41 / 41
短編
愛していないから大丈夫です 後編
ダディアンは婚約解消してから何故か学校に行くと絡んでくる。
「シャルル!今日のランチ一緒にどうかな?」
「わたし友達と約束があるから」
「じゃあ放課後勉強一緒にやらないか?」
「今日はお祖父様のお仕事の手伝いがあるの。それよりもエルザと仲良くした方がいいんじゃないかな?婚約者でしょう?」
「エルザは………」
ダディアンが口を尖らせて不満そうな顔をした。
最近のエルザはダディアンに興味がないみたい。わたしから婚約者を奪う行程が楽しかっただけで、ダディアンが婚約者になってしまえばもう彼のことはどうでもいいらしい。
それよりも今はわたしの目の前で……
「リラン様ぁ!」
わたしがリランと仲がいいと知るとリランのお尻を追っかけている。
わたしの隣に立っていたリランは「君、婚約者がいるだろう?あまり人前で他の男に声をかけるのはやめた方がいいと思うよ」と苦笑いをしていた。
「大丈夫!」
元気にニコニコ微笑むエルザ。
「リラン様ったらわたしのことを心配してくださるの?嬉しい!でもぉ、大丈夫ですよ?」
エルザはそう言うと首をコクンと傾け両手を握りリランに可愛く微笑んだ。
ーーうわっ、天使と美男子、絵になる!!
わたしが黙って二人の姿を目を輝かせて見つめていると隣でリランが肘でわたしをツンツンと突いてきた。
ーーうん?
ツンツン。
ーーうん?
ーー助けろ!
小声でリランがわたしに言った。
ーー天使と美男子、最高よ?
ーーざけんな、お前の妹だろう?
ーーえ?もう赤の他人よ?
ーーいいから、助けろ!この女、話が通じない!頭の中がお花畑じゃないのか?
ーーはああああ~
何度目のため息かしら?
「…………エルザ嬢。リランにあまり親しく話しかけるのは婚約者がいる者としていかがなものかと思われますわ。それもすぐそばには婚約者様がそこにいらっしゃるのに、目の前で他の男の人に媚を売るなんて」
「あら?そこにいるのは元お姉様じゃない?ダディアンならあなたにお返しするわ。もう要らないから」
エルザがダディアンをチラリと振り返った。その言葉に固まったのはダディアンだった。
「そ、そんな……」
ダディアンだってわたしに媚を売ってなんとかわたしと親しくなろうとしていた。
多分エルザの両親の侯爵家と関係を結んでもなんのメリットもないことがわかったから。まあ、エルザと婚約した後にわかったから今頃慌てているみたい。
だって侯爵家の財産のほとんどはわたしが引き継ぐんだもの。お祖父様が別で持っている伯爵の地位をわたしが受け継ぐことになっているから。
これから先ダディアンの侯爵家はあの両親からたかられる日々が始まるであろうことは誰もが気づいているだろう。
気がついていないのはエルザだけ。
リランがエルザに恋することはないだろうし(わたしのそばで見てるものね、あの子の性格)エルザがダディアンと婚約解消することはない。
だってあの両親、エルザとダディアンに肉体関係があることを知っているから、娘に傷をつけたと言ってダディアンの実家に脅迫まがいなことを言って無理やり婚約させたんだもの。
「わたしとダディアンはダディアンの浮気という有責で婚約を解消したの。一度解消されればもう二度と婚約は結ぶことはできない、そんなことも知らないの?」
「え?なに、それ?じゃあ、わたしもダディアンと解消するわ!リラン様ぁ!!わたしと婚約できるって!嬉しいでしょう?」
ふふふっと笑顔でリランに近寄ろうとするエルザの手をサッと避けたリランはわたしの体を抱き寄せた。
「俺の婚約者はここにいるシャルルだ。君はそのお花畑を早く治さないとダディアンにすら捨てられるぞ。あ、でも、君たち、もうそういう仲だから離れることはできないのかな?」
「な、な、なんで、そのことを?」
顔を真っ青にして小刻みに震えるエルザは周囲を見渡した。
こちらをチラチラと窺ってた生徒達は一斉に目を逸らした。
エルザとダディアンが「い、行こう」「え、ええ」と焦ってその場から離れた。
「リラン、流石にそれは言い過ぎじゃない?」
「俺は『そういう仲』って言っただけだよ?いつもイチャイチャしてとても仲が良いっていうことしか言ってないつもりだったんだけど他にあるの?」
