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第4話
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あの酒場でギルド中の笑い者になってから数日。
俺は毎日、他の冒険者の空気を壊さないように、人目を避けた森の奥でこっそりと初級魔法を使ってゴブリンを狩り、隠れてレベル上げを続けていた。
しかし、一人で適当に魔法を撃っている時も、街を歩いている時も、あのリナの暴力的なまでの美貌と胸の谷間が頭から離れない。
だから俺は討伐を終えると、毎日あの酒場に通い詰めていた。
俺が空いている席に着くと、必ずと言っていいほどリナがやってきて俺の隣にぴったりと座ってくる。
「お疲れ様、上級冒険者さん。今日も一人でゴブリンを倒してきたの?」
彼女は俺の腕に豊満な胸をむぎゅっと押し付け、顔を近づけて悪戯っぽく笑いながら俺のあの日の発言をからかってくる。
顔が近い。甘い匂いが漂い、すぐ隣で柔らかい感触と深い谷間が迫ってくるせいで、俺は毎回心臓が跳ね上がりそうになる。
「からかわないでくれよ。……なぁリナ、明日は空いてるか? どこか遊びに行かないか?」
俺は毎日めげずにデートに誘う。しかし、リナはその度に俺の腕に絡ませた手を少しだけ緩め、片目をつむって妖艶なウインクをしてくる。
「ごめんなさーい。明日はちょっと外せない用事があるの。また今度ね?」
露出の多い革の鎧から伸びる肉感的な太ももを俺の足に擦り寄せるように組み替えながら、むせ返るような色気を放ってくる彼女。
俺は心の中でため息をついた。
完全に遊ばれている。あの空気を読めない発言のせいで、俺は彼女にとって「からかいがいのある面白い新人」止まりなのだ。毎日こうして色気たっぷりにあしらわれ、普通にデートを断られている。
俺は彼女の素性や強さをほとんど知らないが、これだけ魅力的な女性が、俺みたいな平凡な男とそう簡単に休日に遊んでくれるわけがない。
それでも、あの悪戯っぽい笑顔と圧倒的なプロポーションを至近距離で拝めるだけで、俺は明日もまた懲りずにデートに誘ってしまうのだろう。
◇ リナ視点 ◇
思えば、私が彼に惹かれたのはあの日、酒場で初めて声をかけた時だった。
私は毎日、重い病気を患って寝たきりの母親の薬代を稼ぐため、心身ともにすり減らしていた。酒場にいる男たちは、私の体目当てに下品な視線を向けてくる荒くれ者ばかり。誰も私の過酷な状況や内面なんて見てくれないし、この世界のどこにも安らぎなんてなかった。
そんな時、一人でぽつんと座る渉を見つけたのだ。新人らしい彼に何気なく声をかけた時、彼は真顔で「一人でゴブリンを倒しました」と言ってのけた。
酒場中が爆笑に包まれた。普通の冒険者なら、プライドを傷つけられて顔を真っ赤にして怒鳴り散らすか、最悪の場合、周りの男たちに殴りかかるような場面だ。
でも、渉は違った。彼は怒るどころか、少し困ったように笑って「見栄を張っちゃって」と素直に謝ったのだ。その言い訳すらどこか優しくて、周りの嘲笑を穏やかに受け流していた。
その瞬間、私の凍りついていた心に、温かいものが流れ込んできた。この人は、無駄な虚勢を張って暴力で他人を威圧するような男じゃない。周りに笑われても穏やかでいられる、底知れぬ優しさを持った人だ。荒んだこの世界で、彼だけが陽だまりのように特別に見えたのだ。
「ごめんなさーい。明日はちょっと外せない用事があるの。また今度ね?」
私は精一杯のウインクをして、今日も大好きな渉からの誘いをかわした。
彼が少し苦笑いをするのを見て、私の胸はズキリと痛む。
本当は、すぐにでも「行く!」と答えて、彼と二人きりで街を歩きたい。
でも、私には遊んでいる暇なんてないのだ。
高価な薬を毎日買わなければ、母の命は繋げない。だから私は、来る日も来る日も休日返上で、ゴブリンが何体も同時に群れで現れるような危険なクエストに出なければならない。
貧乏で、泥臭くて、いつ死ぬかもわからない心に余裕のない現実。そんな惨めな姿を、陽だまりのような彼に知られたくなかった。
だから私は、今日もクエストの疲労で倒れそうな体を必死に奮い立たせ、ギルドの酒場へ向かう。ただ彼に会うためだけに。
少しでも彼に女として意識してもらえるように、胸の谷間が強調される防具を身につけ、彼を見つけると隣にぴったりと座り、わざとらしく腕に胸を押し付けて、精一杯の女の武器を使っている。
「上級冒険者さん」とからかうのも、彼との距離を縮めたい、特別な関係でいたいという私なりの不器用な愛情表現だった。
私がこんなに毎日疲れを押して酒場に通い、露骨なまでに体を寄せてアピールしているのだ。渉だって、私が彼に強い好意を抱いていることに気づいてくれているはず。
デートを断っているのは、決して彼が嫌いだからじゃない。どうしても外せない事情があるだけ。私のこの密着具合と態度を見れば、私がどれだけ彼を求めているか、きっと伝わっている。
「また明日も、誘ってね……」
私は心の中でそう祈りながら、至近距離で彼の顔をじっと見つめた。
