悪役未満な俺の執事は完全無欠な冷徹龍神騎士団長

赤飯茸

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執事の表と裏

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「ジェイド、ごめんね…いろいろしてくれているのに、何も返してあげられない」

「そんな事ありません、私の幸せはイズ様のお世話をする事です」

いつも同じ答えしか返ってこない。
でも、与えるだけではダメだ…俺もなにかしないと対等ではない。

今日はいつものように引き下がるわけにはいかない。

ジェイドに近付いてジッと顔を見つめて、あまりに見つめるからほんのりと顔が赤くなっている。
ゲームでは滅多に照れるシーンはなかったから新鮮だ。

男の俺に近付かれて照れるのも可笑しな話だ、もしかしたら怒りで顔が赤いのかもしれない。
魔法使いの中で最高位の力を持っているジェイドに人間の俺が勝てるはずもない。

目線は逸らさず、少しジェイドと距離を離すと何故か残念そうにしていた。

「給料は、頑張って何とか掻き集めるよ」

「いりません、イズ様のお好きなものにお使いください」

「ジェイドの欲しいものは俺じゃ手に入らないかもしれない…でも、対等にいるためにジェイドの欲しいものをあげたい」

「……考えておきます」

俺の熱意が届いたのか、ジェイドは小さく頷いてくれた。

なにがほしいのか、物欲を感じられないジェイドからは想像も出来ない。

どうしよう、龍神だから欲しいものも神様レベルだったら…

約束したからには破れない、どんなに時間が掛かっても叶えたい。
孤独で暗闇の中、助けてくれたジェイドに一生を捧げても足りないほど感謝している。

ジェイドと一緒に食堂に向かい、二人にしては広すぎる食堂でジェイドが作ってくれた朝食を一緒に食べた。

俺も勉強してジェイドに料理を食べさせたいけど「執事の仕事なので」とやんわり断られた。
料理で恩返しは、始まる前にとっくに終わっていた。

「イズ様、今日は学校の送り迎え…」

「それくらい俺一人で出来る、ジェイドは本業が忙しいんだから」

「本業はイズ様のお世話です」

真剣な顔で言われると、冗談には見えないのが困りものだ。
俺は冗談で流せるけど、本気にしてしまう人がいたらどうするんだ?

ジェイドの周りの女の子達は大変そうだな、と朝食を食べ終わった。

直接ジェイドから聞いたわけではないが、街で騎士団長を見る機会は少なくなくて遠くから見た事はある。
仕事の邪魔はしたくないから、外では他人のフリをしようとジェイドと約束した。

最初は「何処にいてもイズ様なのは変わりありません」と言っていて、しばらく悩んでそれ前提でプライベートと分ける事に同意した。

もしかしてヒロインはクールなジェイドに惚れたかもしれない。
俺といるジェイドは優しくてニコニコしている。
俺はそんなジェイドもいいと思うが、他の人は幻滅してしまうかもしれない。

守らないと…ジェイド・ロードという超絶美形キャラクターを…

だから送り迎えも何処に誰が見ているのか分からないから一人で帰れる。
学校から家はそう遠くないし、今まで一人で帰ってこれたから心配する事もない。

「寄り道せずに暗くなる前に帰ってください」

「分かった」

魔物も夜の時間しかいないから、それさえ守れば無事に帰れる。

玄関前でジェイドに見送られて、手を振って家を出た。
これが俺の日常、いつまで続くか分からないが俺が自立するまででいい…ジェイドがいてくれたらな…








ーーー

※ジェイド視点

学校に向かうイズ様を見送り、まだ時間があるから部屋に向かった。
イズ様が今日の夜、気持ちよく寝れるために新しいシーツに取り替える。

手には取り替える前のシーツが握られていて、鼻に触れた。

イズ様の匂い…香水を身につけた事がないのに花のような香りがする。
俺に近付いてきた時も同じ匂いがして、我慢出来た自分を褒めてやりたい。

今すぐにその柔らかい身体に触れたいと思った。

下半身に視線を向けて、小さく舌打ちをしてイズ様の部屋の掃除を終わらす。
毎日掃除しているからすぐに終わらせて、次は朝食の後片付けを終わらせた。

執事の仕事は終わった、壁に掛けられた時計を見てまだ時間があるなと思った。

俺も与えられた自分の部屋に戻り、自分のプライベート空間に小さく息を吐く。
やはりここが落ち着くな、イズ様にも「なにがあっても絶対に入ってはいけません」と言ったからきっと貴方は知らない。

壁一面に隙間なく貼られた紙のモデルは全てイズ様。
そして俺がこの目で見て、一つもブレる事なく書いた。

紙の一つを撫でて、気持ちがどんどん昂っていく。
ズボンの前を開けて下着をずらすと完勃ちしたものが勢いよく出た。

軽く擦るとビクビクと震えて、イズ様の顔を見るとイってしまいそうになる。

欲望を握る手の動きがだんだん早くなり、息も荒くなる。

貴方は知らない、俺がどんなに貴方を想っているのか。
男にこんな想いを抱くなんて考えた事がなかった。

男だけじゃなく、人間そのものに興味はなかった。
それが今ではイズ様の事はつま先までいろいろと知りたい。

他人が知らない全ての事を俺自身で優しく暴きたい。

さすがに幼い頃は純粋に好きで守りたいという気持ちだった。
イズ様でも、子供にそういう感情は抱く事が出来ない。
その代わりに恋心は限界を知らず大きくなった。

でも成長すると、俺の中で気持ちが変わっていく。
恋心は変わらず、もっと大きな欲望が支配していく。

せめて学校を卒業するまでは…そう思っていても、もう結婚出来る年齢だからいいかと落ち着いた。

あんな事を簡単に言ってはいけない、悪い男に利用されてしまう。
俺も、その悪い男の一人なんだけど…貴方は無邪気に笑うのだろう。

直接関係を壊す事を言えないから、妄想でしか手を出せない自分をお許しください。

「はぁ…っ、報酬なら貴方の中を思いっきり俺の欲望をぶつけて、奥の奥を熱く満たしたい」

一番ダメなところをめちゃくちゃに擦り上げて、いっぱいイかせたい。

手のひらに出した行き場のないものを見つめた。

紙じゃ満たされない、やっぱり俺には本物のイズ様が必要だ。

手を洗面所で洗い、ついでに顔を洗って鏡を見つめた。

鏡に映る顔は、執事のジェイドではなく騎士団長のジェイドだった。
鋭い瞳で、鏡の自分を睨みつけて洗面所を離れた。

この国の国民を守る事は、イズ様を守る事に繋がる。
俺がやる事は、イズ様が安心して過ごせる世界を作る事だ。

あの時交わした約束を守る、ただそれだけが俺の生きる意味だ。
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