リランはニヤリと笑うと周りの生徒達に聞こえるように言った。
わたしはまたため息をついて「で、どうしていつのまに、わたしがリランの婚約者になったのかしら?」と聞いた。
そんな話聞いていないし、わたしはもう婚約者なんて懲り懲りだった。
愛のない婚約なんてしても面倒なだけだし、そんなことに時間と気持ちがとられるなら、仕事で成果を出した方がよっぽどいいもの。
「うん?君のお祖父様から聞いていないの?君がお祖父様の財産を引き継ぐにはそれなりに優秀な相方を見つけなければいけない。そこで選ばれたのが俺だよ?」
「リランが?何故?」
「そんなの決まってるよ。俺より優秀な人材なんて簡単に見つからないからね。俺が君のお祖父様に自分から手をあげたんだ」
「リランって、わたしのこと好きなの?」
「え?そんなの当たり前だろう?」
「当たり前?」
「ずっと君に何かと理由をつけて話しかけてきたじゃないか?」
「そういえば……話してたわよね?わたしがいつも一人で気の毒だからかと思ってたわ」
「最初はね?だけど君が努力家なところも俺に負けないように必死で頑張る姿も可愛くて、好感が持てるようになって、どうせならさっさとあの男と婚約解消すればいいと思って、あの二人をそれぞれ放課後に用事あるからと呼び出して、教室で二人待たせたことがあるんだ。
放課後の誰もいない静かな教室、最高のシュチュエーションだと思わない?」
リランは思い出したように笑った。
「二人は気がつけばハアハアと声を出して廊下にまで声が聞こえていたよ。
何人もがその声の理由とその声が誰かわかってた。だからあの二人は婚約解消してもどちらも次の相手なんて見つからないよ。見つかったとしても何かしら問題のある人達じゃない?」
「そ、そう」
なんともいえない気持ちになって返事をするとリランが「だから、ね?」とわたしの手を握った。
「シャルル、俺の嫁さんになってよ。ずっと君を守るのは俺しかいない、ずっと君を守るために俺はずっと君より優秀でいようと頑張ったんだ」
リランはいつもふざけて話すのに今はとても真面目でとても真摯で、わたしの心に……
「いやいや、無理だよ。リランのこと好きじゃないもの。わたし恋愛脳にはなれそうもないわ」
「いいよ、俺がずっと君のそばにいて君のそばで愛し続けるから。君は好きなことをして好きに過ごせばいいよ」
「…………わたしの仕事を支えてくれる?」
「当たり前だよ、そのために頑張ってきたんだ。君のサポートなら完璧にできると思う。もちろん子育てもしっかり頑張るつもりだから、ね?」
卒業してわたしはリランのお嫁さんになった。
そしてリランは約束した子育ても仕事も完璧だった。そしてわたしのことを一番愛してくれた。
そんなリランを愛さないわけがない。
わたしも気がつけばリランを世界で一番愛してしまった。
あ、ちなみに、お祖父様は一切の援助はしないと完全に断ち切ってしまったので
両親とエルザはダディアンにかなりお金の無心をしているらしい。
終わり
「シャルル!今日のランチ一緒にどうかな?」
「わたし友達と約束があるから」
「じゃあ放課後勉強一緒にやらないか?」
「今日はお祖父様のお仕事の手伝いがあるの。それよりもエルザと仲良くした方がいいんじゃないかな?婚約者でしょう?」
「エルザは………」
ダディアンが口を尖らせて不満そうな顔をした。
最近のエルザはダディアンに興味がないみたい。わたしから婚約者を奪う行程が楽しかっただけで、ダディアンが婚約者になってしまえばもう彼のことはどうでもいいらしい。
それよりも今はわたしの目の前で……
「リラン様ぁ!」
わたしがリランと仲がいいと知るとリランのお尻を追っかけている。
わたしの隣に立っていたリランは「君、婚約者がいるだろう?あまり人前で他の男に声をかけるのはやめた方がいいと思うよ」と苦笑いをしていた。
「大丈夫!」
元気にニコニコ微笑むエルザ。
「リラン様ったらわたしのことを心配してくださるの?嬉しい!でもぉ、大丈夫ですよ?」
エルザはそう言うと首をコクンと傾け両手を握りリランに可愛く微笑んだ。
ーーうわっ、天使と美男子、絵になる!!