私が裏で抱えている重い事情に気づかれることなく、この幸せで楽しい時間が、明日も明後日もずっと続くことを願いながら。
俺は毎日、他の冒険者の空気を壊さないように、人目を避けた森の奥でこっそりと初級魔法を使ってゴブリンを狩り、隠れてレベル上げを続けていた。
しかし、一人で適当に魔法を撃っている時も、街を歩いている時も、あのリナの暴力的なまでの美貌と胸の谷間が頭から離れない。
だから俺は討伐を終えると、毎日あの酒場に通い詰めていた。
俺が空いている席に着くと、必ずと言っていいほどリナがやってきて俺の隣にぴったりと座ってくる。
「お疲れ様、上級冒険者さん。今日も一人でゴブリンを倒してきたの?」
彼女は俺の腕に豊満な胸をむぎゅっと押し付け、顔を近づけて悪戯っぽく笑いながら俺のあの日の発言をからかってくる。
顔が近い。甘い匂いが漂い、すぐ隣で柔らかい感触と深い谷間が迫ってくるせいで、俺は毎回心臓が跳ね上がりそうになる。
「からかわないでくれよ。……なぁリナ、明日は空いてるか? どこか遊びに行かないか?」
俺は毎日めげずにデートに誘う。しかし、リナはその度に俺の腕に絡ませた手を少しだけ緩め、片目をつむって妖艶なウインクをしてくる。
「ごめんなさーい。明日はちょっと外せない用事があるの。また今度ね?」
露出の多い革の鎧から伸びる肉感的な太ももを俺の足に擦り寄せるように組み替えながら、むせ返るような色気を放ってくる彼女。
俺は心の中でため息をついた。
完全に遊ばれている。あの空気を読めない発言のせいで、俺は彼女にとって「からかいがいのある面白い新人」止まりなのだ。毎日こうして色気たっぷりにあしらわれ、普通にデートを断られている。
俺は彼女の素性や強さをほとんど知らないが、これだけ魅力的な女性が、俺みたいな平凡な男とそう簡単に休日に遊んでくれるわけがない。
それでも、あの悪戯っぽい笑顔と圧倒的なプロポーションを至近距離で拝めるだけで、俺は明日もまた懲りずにデートに誘ってしまうのだろう。
◇ リナ視点 ◇
思えば、私が彼に惹かれたのはあの日、酒場で初めて声をかけた時だった。
私は毎日、重い病気を患って寝たきりの母親の薬代を稼ぐため、心身ともにすり減らしていた。酒場にいる男たちは、私の体目当てに下品な視線を向けてくる荒くれ者ばかり。誰も私の過酷な状況や内面なんて見てくれないし、この世界のどこにも安らぎなんてなかった。
そんな時、一人でぽつんと座る渉を見つけたのだ。新人らしい彼に何気なく声をかけた時、彼は真顔で「一人でゴブリンを倒しました」と言ってのけた。
酒場中が爆笑に包まれた。普通の冒険者なら、プライドを傷つけられて顔を真っ赤にして怒鳴り散らすか、最悪の場合、周りの男たちに殴りかかるような場面だ。
でも、渉は違った。彼は怒るどころか、少し困ったように笑って「見栄を張っちゃって」と素直に謝ったのだ。その言い訳すらどこか優しくて、周りの嘲笑を穏やかに受け流していた。
その瞬間、私の凍りついていた心に、温かいものが流れ込んできた。この人は、無駄な虚勢を張って暴力で他人を威圧するような男じゃない。周りに笑われても穏やかでいられる、底知れぬ優しさを持った人だ。荒んだこの世界で、彼だけが陽だまりのように特別に見えたのだ。
「ごめんなさーい。明日はちょっと外せない用事があるの。また今度ね?」
私は精一杯のウインクをして、今日も大好きな渉からの誘いをかわした。
彼が少し苦笑いをするのを見て、私の胸はズキリと痛む。
本当は、すぐにでも「行く!」と答えて、彼と二人きりで街を歩きたい。
でも、私には遊んでいる暇なんてないのだ。
高価な薬を毎日買わなければ、母の命は繋げない。だから私は、来る日も来る日も休日返上で、ゴブリンが何体も同時に群れで現れるような危険なクエストに出なければならない。
貧乏で、泥臭くて、いつ死ぬかもわからない心に余裕のない現実。そんな惨めな姿を、陽だまりのような彼に知られたくなかった。
だから私は、今日もクエストの疲労で倒れそうな体を必死に奮い立たせ、ギルドの酒場へ向かう。ただ彼に会うためだけに。
少しでも彼に女として意識してもらえるように、胸の谷間が強調される防具を身につけ、彼を見つけると隣にぴったりと座り、わざとらしく腕に胸を押し付けて、精一杯の女の武器を使っている。
「上級冒険者さん」とからかうのも、彼との距離を縮めたい、特別な関係でいたいという私なりの不器用な愛情表現だった。
私がこんなに毎日疲れを押して酒場に通い、露骨なまでに体を寄せてアピールしているのだ。渉だって、私が彼に強い好意を抱いていることに気づいてくれているはず。
デートを断っているのは、決して彼が嫌いだからじゃない。どうしても外せない事情があるだけ。私のこの密着具合と態度を見れば、私がどれだけ彼を求めているか、きっと伝わっている。
「また明日も、誘ってね……」
私は心の中でそう祈りながら、至近距離で彼の顔をじっと見つめた。
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