【R18】【挿絵多い】ラバーマスクガール

まへまへ

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第4話 卒業〜それぞれの道へ〜

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夜。悟は布団に寝転がり、スマホを手に持っていた。

今日の順子の顔が、どうしても頭から離れない。

「……なんであんなこと言ったんだろ。嫌われてるのかな……」

胸の奥がもやもやする。

その気持ちを振り払うように、悟は別のタブを開いた。

そこには、いつものように保存してあるラバースーツの動画の数々。

画面いっぱいに映し出される光沢のあるスーツの姿に、悟の口元が自然と緩む。

「……やっぱ、最高だな……」

誰にも言えない趣味。

部屋の中、ひとりきりの秘密の時間。

指先でスクロールしながら、彼は映像に夢中になっていく。

現実のもやもやは次第にかき消され、ただ映像と自分だけの世界に没頭していた。

悟は動画を眺めながら、ふと自分でも意外な想像をしていることに気づいた。

――もし、これが順子だったら?

画面に映る光沢のあるスーツ姿の女性と、昼間教室で俯いていた順子の姿が重なっていく。

「……いや、何考えてんだよ、俺」

思わず小さく笑いながらも、想像は止まらない。

ラバーに包まれた肢体の奥に、火傷の跡を気にして隠し続けている順子の顔がある――。

その顔が、自分にだけ向けられて、恥ずかしそうに見つめてくる。

悟の心臓はどくん、と大きく跳ねた。

「……順子、か」

普段なら考えもしなかった妄想が、妙にリアルに思えて、頭から離れなくなる。

彼は枕に顔を埋めて苦笑した。

「はぁ……ほんと、俺って変だよな」

でも、その妄想の熱は、動画以上に強く悟の胸を占めていた。


ーーーーー

三年の冬、雪解けの気配が少しずつ校庭を包み込む頃。

教室には卒業を前にした独特の空気が漂っていた。

笑顔と涙とが入り混じり、誰もが「ここから先は別々の道だ」と心の奥で感じていた。

悟と順子は、最後まで言葉を交わす機会を見つけられなかった。

視線が合えば互いに気づくのに、勇気は足りず、言葉は喉の奥で絡まってしまう。

理恵だけがそのもどかしさに気づいていたが、もう時間は止まってくれなかった。

ーーーー卒業式。

校庭で写真を撮り合う笑い声の中、順子は学ラン姿の悟の背中を遠くから見つめる。

悟もまた、袴姿の順子を人ごみの向こうに見つけながら、声をかけられずにいた。

やがてそれぞれの旅立ちが決まる。

順子は上京し、憧れの大学へ。

新しい街で、自分を隠さずに生きる挑戦を始めるために。

理恵は地元に残り、大学生活を送りながら、地元の友人たちとの関係を深めていく。

順子や悟のことを気にかけつつも、自分の道を歩む覚悟を持って。

悟は実家の日本料理店を手伝いながら、専門学校へ通うことを決めた。

包丁を握るたびに、自分の生きる道がはっきりと形を成していくのを感じていた。

ただ、胸の奥には消えない思いが残っていた。――順子のこと。

それでも、三人の時間は確かにそこにあった。

交わらなかった想い、届かなかった言葉。

けれどそれが彼らの青春であり、未来へと繋がる礎となった。

春の風が校舎を吹き抜け、彼らはそれぞれの道へと歩み出した。
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