わたしが黙って二人の姿を目を輝かせて見つめていると隣でリランが肘でわたしをツンツンと突いてきた。
ーーうん?
ツンツン。
ーーうん?
ーー助けろ!
小声でリランがわたしに言った。
ーー天使と美男子、最高よ?
ーーざけんな、お前の妹だろう?
ーーえ?もう赤の他人よ?
ーーいいから、助けろ!この女、話が通じない!頭の中がお花畑じゃないのか?
ーーはああああ~
何度目のため息かしら?
「…………エルザ嬢。リランにあまり親しく話しかけるのは婚約者がいる者としていかがなものかと思われますわ。それもすぐそばには婚約者様がそこにいらっしゃるのに、目の前で他の男の人に媚を売るなんて」
「あら?そこにいるのは元お姉様じゃない?ダディアンならあなたにお返しするわ。もう要らないから」
エルザがダディアンをチラリと振り返った。その言葉に固まったのはダディアンだった。
「そ、そんな……」
ダディアンだってわたしに媚を売ってなんとかわたしと親しくなろうとしていた。
多分エルザの両親の侯爵家と関係を結んでもなんのメリットもないことがわかったから。まあ、エルザと婚約した後にわかったから今頃慌てているみたい。
だって侯爵家の財産のほとんどはわたしが引き継ぐんだもの。お祖父様が別で持っている伯爵の地位をわたしが受け継ぐことになっているから。
これから先ダディアンの侯爵家はあの両親からたかられる日々が始まるであろうことは誰もが気づいているだろう。
気がついていないのはエルザだけ。
リランがエルザに恋することはないだろうし(わたしのそばで見てるものね、あの子の性格)エルザがダディアンと婚約解消することはない。
だってあの両親、エルザとダディアンに肉体関係があることを知っているから、娘に傷をつけたと言ってダディアンの実家に脅迫まがいなことを言って無理やり婚約させたんだもの。
「わたしとダディアンはダディアンの浮気という有責で婚約を解消したの。一度解消されればもう二度と婚約は結ぶことはできない、そんなことも知らないの?」
「え?なに、それ?じゃあ、わたしもダディアンと解消するわ!リラン様ぁ!!わたしと婚約できるって!嬉しいでしょう?」
ふふふっと笑顔でリランに近寄ろうとするエルザの手をサッと避けたリランはわたしの体を抱き寄せた。
「俺の婚約者はここにいるシャルルだ。君はそのお花畑を早く治さないとダディアンにすら捨てられるぞ。あ、でも、君たち、もうそういう仲だから離れることはできないのかな?」
「な、な、なんで、そのことを?」
顔を真っ青にして小刻みに震えるエルザは周囲を見渡した。
こちらをチラチラと窺ってた生徒達は一斉に目を逸らした。
エルザとダディアンが「い、行こう」「え、ええ」と焦ってその場から離れた。
「リラン、流石にそれは言い過ぎじゃない?」
「俺は『そういう仲』って言っただけだよ?いつもイチャイチャしてとても仲が良いっていうことしか言ってないつもりだったんだけど他にあるの?」
リランはニヤリと笑うと周りの生徒達に聞こえるように言った。
わたしはまたため息をついて「で、どうしていつのまに、わたしがリランの婚約者になったのかしら?」と聞いた。
そんな話聞いていないし、わたしはもう婚約者なんて懲り懲りだった。
愛のない婚約なんてしても面倒なだけだし、そんなことに時間と気持ちがとられるなら、仕事で成果を出した方がよっぽどいいもの。
「うん?君のお祖父様から聞いていないの?君がお祖父様の財産を引き継ぐにはそれなりに優秀な相方を見つけなければいけない。そこで選ばれたのが俺だよ?」
「リランが?何故?」
「そんなの決まってるよ。俺より優秀な人材なんて簡単に見つからないからね。俺が君のお祖父様に自分から手をあげたんだ」
「リランって、わたしのこと好きなの?」
「え?そんなの当たり前だろう?」
「当たり前?」
「ずっと君に何かと理由をつけて話しかけてきたじゃないか?」
