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4話
「レインはどうしてさっきは来なかったの?」
アレックス兄様が夕食の時間に尋ねた。
「こいつ、いつもこんな感じだよ。父様達がいる時はいい子のふりして顔を出すけど、俺が一人の時はほとんど食事を一緒にしようとしないんだ」
ーーその理由の一つはあなたが原因でしょ?
そう言いたいけど黙ってた。使用人の嫌がらせの理由の一つにキース兄様が私を嫌っているからだと思う。
そう言えばアレックス兄様がどう思うだろう。
キース兄様のことや使用人のことも怒るだろう。でもそれ以上に自分がここの屋敷で受け入れられていないと言う事実を知られたくはなかった。
優しくて大人でいつも私にも気を遣ってくれる人。困っていれば手を差し伸べてくれて勉強もみてくれるし、頑張れば褒めてくださる。
私にとって唯一私をちゃんとみてくれる人。大好きなアレックス兄様に失望されたくない。
私は仕方なくキース兄様に視線を向ける。
別にこの人の顔なんて見たくないんだけど。
「申し訳ありません。こちらにキース兄様と二人の時に食事をと思っても、なぜか私のカトラリーがありませんの」
「………ぐっ……」
そう、私の先にはいつも何もない。
使用人がではなく、兄様のせいで。私は態とそんなふうに伝えてみた。
「キース?」
「それはお前が来ないからだろう?」
「申し訳ありません。ではこれからはご一緒に食事をさせていただきたく思いますので用意をお願いしても?」
そう言ってキース兄様と周りにいる使用人へにこりと微笑んでみた。
「わかった」
周りの使用人も顔を引き攣らせる者、青い顔をする者、私を睨む者もいた。
「かしこまりました」
彼らの返事にアレックス兄様が「みんなよろしく頼むよ」と少し怖い顔で周囲を見回した。
アレックス兄様がいる屋敷の中では、気を張ることはなくのんびりと過ごせた。
アレックス兄様とお話をしたり勉強を教えてもらったり、買い物やお出かけをしては、ドレスを買って貰い綺麗に着飾って過ごした。
普段はあまり手入れされることがない髪や肌もアレックス兄様がいる間はメイド達が私のために世話をしてくれる。
魔法がかかった少しの間だけ私はこの屋敷の娘として大切にされ楽しい時間を過ごせる。優しいアレックス兄様が私を幸せにしてくれる。
おかげで2階の窓から抜け出して野菜を食べなくても済むし、夜中にこっそり朝の料理の仕込みをしている料理人に何か食べ物を分けてもらわなくても済む。
ふふ、おかげでこの時期はいい感じで体も健康でいられる。
キース兄様が横目で睨んでくるけどアレックス兄様がいる間は私を邪険に扱わない。
だからアレックス兄様がいる間に私はお願いをすることにした。
「兄様、もう少ししたらお父様が領地から帰ってきます。その時に私、お父様にお願いしたいことがあるんです」
「どうしたの?」
二人で昼食後、庭に出てゆっくりと散歩をしていた。
美しい花々は毎日見ても見飽きない。特にこの屋敷には何ヶ所もこうした庭園がある。それぞれに違う花が咲きお客様もこの屋敷の庭園を見て回ることをとても楽しみにされているお母様のこだわりの場所だ。
今は薔薇園で白い薔薇やピンクの薔薇、赤い薔薇などたくさんの品種の薔薇を楽しんでいる。
「私ももう13歳です。そろそろ学園に入学する時期です。出来れば寮に入りたいと思っています」
「寮に?ここからなら十分通える距離だよ?キースも僕もこの屋敷から通ったよ?」
「キース兄様はここから通っています。兄様と二人が通うことになれば時間帯が合わなければ馬車が2台必要になったりと使用人達にも手を煩わせることになります。
出来ればみんなに迷惑をかけたくありません。それに私、特待生の試験を受けて合格したんです。だから寮に入ってもご迷惑をお掛けしなくて済みます」
そう貴族なら入学は簡単にできる王立学園。でも私は内緒で特待生になるための試験を受けた。
