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さよならのかわりに ブロアとセフィルの恋ーーあなたを愛していますーー
セフィルとの対話。
「これは?」
セフィルがテーブルに置かれた書類をみて問いかけてくる。
「あなたの愛するリリアンナ様がわたくしのところへ訪れて、これを置いていかれました。これをあなたは取りにこられたのでしょう?」
ーーリリアンナ様が取りにくると言ったけどまだ来られないのはそういうことよね?
「これは一体……なんでリリアンナが?」
袋から取り出した書類をみて愕然とするセフィル。
ーーあら?あなたが頼んだのではないの?
リリアンナ様の暴走かしら?
「リリアンナ様はいかにあなたに愛されているのか切々と訴えてくださったわ。あなたはリリアンナ様の頼みならなんでも聞いてくださる優しい方なのね。それにリリアンナ様をとても愛しているのよね?」
「違う……」
「違わないわ。わたくし……あなたがリリアンナ様と二人で仲良く過ごす姿を見たことがあるのよ。わたくしとお会いする約束をした日にあなたはどうしても外せない用事があると断ってきたことがあったでしょう?」
「………いつ?」
「ふふっ、そうね、婚約して何度となく断られているもの、いつだったかすら覚えていないわよね?」
ーーわたくしったら……馬鹿よね。少しは悪かったと思ってくれているなんて期待していたわ。
「突然のスコールであなたはリリアンナ様の肩を抱いて寄り添いながらカフェへ入っていくのを見たわ……ううん、わたくしの目の前を二人は通り過ぎたの……リリアンナ様は気がついてわたくしを見てにこりと微笑んだわ」
「あ、あれは……母上にリリアンナを迎えに行けと頼まれて……断ったが、行かなければリリアンナが帰らないと泣いていると言われて……仕方なく……」
「そうなの……断りを入れられた後、なぜかあなた達がいる場所へ行くようにと指示されたのはあなたのお母様の仕業だったのかしら?」
あの時、ウエラが手紙を持ってきた。伯爵家の印が押された手紙を。
おかしな内容だった。でもセフィルに会えなくなって、退屈だったからサイロとウエラを連れて街へ行くことにした。
少し離れたところからその指示された時間にその場所を覗いたら二人の寄り添う姿を見せられた。
「すまない……俺は君を傷つけていたんだな。リリアンナは我儘なところもあるけど俺にとっては妹のような気持ちで可愛いところもある、だからついいうことを聞いてしまう。
それが君を傷つけているとも考えていなかった……だがリリアンナのブロアへの言葉遣いや態度を見ていて、間違えたのは俺なんだと気がついた……君が婚約解消したいと言ってきてやっとわかったんだ……」
「そう……あなたはリリアンナ様を愛しているのだと思っていたわ」
「違う、違うんだ。ずっと愛しているのはあなただけ……幼い頃からあなただけを見ていた……」
「幼い頃から?」
「君は覚えていないと思う……実は……」
子供の頃出会った頃の話を聞いた。本音を言うと全く覚えていない。そんなことあったかしら?
「そうなの……セフィル……ううん、ブレイシャス卿……伝わらないわ……ごめんなさい、今更なの、もう遅すぎたの……リリアンナ様の気持ちを受け止めてあげて、幸せになってちょうだい」
ーー今更誤解だからと言って、「はいそうですか」とはならない。
だってもうわたくしの命は後少し……先生が必死に頑張ってくださっているけど……もう間に合わないだろう……
だって自分でわかるもの。体が怠くて……本当はこうして座っているのもきつい……
早くセフィルとの会話も終わらせて帰ってもらわなければ……情けない姿を見せてしまいそう。
わたくしは気丈に振る舞いながらも手が震えていた。
「話は終わったわ……そろそろ次の用事があるので帰ってもらってもいいかしら?」
冷たく言い放つ。
ーーもう終わったの。セフィルにそう伝えたつもり。
「まだ話は終わっていない。婚約解消は一方的過ぎる。俺は全く受け入れていない。納得していないんだ」
「ああ、もう!いいから帰って!」
思わず本音が出てしまった。
ポカンとしているセフィル。
淑女にあるまじき発言だったわ。
セフィルがテーブルに置かれた書類をみて問いかけてくる。
「あなたの愛するリリアンナ様がわたくしのところへ訪れて、これを置いていかれました。これをあなたは取りにこられたのでしょう?」
ーーリリアンナ様が取りにくると言ったけどまだ来られないのはそういうことよね?