「そういえば……話してたわよね?わたしがいつも一人で気の毒だからかと思ってたわ」
「最初はね?だけど君が努力家なところも俺に負けないように必死で頑張る姿も可愛くて、好感が持てるようになって、どうせならさっさとあの男と婚約解消すればいいと思って、あの二人をそれぞれ放課後に用事あるからと呼び出して、教室で二人待たせたことがあるんだ。
放課後の誰もいない静かな教室、最高のシュチュエーションだと思わない?」
リランは思い出したように笑った。
「二人は気がつけばハアハアと声を出して廊下にまで声が聞こえていたよ。
何人もがその声の理由とその声が誰かわかってた。だからあの二人は婚約解消してもどちらも次の相手なんて見つからないよ。見つかったとしても何かしら問題のある人達じゃない?」
「そ、そう」
なんともいえない気持ちになって返事をするとリランが「だから、ね?」とわたしの手を握った。
「シャルル、俺の嫁さんになってよ。ずっと君を守るのは俺しかいない、ずっと君を守るために俺はずっと君より優秀でいようと頑張ったんだ」
リランはいつもふざけて話すのに今はとても真面目でとても真摯で、わたしの心に……
「いやいや、無理だよ。リランのこと好きじゃないもの。わたし恋愛脳にはなれそうもないわ」
「いいよ、俺がずっと君のそばにいて君のそばで愛し続けるから。君は好きなことをして好きに過ごせばいいよ」
「…………わたしの仕事を支えてくれる?」
「当たり前だよ、そのために頑張ってきたんだ。君のサポートなら完璧にできると思う。もちろん子育てもしっかり頑張るつもりだから、ね?」
卒業してわたしはリランのお嫁さんになった。
そしてリランは約束した子育ても仕事も完璧だった。そしてわたしのことを一番愛してくれた。
そんなリランを愛さないわけがない。
わたしも気がつけばリランを世界で一番愛してしまった。
あ、ちなみに、お祖父様は一切の援助はしないと完全に断ち切ってしまったので
両親とエルザはダディアンにかなりお金の無心をしているらしい。
終わり
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(35件)
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった
歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。
だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」
追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。
一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。
誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。
「その言葉は、もう翻訳できません」
誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
あの侯爵様は本当のお飾りの軽い神輿でしたのね😆
弟はまだ小さいので矯正出来そうですね🤣
妹は早く嫁に行かせたら良いですよ。
感想ありがとうございます!
忙しくてなかなか更新できませんでした。
よかったら最終話読んでくださいね。
シャルルさんの妹と婚約者は阿呆同士でお似合いですね😙
一緒に連れていく大好きな使用人リストに料理長とマックも入れて欲しい🤣
喜んでついていくと思います!
お兄様も帝国に呼んであげてください🤣
コレは天使の癇癪がヤバい😱が、可愛いですね(*´`)
幸せになってください。
将来、あの国は帝国に吸収されそう🤣
感想ありがとうございます。
兄様どころか両親もやってくるかも。😱