美醜逆転した異世界でおっさんは無自覚ハーレムを作ってしまう

仙道

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19.車

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 門の外に出ると、豪華な馬車のようなものが止まっていて、その前に仮面をつけたメイドが立っていた。
 よくみると、馬車のようなものには馬がついていなかった。

「馬はどこだ……?」
「柴田様、あれは魔導車(まどうしゃ)なので、馬は必要ありませんわ」

 マリアが答える。

「まどうしゃ……?ああ、自動車(じどうしゃ)か。街には馬車しか走っていなかったようだが……」
「ご主人様、魔導車は高価なので、普通は貴族くらいしか持てません」
「もしかしてマリアがSランクだからか?儲かるんだな」

……

「柴田様は、どうして世界樹の森のクエストを受けたんですか?」

車の中でマリアに聞かれた。

「世界樹には一回行ったことがあるんだ。……道はよく覚えてないけどね」
「世界樹の森から生還したんですか……!?」

マリアが食いついてきた。

「そんなに凄いことなのか?」
「ええ、あの森には四天王マルグリットがいるんです。」
「四天王……?」
「はい。世界樹を目指す人のほとんどは、彼女にやられてしまうんです」
「沼(ぬま)か……」

 四天王というのは恐らくアイドルグループの名前だ。日本には「地下アイドル」という文化があるが、似たようなものがここにもあるんだろう。こういう目立たないところで活動すると、アングラ感が増して非日常が体験できるのだ。いわば、この森はライブハウスなのだ。
 アイドルにドはまりすることを「沼」というらしいのだ。

「それなら大丈夫だ。俺はイリーナに沼ってるからな」
「イリーナさんに……?」

 マリアが聞いてくる。

「冗談だよ、冗談……」

 俺は何とかごまかした。

……

森につくと、車から降りて歩いて世界樹に向かった。

「ここからは私から離れないでもらえますか」

 マリアが言った。

 柴田は周囲を見回した。確かに、はぐれたら迷って二度と出られなさそうだ。この前は慌てていたからよく見ていなかったが、森には高い木が並んでいて、暗い雰囲気が漂っていた。

(正直、かなり怖いな……)

 俺たちは森の中を進んでいった。
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