「これは一体……なんでリリアンナが?」
袋から取り出した書類をみて愕然とするセフィル。
ーーあら?あなたが頼んだのではないの?
リリアンナ様の暴走かしら?
「リリアンナ様はいかにあなたに愛されているのか切々と訴えてくださったわ。あなたはリリアンナ様の頼みならなんでも聞いてくださる優しい方なのね。それにリリアンナ様をとても愛しているのよね?」
「違う……」
「違わないわ。わたくし……あなたがリリアンナ様と二人で仲良く過ごす姿を見たことがあるのよ。わたくしとお会いする約束をした日にあなたはどうしても外せない用事があると断ってきたことがあったでしょう?」
「………いつ?」
「ふふっ、そうね、婚約して何度となく断られているもの、いつだったかすら覚えていないわよね?」
ーーわたくしったら……馬鹿よね。少しは悪かったと思ってくれているなんて期待していたわ。
「突然のスコールであなたはリリアンナ様の肩を抱いて寄り添いながらカフェへ入っていくのを見たわ……ううん、わたくしの目の前を二人は通り過ぎたの……リリアンナ様は気がついてわたくしを見てにこりと微笑んだわ」
「あ、あれは……母上にリリアンナを迎えに行けと頼まれて……断ったが、行かなければリリアンナが帰らないと泣いていると言われて……仕方なく……」
「そうなの……断りを入れられた後、なぜかあなた達がいる場所へ行くようにと指示されたのはあなたのお母様の仕業だったのかしら?」
あの時、ウエラが手紙を持ってきた。伯爵家の印が押された手紙を。
おかしな内容だった。でもセフィルに会えなくなって、退屈だったからサイロとウエラを連れて街へ行くことにした。
少し離れたところからその指示された時間にその場所を覗いたら二人の寄り添う姿を見せられた。
「すまない……俺は君を傷つけていたんだな。リリアンナは我儘なところもあるけど俺にとっては妹のような気持ちで可愛いところもある、だからついいうことを聞いてしまう。
それが君を傷つけているとも考えていなかった……だがリリアンナのブロアへの言葉遣いや態度を見ていて、間違えたのは俺なんだと気がついた……君が婚約解消したいと言ってきてやっとわかったんだ……」
「そう……あなたはリリアンナ様を愛しているのだと思っていたわ」
「違う、違うんだ。ずっと愛しているのはあなただけ……幼い頃からあなただけを見ていた……」
「幼い頃から?」
「君は覚えていないと思う……実は……」
子供の頃出会った頃の話を聞いた。本音を言うと全く覚えていない。そんなことあったかしら?
「そうなの……セフィル……ううん、ブレイシャス卿……伝わらないわ……ごめんなさい、今更なの、もう遅すぎたの……リリアンナ様の気持ちを受け止めてあげて、幸せになってちょうだい」
ーー今更誤解だからと言って、「はいそうですか」とはならない。
だってもうわたくしの命は後少し……先生が必死に頑張ってくださっているけど……もう間に合わないだろう……
だって自分でわかるもの。体が怠くて……本当はこうして座っているのもきつい……
早くセフィルとの会話も終わらせて帰ってもらわなければ……情けない姿を見せてしまいそう。
わたくしは気丈に振る舞いながらも手が震えていた。
「話は終わったわ……そろそろ次の用事があるので帰ってもらってもいいかしら?」
冷たく言い放つ。
ーーもう終わったの。セフィルにそう伝えたつもり。
「まだ話は終わっていない。婚約解消は一方的過ぎる。俺は全く受け入れていない。納得していないんだ」
「ああ、もう!いいから帰って!」
思わず本音が出てしまった。
ポカンとしているセフィル。
淑女にあるまじき発言だったわ。
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