お金を握らせればいくらでも情報を渡してくれるし、お願いすれば楽しんでブロア様を冷遇してくれる。
いい気味よ。わたしの大切なセフィルを奪ったんだから。
執事に今回は多めにお金を渡したら、セフィルからの手紙も始末してくれた。ブロア様に届くことはない。
ふふ、わたしの思い通りにならないことなんて何もないの。
まさかブロア様が余命一年と宣告されているなんて……執事に聞いた時は……思わず笑ってしまった。
執事はブロア様を追い出したらしい。父親である公爵様は使用人がどんなにブロア様に酷い態度をとっても気がつかないらしい。ブロア様も泣きつくこともないと聞いた。
悪女と呼ばれるブロア様らしい。
このままのたれ死ねばいいのよ。
「……そ、それは……」
執事には確かにブロアを次の日にはこの屋敷から連れ出すように言った。しかし、それは妻の実家があるモリス国へ送るようにと伝えていたはずだ。
ひと月も経つのにまだ着いていないと妻の実家から連絡が入っていたのにその手紙すらわたしには届いていなかった。
あまりにも心配した妻の実家から使いの者がやってきて全てが明るみに出た。
執事は額の汗を必死で拭きながらなんとか言い訳をしようとしていた。
「ずっとおかしいと思ってはいたんだ……しかしまさか使用人達がブロアに対して嫌がらせをしたり仕事を放棄しているなど思ってはいなかった……」
わたしが屋敷にいる時は使用人達はよく働いてくれた。ただわたしの秘書からの報告でブロアに対してはあまり良い感情を持っていないと聞いていた。でもそれが態度に出ているとは思っていなかった。
わたしは殿下がこれ以上ブロアに付き纏ったり無理やり王城に軟禁しないように妻の実家に避難させるつもりだった。
それがいつの間にか話が変わり追い出すことになっていた。
「ブロアはどこへ行ったんだ?サイロは?ブロアの護衛騎士ならなにか知ってるだろう?」
「そ、それが……ブロア様がいなくなって……サイロとウエラはここをやめて姿を消してしまったんです」
「二人はブロアを探したんだろう」
「…………そうだと思います」
「ブロアがどこに行ったか探し出すんだ」
公爵家の騎士団にブロアを探し出すように言った。使用人達は一人ずつ取り調べ、ブロアに対してあまりにも酷い態度をとった者は警ら隊に突き出すことにした。
特にブロアのものを盗んだ者達は許してはおけない。それはこの屋敷を任せていた執事やメイド長達も盗みを働いていて見逃すことはできない。
仕事ばかりして何も見えていなかったわたしはこの屋敷でのブロアの現状を知って愕然とするしかなかった。
ーーーー
何度手紙を書いても返事が来ない。
遠征からひと月。
あと少しで帰ることができる。帰ったらとにかく急いでブロアに会いに行こう。
リリアンナからはしつこく手紙が送られて来た。幼馴染で無下には出来ないが、愛してもいない女性にあまり優しくしすぎるのは誤解を招くだけ。俺はそんな当たり前のことに気がつかず、リリアンナを妹のように可愛がってブロアを傷つけていた。
こんな俺だから婚約を解消しようと言われてしまった。
俺はみんなと帰ると時間がかかるため、ひと足先に帰ることにした。
「申し訳ありません、婚約者と全く連絡が取れません。急ぎ会いに行きたいのです」
上官に素直に頭を下げた。
婚約解消を告げられ離れて会えない時間が俺にとってはかなり苦痛で、そして、自分のして来たことを反省する時間でもあった。
話すのが苦手でブロアに対して愛しているのに上手く態度に出せなかった。リリアンナとは幼馴染で気を使うこともなく話せた。それがさらにブロアに誤解を生むことになったのに、気がついたのが今。
今更ながら反省しかない。ブロアにどれだけ謝ってどれだけ言葉を尽くしてももう遅いのかもしれない。それでも……諦めたくない。
俺はまだブロアの病気のことも知らず、国から出てしまったことも知らず、急ぎ馬を走らせブロアに会いに向かっていた。
ーーーー
酷い!
