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23話
アレックス兄様はその後二人でゆっくりと庭の散策をして回るようだった。
私はそのまま部屋に帰るのもなんだか気が重たくて屋敷の書庫へと向かった。
本が好きでいつも書庫に篭りずっと本ばかり読んでいた。
特に雨の日は一人で部屋にいるのが怖くてアレックス兄様について回り、お兄様が書庫に行くと私も読めもしない難しい本を引っ張り出して隣に座り本を眺めていた。
するとお兄様がクスッと笑って私には難しすぎるその本を読んでくれた。
キース兄様は私と兄様を探し回って書庫にいるのを見つけると不機嫌になった。
「俺の兄様を取るな!」なんてよく言われた。いつもヤキモチ妬いて私のことを邪魔扱いするキース兄様。
私と二人で楽しく過ごしていたのにキース兄様がアレックス兄様に「こんな本なんか読んでも面白くない!俺はこっちが読みたい!」と私が読んでもらっていた本を無理やり奪い取り、兄様に別の本を読んでもらう。
私は仕方なくその本を一緒に聞いていると「お前はあっちにいけ!」なんてよく言われた。
「やだ!」
「邪魔なんだよ!」
「こら二人とも仲良くしないとダメだろう?」
アレックス兄様がそう言うとキース兄様はすぐシュンとなって「ったく、養女のくせに」と私に一言文句を言って大人しくなった。
アレックス兄様はそんなキース兄様の頭をコツンと軽く叩く。
ずっと忘れていたいろんな思い出をここにいると思い出す。
窓からそっと庭を眺めると二人の楽しそうな姿が見えた。
私は二人の仲睦まじい姿をただじっと見つめるしかできなかった。
屋敷での時間は思ったよりも快適で穏やかに過ぎた。
お母様は一度一緒に食事をしただけで忙しいみたいで、お出かけや執務室にこもり顔を合わせることはなかった。
避けられているのか嫌われているのか興味がないのかはわからない、お父様以上によくわからないお方。
お父様とは共に食事を何度かしたけど当たり障りのない会話をしただけであまり会話は弾まず淡々と過ごした。
アレックス兄様は帰ってくるようにと言ったわりに、お父様に仕事を教わったりカリーナ様とのデートに忙しく私との時間はあまり取れずにいた。
明日にはパーカー領へ向かうと聞いて慌てて私の部屋へと顔を出した。
「レイン、ごめんな。色々忙しくて、夏季休暇はまだまだ長いから後からゆっくりと話せると思っていたんだ。言い訳だけどすまなかった」
「大丈夫です。お忙しいのは見ていてわかっていましたから」
少し寂しいけど仕方ないもの。
「でも何故ここにずっと居ないんだ?友人のところの方が長くいるなんて……ここがレインの家なんだよ?」
お兄様は何も知らない。
寂しくもありホッともした。
私の惨めな今の立場を知って欲しくない。
……だけど私のこと何も見えていない、見ようとも思っていない、それがとても寂しい。
お兄様にとって私はただの可愛いレインであってそれ以上ではない。
だから私は兄様の前ではただ可愛らしくニコニコと笑っているだけの……まるでお人形のような存在なのだと、今頃になって気が付くことになった。
大好きな兄様、今も大好き。
でも……今は諦めの中、ただお兄様の前では素直でいい子を演じるだけ。
心を殺して笑う。
「アレックス兄様、私、お友達がたくさんできました。みんなと過ごす時間はとても大切なんです。また時間を作って帰ってきますわ」
私は笑顔で嘘をつく。
ここに帰ってくることはあるのかしら?