平民や生活に困窮している生徒はもちろん自分の実力を試したい貴族の子供が受ける。
私も実力を試したいとお父様に頼んで受けさせてもらった。
見事狭き門を合格することができた。
「うん、特待生になったことは父に聞いているよ。よく頑張ったね。でもこの屋敷には何台も馬車はあるし使用人たちの手も十分足りているからレインは心配しなくて大丈夫だよ?」
「…………私が嫌なんです」
「嫌?」
「はい、この学園を卒業する頃には16歳になっています。私はその時出来れば文官として王城で働きたいと思っています」
「卒業してから働く必要はないよ?嫁に行くまでここにいればいいじゃないか?」
「……いえ」
私は首を横に振る。
ここで自分の意思をはっきりさせておかなければ。
「私はこの屋敷を出て働きたいと思っています。私自分が誰なのかどうして記憶を失くしたのか知りたいのです」
そのためにも王城で働き『私』を知っている人がどこかにいないか、そんな情報がどこかにないか探してみたい。
「でもそれは先の話だろう?」
「ええ、でも、一人でなんでもできるようになっておきたいのです」
ーー本当はこの屋敷でお世話されていないのでおおかたの事は自分でできるのだけど。
「それで僕に父上を説得するのを手伝ってほしいと?」
「駄目ですか?」
両手をくんで兄様にうるうるした瞳でお願いポーズをした。
これでも一応屋敷に訪れる大人の人には可愛らしいお嬢さんだと褒め称えられているので自分の容姿の可愛さはわかっている。
私は兄様にあざとくて可愛いポーズでお願いした。
「はぁ、でも、週末はこの屋敷に帰ってくること、僕が屋敷に帰ってくる時は必ずレインにもいてほしい。たまにしか会えないんだ、可愛い妹にはこの屋敷にいる時くらいはそばにいて欲しい」
「もちろんです!」
アレックス兄様がいる時ならこの屋敷にいても過ごしやすいもの。
こうして私はお父様になんとか寮に入る許可をもらうことができた。
アレックス兄様が夕食の時間に尋ねた。
「こいつ、いつもこんな感じだよ。父様達がいる時はいい子のふりして顔を出すけど、俺が一人の時はほとんど食事を一緒にしようとしないんだ」
ーーその理由の一つはあなたが原因でしょ?
そう言いたいけど黙ってた。使用人の嫌がらせの理由の一つにキース兄様が私を嫌っているからだと思う。
そう言えばアレックス兄様がどう思うだろう。
キース兄様のことや使用人のことも怒るだろう。でもそれ以上に自分がここの屋敷で受け入れられていないと言う事実を知られたくはなかった。
優しくて大人でいつも私にも気を遣ってくれる人。困っていれば手を差し伸べてくれて勉強もみてくれるし、頑張れば褒めてくださる。
私にとって唯一私をちゃんとみてくれる人。大好きなアレックス兄様に失望されたくない。
私は仕方なくキース兄様に視線を向ける。
別にこの人の顔なんて見たくないんだけど。
「申し訳ありません。こちらにキース兄様と二人の時に食事をと思っても、なぜか私のカトラリーがありませんの」
「………ぐっ……」
そう、私の先にはいつも何もない。
使用人がではなく、兄様のせいで。私は態とそんなふうに伝えてみた。
「キース?」
「それはお前が来ないからだろう?」
「申し訳ありません。ではこれからはご一緒に食事をさせていただきたく思いますので用意をお願いしても?」
そう言ってキース兄様と周りにいる使用人へにこりと微笑んでみた。
「わかった」
周りの使用人も顔を引き攣らせる者、青い顔をする者、私を睨む者もいた。
「かしこまりました」
彼らの返事にアレックス兄様が「みんなよろしく頼むよ」と少し怖い顔で周囲を見回した。
アレックス兄様がいる屋敷の中では、気を張ることはなくのんびりと過ごせた。
アレックス兄様とお話をしたり勉強を教えてもらったり、買い物やお出かけをしては、ドレスを買って貰い綺麗に着飾って過ごした。