セフィルったらいくら手紙を送ってもまともに返事が来なくなった。
なにかあったんじゃないかしら?そう思って心配でたまらないのに。
やっと邪魔なブロア様がこの国から出て行った。
ロザンナ妃とは幼い頃から親しくさせてもらっている。
ブロア様が王太子殿下に婚約破棄されたことも知っていた。そしてわたしの大切なセフィルを奪った。
だからロザンナ妃に囁いたのだ。
ブロア様に執務を押し付けたらいいと。ロザンナ妃は可愛い息子と愛する夫のためだけに生きて、ブロア様に面倒な仕事を押し付ければいいのだと。
『ロザンナ様……そんなにお疲れで……体調は大丈夫ですかぁ?体のことが心配なんですぅ。そう言えば……ブロア様………セフィルと婚約解消するらしいんです……もう誰も相手にしなくなるでしょうね?それならいっそ王城に呼んで彼女に仕事を差し上げたらいいのではぁ?そしたらロザンナ様も楽になるし、王太子殿下もロザンナ様との時間をゆっくりと取ることができますよ?』
心配でたまらないの。と瞳をうるうるさせてロザンナ妃に言えば、少し考え込んでいたロザンナ妃。
その後、ブロア様の屋敷に殿下が来たことはブロア様の使用人に聞いた。公爵家の使用人はブロア様を嫌っているし見下している。
お金を握らせればいくらでも情報を渡してくれるし、お願いすれば楽しんでブロア様を冷遇してくれる。
いい気味よ。わたしの大切なセフィルを奪ったんだから。
執事に今回は多めにお金を渡したら、セフィルからの手紙も始末してくれた。ブロア様に届くことはない。
ふふ、わたしの思い通りにならないことなんて何もないの。
まさかブロア様が余命一年と宣告されているなんて……執事に聞いた時は……思わず笑ってしまった。
執事はブロア様を追い出したらしい。父親である公爵様は使用人がどんなにブロア様に酷い態度をとっても気がつかないらしい。ブロア様も泣きつくこともないと聞いた。
悪女と呼ばれるブロア様らしい。
このままのたれ死ねばいいのよ。
あなたにおすすめの小説
家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。
蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
私の手からこぼれ落ちるもの
アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。
優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。
でもそれは偽りだった。
お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。
お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。
心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。
私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。
こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら…
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。
❈ ざまぁはありません。
ふたりの愛は「真実」らしいので、心の声が聞こえる魔道具をプレゼントしました
もるだ
恋愛
伯爵夫人になるために魔術の道を諦め厳しい教育を受けていたエリーゼに告げられたのは婚約破棄でした。「アシュリーと僕は真実の愛で結ばれてるんだ」というので、元婚約者たちには、心の声が聞こえる魔道具をプレゼントしてあげます。
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
4人の女
猫枕
恋愛
カトリーヌ・スタール侯爵令嬢、セリーヌ・ラルミナ伯爵令嬢、イネス・フーリエ伯爵令嬢、ミレーユ・リオンヌ子爵令息夫人。
うららかな春の日の午後、4人の見目麗しき女性達の優雅なティータイム。
このご婦人方には共通点がある。
かつて4人共が、ある一人の男性の妻であった。
『氷の貴公子』の異名を持つ男。
ジルベール・タレーラン公爵令息。
絶対的権力と富を有するタレーラン公爵家の唯一の後継者で絶世の美貌を持つ男。
しかしてその本性は冷酷無慈悲の女嫌い。
この国きっての選りすぐりの4人のご令嬢達は揃いも揃ってタレーラン家を叩き出された仲間なのだ。
こうやって集まるのはこれで2回目なのだが、やはり、話は自然と共通の話題、あの男のことになるわけで・・・。