お父様が強制しなければもう帰ることはないかもしれない。
お兄様とも……会いたいけど……もうそろそろお兄様への依存はやめなければ……
カリーナ様の私を褒め称える言葉が聞こえる。
『レイン様はとても有名なんですよ』
本気で思ってもいないくせに。
私を遠くから見ているあの目はいつも蔑んでいたもの。
「お兄様、また、お会いしましょう」
私はそう言って屋敷を出た。
私はそのまま部屋に帰るのもなんだか気が重たくて屋敷の書庫へと向かった。
本が好きでいつも書庫に篭りずっと本ばかり読んでいた。
特に雨の日は一人で部屋にいるのが怖くてアレックス兄様について回り、お兄様が書庫に行くと私も読めもしない難しい本を引っ張り出して隣に座り本を眺めていた。
するとお兄様がクスッと笑って私には難しすぎるその本を読んでくれた。
キース兄様は私と兄様を探し回って書庫にいるのを見つけると不機嫌になった。
「俺の兄様を取るな!」なんてよく言われた。いつもヤキモチ妬いて私のことを邪魔扱いするキース兄様。
私と二人で楽しく過ごしていたのにキース兄様がアレックス兄様に「こんな本なんか読んでも面白くない!俺はこっちが読みたい!」と私が読んでもらっていた本を無理やり奪い取り、兄様に別の本を読んでもらう。
私は仕方なくその本を一緒に聞いていると「お前はあっちにいけ!」なんてよく言われた。
「やだ!」
「邪魔なんだよ!」
「こら二人とも仲良くしないとダメだろう?」
アレックス兄様がそう言うとキース兄様はすぐシュンとなって「ったく、養女のくせに」と私に一言文句を言って大人しくなった。
アレックス兄様はそんなキース兄様の頭をコツンと軽く叩く。
ずっと忘れていたいろんな思い出をここにいると思い出す。
窓からそっと庭を眺めると二人の楽しそうな姿が見えた。
私は二人の仲睦まじい姿をただじっと見つめるしかできなかった。
屋敷での時間は思ったよりも快適で穏やかに過ぎた。
お母様は一度一緒に食事をしただけで忙しいみたいで、お出かけや執務室にこもり顔を合わせることはなかった。
避けられているのか嫌われているのか興味がないのかはわからない、お父様以上によくわからないお方。
お父様とは共に食事を何度かしたけど当たり障りのない会話をしただけであまり会話は弾まず淡々と過ごした。
アレックス兄様は帰ってくるようにと言ったわりに、お父様に仕事を教わったりカリーナ様とのデートに忙しく私との時間はあまり取れずにいた。
明日にはパーカー領へ向かうと聞いて慌てて私の部屋へと顔を出した。
「レイン、ごめんな。色々忙しくて、夏季休暇はまだまだ長いから後からゆっくりと話せると思っていたんだ。言い訳だけどすまなかった」
「大丈夫です。お忙しいのは見ていてわかっていましたから」
少し寂しいけど仕方ないもの。
「でも何故ここにずっと居ないんだ?友人のところの方が長くいるなんて……ここがレインの家なんだよ?」
お兄様は何も知らない。
寂しくもありホッともした。
私の惨めな今の立場を知って欲しくない。
……だけど私のこと何も見えていない、見ようとも思っていない、それがとても寂しい。
お兄様にとって私はただの可愛いレインであってそれ以上ではない。
だから私は兄様の前ではただ可愛らしくニコニコと笑っているだけの……まるでお人形のような存在なのだと、今頃になって気が付くことになった。
大好きな兄様、今も大好き。
でも……今は諦めの中、ただお兄様の前では素直でいい子を演じるだけ。
心を殺して笑う。
「アレックス兄様、私、お友達がたくさんできました。みんなと過ごす時間はとても大切なんです。また時間を作って帰ってきますわ」
私は笑顔で嘘をつく。
ここに帰ってくることはあるのかしら?
お父様が強制しなければもう帰ることはないかもしれない。
お兄様とも……会いたいけど……もうそろそろお兄様への依存はやめなければ……
カリーナ様の私を褒め称える言葉が聞こえる。
『レイン様はとても有名なんですよ』
本気で思ってもいないくせに。
私を遠くから見ているあの目はいつも蔑んでいたもの。
「お兄様、また、お会いしましょう」
私はそう言って屋敷を出た。
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