普段はあまり手入れされることがない髪や肌もアレックス兄様がいる間はメイド達が私のために世話をしてくれる。
魔法がかかった少しの間だけ私はこの屋敷の娘として大切にされ楽しい時間を過ごせる。優しいアレックス兄様が私を幸せにしてくれる。
おかげで2階の窓から抜け出して野菜を食べなくても済むし、夜中にこっそり朝の料理の仕込みをしている料理人に何か食べ物を分けてもらわなくても済む。
ふふ、おかげでこの時期はいい感じで体も健康でいられる。
キース兄様が横目で睨んでくるけどアレックス兄様がいる間は私を邪険に扱わない。
だからアレックス兄様がいる間に私はお願いをすることにした。
「兄様、もう少ししたらお父様が領地から帰ってきます。その時に私、お父様にお願いしたいことがあるんです」
「どうしたの?」
二人で昼食後、庭に出てゆっくりと散歩をしていた。
美しい花々は毎日見ても見飽きない。特にこの屋敷には何ヶ所もこうした庭園がある。それぞれに違う花が咲きお客様もこの屋敷の庭園を見て回ることをとても楽しみにされているお母様のこだわりの場所だ。
今は薔薇園で白い薔薇やピンクの薔薇、赤い薔薇などたくさんの品種の薔薇を楽しんでいる。
「私ももう13歳です。そろそろ学園に入学する時期です。出来れば寮に入りたいと思っています」
「寮に?ここからなら十分通える距離だよ?キースも僕もこの屋敷から通ったよ?」
「キース兄様はここから通っています。兄様と二人が通うことになれば時間帯が合わなければ馬車が2台必要になったりと使用人達にも手を煩わせることになります。
出来ればみんなに迷惑をかけたくありません。それに私、特待生の試験を受けて合格したんです。だから寮に入ってもご迷惑をお掛けしなくて済みます」
そう貴族なら入学は簡単にできる王立学園。でも私は内緒で特待生になるための試験を受けた。
平民や生活に困窮している生徒はもちろん自分の実力を試したい貴族の子供が受ける。
私も実力を試したいとお父様に頼んで受けさせてもらった。
見事狭き門を合格することができた。
「うん、特待生になったことは父に聞いているよ。よく頑張ったね。でもこの屋敷には何台も馬車はあるし使用人たちの手も十分足りているからレインは心配しなくて大丈夫だよ?」
「…………私が嫌なんです」
「嫌?」
「はい、この学園を卒業する頃には16歳になっています。私はその時出来れば文官として王城で働きたいと思っています」
「卒業してから働く必要はないよ?嫁に行くまでここにいればいいじゃないか?」
「……いえ」
私は首を横に振る。
ここで自分の意思をはっきりさせておかなければ。
「私はこの屋敷を出て働きたいと思っています。私自分が誰なのかどうして記憶を失くしたのか知りたいのです」
そのためにも王城で働き『私』を知っている人がどこかにいないか、そんな情報がどこかにないか探してみたい。
「でもそれは先の話だろう?」
「ええ、でも、一人でなんでもできるようになっておきたいのです」
ーー本当はこの屋敷でお世話されていないのでおおかたの事は自分でできるのだけど。
「それで僕に父上を説得するのを手伝ってほしいと?」
「駄目ですか?」
両手をくんで兄様にうるうるした瞳でお願いポーズをした。
これでも一応屋敷に訪れる大人の人には可愛らしいお嬢さんだと褒め称えられているので自分の容姿の可愛さはわかっている。
私は兄様にあざとくて可愛いポーズでお願いした。
「はぁ、でも、週末はこの屋敷に帰ってくること、僕が屋敷に帰ってくる時は必ずレインにもいてほしい。たまにしか会えないんだ、可愛い妹にはこの屋敷にいる時くらいはそばにいて欲しい」
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こうして私はお父様になんとか寮に入る許可をもらうことができた。
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